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21 ジギタリスの副作用(有害事象)はどれか。
1.難聴
2.悪心
3.易感染
4.低血糖
解答2
解説
ジギタリスとは、心筋細胞のカルシウム濃度をあげて収縮力を増加させる強心薬としての作用と迷走神経や房室結節へ作用して心拍数を減少させる作用がある。したがって、心不全患者や頻脈性心房細動患者に使用が検討される。ただし、治療域の血中濃度範囲が狭く、血中濃度の上昇によりジギタリス中毒を生じる可能性もある。ジギタリス中毒の症状には、精神・神経症状(めまい・頭痛・失見当識・錯乱)、眼症状、不整脈、消化器症状(食欲不振、悪心・嘔吐、下痢)がある。要因として、低カリウム血症、高齢者、腎機能障害があげられる。
1.× 難聴が問題となるのは、ストレプトマイシンである。ストレプトマイシンは、細菌感染症の治療に用いられる抗生物質であり、結核、マイコバクテリウムアビウムコンプレックス感染症、心内膜炎、ブルセラ症、バークホルデリア感染症、ペスト、野兎病、鼠咬症などに適用がある。副作用に、ストレプトマイシン難聴があり、第8脳神経障害により回復困難な難聴を起こすおそれがある。
2.〇 正しい。悪心が、ジギタリスの副作用である。ジギタリス中毒の症状には、精神・神経症状(めまい・頭痛・失見当識・錯乱)、眼症状、不整脈、消化器症状(食欲不振、悪心・嘔吐、下痢)がある。
3.× 易感染が問題となるのは、副腎皮質ステロイド薬や抗がん剤(免疫抑制薬)などである。
4.× 低血糖が問題となるのは、経口血糖降下薬やインスリンの副作用である。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
22 静脈血採血の方法で正しいのはどれか。(※採点除外:解答なし)
1.駆血帯を巻いている時間は2分以内とする。
2.針の刃面を下に向けて血管内に刺入する。
3.静脈内に針を刺入したら強く内筒を引く。
4.針を抜いてから1分程度の圧迫止血を行う。
解答(※採点除外:解答なし)
理由:選択肢が不適切であるため
解説
深さ:表皮→真皮→皮下組織→静脈→筋肉の順に深くなる。
角度:皮内(ほぼ水平)→皮下注射(10~30度)→筋肉内注射(45~90度)である。
注射部位が浅ければ刺入角度を小さくし、注射部位が深ければ刺入角度を大きくする。
注射針の大きさはゲージ(G)で表す。ゲージの数値が小さいほど針は太く、大きいほど針は細い。
①輸血:18~20G
②採血・静脈:21~23G
③筋肉注射:23~25G
④皮下注射:24~27G
⑤皮内注射:26~27G
1.× 駆血帯を巻いている時間は、「2分以内」ではなく1分以内とする。なぜなら、駆血時間が長いと血液成分が変化して検査値に影響を及ぼすため。ちなみに、駆血帯を巻く理由として、静脈血の還流を止めることとなり、末梢の静脈が怒張して、穿刺部位の選定が容易になるためである。
2.× 針の刃面は、「下」ではなく上に向けて血管内に刺入する。なぜなら、針の刃面を下にした場合、挿入される面積が広くなり痛みが伴いやすいため。刺入角度を15~20度で行う。ちなみに、針の刃面とは、カットしてある面の方である。
3.× 静脈内に針を刺入したら、「強く」ではなく、ゆっくりと内筒を引く。なぜなら、内筒を強く引くと溶血(血液中の赤血球の細胞膜の損傷)を起こすため。ちなみに、溶血が起こる原因として、①採血するときの針が細かった、②血液量が少なく採血管内が陰圧のままだった(採血管は元々陰圧で、血液が規定量入ると大気圧に戻る設計になっています)などの物理的衝撃で主に生じる。
4.× 針を抜いてから、「1分程度」ではなく、3~5分程度の圧迫止血を行う。抗凝固薬や抗血小板薬などを服用中の場合、10分程度親指でしっかり圧迫し止血する必要がある。
23 呼びかけに反応はないが正常な呼吸がみられる傷病者に対して、まず行うべき対応はどれか。
1.下肢を挙上する。
2.胸骨圧迫を行う。
3.回復体位をとる。
4.自動体外式除細動器(AED)を装着する。
解答3
解説
①安全確認と感染防御
②意識状態の確認
③協力者を集める
④気道確保・呼吸の確認
⑤人工呼吸2回
⑥胸骨圧迫式心マッサージ
⑦AEDによる除細動
1.× 下肢を挙上するのは、貧血や循環血液減少性ショック、起立性低血圧が疑われる患者に対して行われる。また、挙上することは、RICE処置のひとつである。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
2.4.× 胸骨圧迫を行う/自動体外式除細動器(AED)を装着する優先度が低い。なぜなら、一次救命処置の手順の①安全確認と感染防御、②意識状態の確認、③協力者を集める、④気道確保・呼吸の確認などが行われていないため。ちなみに、胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。
