第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午後31~35】

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31 インフォーマルサポートはどれか。

1.介護支援専門員による居宅サービス計画の作成
2.医師による居宅療養管理指導
3.近隣住民による家事援助
4.民生委員による相談支援

解答3

解説

フォーマルサポートとは?

①フォーマルサポート:公的な法制度に基づくサポートである。例えば、介護保険や医療保険などで給付されるサービスのことである。

②インフォーマルサポート:法制度に基づかないサポートである。例えば、家族、親族、友人、近隣の人、ボランティアなどによるケアのことである。ちなみに、民生委員は『民生委員法』により制度化されたボランティアであるためフォーマルサポートに該当する。

1.× 介護支援専門員による居宅サービス計画の作成は、フォーマルサポートである。なぜなら、『介護保険法』により定められているため。介護保険における居宅サービス計画書を作成するのは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割である。ちなみに、介護支援専門員とは、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。
2.× 医師による居宅療養管理指導は、フォーマルサポートである。なぜなら、居宅療養管理指導は、介護保険サービスであるため。介護予防居宅療養管理指導とは、在宅で療養していて、通院が困難な利用者へ医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが家庭を訪問し療養上の管理や指導、助言等を行うサービスである。
3.〇 正しい。近隣住民による家事援助は、インフォーマルサポートである。インフォーマルサポートとは、法制度に基づかないサポートである。例えば、家族、親族、友人、近隣の人、ボランティアなどによるケアのことである。
4.× 民生委員による相談支援は、フォーマルサポートである。なぜなら、民生委員は『民生委員法』により制度化されたボランティアであるため。民生委員は、日本独自の制度化されたボランティアである。地域社会の福祉の増進図っている。任期は3年で都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣に委嘱されたものである。市町村の各地区に配置され、①住民の生活状況の把握、②関係機関との連携、③援助を要するものヘの相談援助を主な役割とする。根拠法令は「民生委員法」で給与の支給はない。

 

 

 

 

 

32 ハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。

1.費用対効果が高い。
2.成果が恒久的である。
3.一次予防を目的とする。
4.集団全体の健康状態の向上に貢献する。

解答1

解説

MEMO

・ポピュラーアプローチ(ポピュレーションストラテジー):対象を限定せず地域や職場など、集団全体に働きかけてリスクを下げる方法である。1次予防とされる。

・ハイリスクアプローチ(ハイリスクストラテジー):リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法である。2次予防とされる。

1.〇 正しい。費用対効果が高い。なぜなら、ハイリスクアプローチは、問題に対するリスクが高い対象者に限定しているため。つまり、効果の上がりやすい個別支援が行える分、ポピュラーアプローチより費用対効果は高くなる。
2.× 成果は、「恒久的」ではなく一時的である。ポピュラーアプローチ、ハイリスクアプローチともに、効果は一時的である。ただよりハイリスクアプローチのほうが、対象を絞り込んで働きかけるため、効果は一時的・地域的・臨時的・限定的な特徴を持つ。
3~4.× 一次予防を目的とする/集団全体の健康状態の向上に貢献するのは、「ハイリスクアプローチ」ではなくポピュラーアプローチである。ハイリスクアプローチ(ハイリスクストラテジー):リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法である。2次予防とされる。

 

 

 

 

33 フィンク,S.L.の危機モデルの過程で第3段階はどれか。

1.防衛的退行
2.衝撃
3.適応
4.承認

解答4

解説

フィンクの危機モデルとは?

フィンクの危機モデルは、外傷性脊髄損傷患者の臨床研究と障害や喪失に関する文献をもとに、突然の予期せぬ出来事との遭遇から障害受容にいたるプロセスをモデル化したものである。

①衝撃:脅威にさらされ心理的衝撃を受けること(例:何を言っているんだ?)
②防衛的退行:危機に抵抗し自分を守ること(例:信じられない!)
③承認:逃げられないと悟り、現実を吟味し始めること(例:こうするしかないのか・・・)
④適応:建設的な方法で、積極的に現実に対処すること(例:対策して前を向こう!)