3.〇 正しい。回復体位をとる。回復体位とは、救急医療などの現場において、意識はないが、呼吸と循環が維持されている傷病者がとる体位である。回復体位は吐物を口の中から取り除きやすく、窒息防止に有効である。
AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。
24 褥瘡の皮膚症状はどれか。(※採点除外:解答なし)
1.乾燥
2.水疱
3.白斑
4.発疹
解答(※採点除外:解答なし)
理由:選択肢が不適切であるため
解説
褥瘡とは、局所の持続的な圧迫により組織に虚血が生じて発生する皮膚・皮下組織の損傷のことである。仙骨部、大転子部、足関節外果、踵部などの骨の突出している場所に好発する。頚髄完全損傷では、自分で除圧できないこと、感覚障害を合併していることより、褥瘡が生じやすい。したがって、仰臥位の褥瘡好発部位は、仙骨部が最も多く、次いで踵骨部、肩甲骨部、後頭部などがある。
1.× 乾燥は、皮膚障害を引き起こす準備状態である。乾燥により、皮膚の角層のバリア機能を十分に発揮できず、褥瘡が発生しやすくなる。ちなみに、褥瘡発生後は、創部からの滲出液がみられるため、保湿剤を使用して、皮膚の乾燥を改善するスキンケアが必要となる。
2.△ 水疱は、褥瘡でみられる皮膚症状である。水疱とは、表皮と真皮の境界部に滲出液が貯留した状態で、びらんになる前の状態である。褥瘡の重症度分類であるNPUAPステージ分類では、ステージⅡで発生しうる症状として挙げられている。※ただし、厚生労働省の発表では、「選択肢が不適切である」として正答や理由が発表されていない。わかる方いらしたら、コメント欄にてご教授ください。
3.× 白斑の原因は、カビによる感染症や、子供の乾燥性の湿疹である「単純性粃糠疹(はたけ)」など様々である。ちなみに、白斑とは、メラニン色素の減少や消失によって皮膚の色が白く見える状態である。
4.× 発疹とは、肌に発現する赤い斑点や丘疹、水疱などの皮膚の異常状態を指す。さまざまな原因によって引き起こされ、感染症、アレルギー、免疫系の異常、薬剤反応、慢性の皮膚疾患などが考えられる。
褥瘡の深さの評価は、①米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)と②日本褥瘡学会学術教育委員会(DESIGN)による分類がある。
①米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)
DTI疑い(SDTI):深さ判定不明
ステージⅠ:消退しない発赤
ステージⅡ:部分欠損または水疱
ステージⅢ:全層組織損傷(脂肪層の露出)
ステージⅣ:全層組織欠損
判定不能:皮膚または組織の全層欠損・深さ判定不能
壊死組織で覆われている全層損傷
②日本褥瘡学会学術教育委員会(DESIGN)
d0:皮膚損傷・発赤なし
d1:持続する発赤
d2:真皮までの損傷
D3:皮下組織までの損傷
D4:皮下組織を超える損傷
D5:関節腔・体腔に至る損傷
U:深さ判定不能の場合
25 マズロー,A.H.の基本的欲求階層論で最高次の欲求はどれか。
1.安全の欲求
2.承認の欲求
3.生理的欲求
4.自己実現の欲求
5.所属と愛の欲求
解答4
解説
(※画像引用:STUDY HACKER様HP)
人間の欲求を自己実現に向かう5段階の階層で示したものである。最下層から最上層に向かって、①生理的欲求、②安全欲求、③認知欲求(愛と所属の欲求)、④承認欲求、⑤自己実現欲求の順である。
①生理的欲求:食事や睡民、排泄など、最も基本的な欲求
②安全欲求:人間が生きるための基本的な欲求、危険から逃れ、生活するうえでの安全・安定への欲求である。
③認知欲求、社会的欲求(愛と所属の欲求):友人や家族等の周囲の人々と関わりたいという集団への帰属を求める社会的な欲求である。
④承認欲求:自分が他者から価値のある存在であると認められたい、尊敬されたいという欲求である。
⑤自己実現欲求:自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求である。
※近年、⑥自己超越の欲求を第6段階としては発表している。これは「社会をより良いものにしたい」など自分のエゴを超えたレベルの理念を実現したいという、他者や社会など自分の外にあるものにベクトルが向いている欲求である。
1.× 安全の欲求は、第2段階である。
2.× 承認の欲求は、第4段階である。
3.× 生理的欲求は、第1段階である。
4.〇 正しい。自己実現の欲求は、第5段階の最高次の欲求である。しかし、近年、⑥自己超越の欲求を第6段階としては発表している。これは「社会をより良いものにしたい」など自分のエゴを超えたレベルの理念を実現したいという、他者や社会など自分の外にあるものにベクトルが向いている欲求である。
5.× 所属と愛の欲求は、第3段階である。