1.× 防衛的退行は、第2段階である。防衛的退行とは、危機に抵抗し自分を守ること(例:信じられない!)。
2.× 衝撃は、第1段階である。衝撃とは、脅威にさらされ心理的衝撃を受けること(例:何を言っているんだ?)。
3.× 適応は、第4段階である。適応とは、建設的な方法で、積極的に現実に対処すること(例:対策して前を向こう!)。
4.〇 正しい。承認は、第3段階である。承認とは、逃げられないと悟り、現実を吟味し始めること(例:こうするしかないのか・・・)。

 

 

 

 

 

34 クリティカル・シンキングの思考過程で正しいのはどれか。

1.物事を否定的にみる。
2.主観的情報を重視する。
3.直感的にアプローチをする。
4.根拠に基づいた判断を行う。

解答4

解説

MEMO

看護過程は、根拠を持った看護を実践するための思考過程である。根拠を持つためには、科学的根拠に基づいて情報の分析を行う必要がある。看護における問題解決過程とは、看護過程の流れ(①対象の全体像の把握(アセスメント)→②看護診断→③目標設定→④計画→⑤実施→⑥評価)を指す。また、クリティカル・シンキングとは、看護過程を展開するうえで重要な考え方のひとつである。批判的な思考能力・問題解決能力・創造的思考・意思決定能力などをいう。

1.× 物事を、「否定的」ではなく批判的にみる。批判的思考とは、ある人や物事に対して、すぐ同調や受容をせずに、批判する視点も含めた多様な角度から検討する考え方のこと。
2.× 「主観的情報を重視する」のではなく、主観的・客観的情報どちらも重視する。主観的情報とは、主に自覚症状などの患者の訴えである。ちなみに、客観的情報(他覚所見)とは、診察所見・血液検査・検査所見などである。
3.× 「直感的」ではなく、系統立て論理的にアプローチをする。
4.〇 正しい。根拠に基づいた判断を行う。クリティカル・シンキングとは、看護過程を展開するうえで重要な考え方のひとつである。批判的な思考能力・問題解決能力・創造的思考・意思決定能力などをいう。

SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは?

SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。

S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)

で、経過を記録する。

 

 

 

 

35 学習支援として、集団指導よりも個別指導が望ましいのはどれか。

1.小学生へのインフルエンザ予防の指導
2.塩分摂取量が多い地域住民への食事指導
3.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者への生活指導
4.3〜4か月児健康診査に来た保護者への離乳食の指導

解答3

解説

1.× 小学生へのインフルエンザ予防の指導は、集団指導が望ましい。なぜなら、指導内容は共通したものとなるため。
2.× 塩分摂取量が多い地域住民への食事指導は、集団指導が望ましい。なぜなら、指導内容は共通したものとなるため。また、地域住民同士の問題共有やコミュニケーションの場となるため。
3.〇 正しい。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者への生活指導は、個別指導が望ましい。なぜなら、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者のプライバシー保護のため。センシティブな情報(敏感に扱わなければいけない情報)の「性に関する事項」にも該当する。
4.× 3〜4か月児健康診査に来た保護者への離乳食の指導は、集団指導が望ましい。なぜなら、指導内容は共通したものとなるため。また、保護者同士の問題共有やコミュニケーションの場となるため。

個人情報保護法とは?

個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

個人情報保護に関するコンプライアンスプログラムの要求事項では、センシティブ情報の具体的項目に関して、以下の5項目を挙げている。①思想及び信条に関する事項、②政治的権利の行使に関する事項、③労働者の団体交渉に関する事項、④医療、性に関する事項、⑤犯罪の経歴、人種、民族、社会的身分、門地並びに出生地及び本籍地など社会的差別の原因となる事項である。

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