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16 インドメタシン内服薬の禁忌はどれか。
1.痛風
2.膀胱炎
3.消化性潰瘍
4.関節リウマチ
解答3
解説
インドメタシンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類される。非ステロイド性抗炎症薬とは、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
①消化性潰瘍のある患者[消化器への直接刺激作用及びプロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下するため、消化性潰瘍が悪化するおそれがある。]
②重篤な血液の異常のある患者[血液の異常が悪化するおそれがある。]
③重篤な肝障害のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。]
④重篤な腎障害のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、腎障害が悪化するおそれがある。]
⑤重篤な心機能不全のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、水、ナトリウムの貯留が起こるため、心機能不全が悪化するおそれがある。]
⑥重篤な高血圧症の患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、水、ナトリウムの貯留が起こるため、血圧が上昇するおそれがある。]
⑦重篤な膵炎の患者[症状が悪化するおそれがある。](※引用:「医療用医薬品 : インドメタシン」ニプロ株式会社様HPより)
1.× 痛風は、インドメタシン内服薬を使用できる。痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
2.× 膀胱炎は、インドメタシン内服薬を使用できる。単純性膀胱炎とは、機能的・形態的に尿路に異常のない人の膀胱炎である。 原因として、女性では尿意を我慢したり、冷えや月経が原因で起きることがある。また、妊娠や便秘、性交渉などが誘因となって起こる。 症状として、頻尿や残尿感などである。
3.〇 正しい。消化性潰瘍は、インドメタシン内服薬の禁忌である。なぜなら、消化器への直接刺激作用及びプロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下するため、消化性潰瘍が悪化するおそれがあるため。
4.× 関節リウマチは、インドメタシン内服薬を使用できる。主に沈痛目的で使用されることが多い。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
17 Fowler(ファウラー)位で食事を摂るときの姿勢で誤嚥を予防するのはどれか。
1.頸部側屈位
2.頸部前屈位
3.頸部後屈位
4.頸部回旋位
解答2
解説
Fowler位とは、45~60度の頭位挙上である。
(※図引用:「illustAC様」)
1.4.× 頸部側屈位/頸部回旋位は、片麻痺の誤嚥予防に対し行われる。片麻痺のように咽頭機能に左右差がある場合は、梨状窩に残留しやすい。したがって、誤嚥予防のために、病巣側への頸部回旋位とし、重力を利用して健側に食塊の経路を形成する。
2.〇 正しい。頸部前屈位(頸部屈曲位)は、Fowler位で食事を摂るときの姿勢で誤嚥を予防する。なぜなら、気管は食道の前面に位置しており、頚部を前屈すると咽頭と気管に角度がついて、食べ物が気管に入りにくくなるため。
3.× 頸部後屈位は、むしろ誤嚥を促進する。なぜなら、喉頭が開き咽頭と気道が直線状となるため。
18 男性に導尿を行う際、カテーテル挿入を開始するときの腹壁に対する挿入角度で最も適切なのはどれか。
1. 30〜40度
2. 80〜90度
3.120〜130度
4.160〜170度
解答2
解説
(※図:男性生殖器の断面図)
男性と女性では尿道の構造が異なるため、カテーテル挿入時の挿入角度は異なる。女性の尿道は短く直線的であるが、男性の尿道は長くS字状(2か所の屈曲ポイント)がある。挿入する際は、膀胱壁を傷つけないようにすることが重要です。 男性の場合、尿道がS状に屈曲しているため、まず陰茎を90度の角度で引き上げてカテーテルを挿入し、10~15cm挿入後、60度の角度に戻してさらに挿入(2~5cm)し、尿の流出が確認できたらさらにカテーテルを進める。
よって、選択肢2.80〜90度が、男性に導尿を行う際、カテーテル挿入を開始するときの腹壁に対する挿入角度である。要は、尿道海綿体部屈曲を直線にするために90度角度をつける(図参照)。
19 標準予防策(スタンダードプリコーション)において、創傷や感染のない患者への援助で使い捨て手袋が必要なのはどれか。
1.手浴
2.洗髪
3.口腔ケア
4.寝衣交換
解答3
解説
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
1~2.4.× 手浴/洗髪/寝衣交換は、使い捨て手袋は必要ではない。なぜなら、湿性生体物質と接触する可能性は低いため。血液や汗以外の体液などが付着した場合は感染源として扱うが、損傷や感染のない皮膚であれば、感染源となる可能性はないものとして扱う。
3.〇 正しい。口腔ケアが使い捨て手袋が必要である。なぜなら、湿性生体物質のひとつである唾液や喀痰と接触する機会が多いため。スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
20 モルヒネの副作用(有害事象)はどれか。
1.出血
2.便秘
3.高血圧
4.粘膜障害
解答2
解説
モルヒネとは、オピオイド鎮痛薬として、おもに鎮痛目的で用いられる。医療用麻薬でもあり、その鎮痛作用は強力である。とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい内臓痛をはじめ、各種がん痛や手術後にも適応となる。オピオイド(麻薬性鎮痛薬)とは、主に脳や脊髄などの中枢神経にあるオピオイド受容体と結合することで鎮痛効果を示す化合物である。代表的なオピオイドとして、モルヒネやオキシコドン、フェンタニルが挙げられ、主にがん疼痛の緩和ケアなどに使用される。モルヒネの副作用には、便秘、嘔気・嘔吐、眠気、呼吸抑制などがある。
1.× 出血が問題になるものとして、ワルファリンがあげられる。ワルファリンは抗凝固薬の一つで、血栓症や塞栓症の治療や予防に用いられる。また、がんの痛みに対して最初に使用する非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用で血小板機能が低下し出血傾向になることがある。
2.〇 正しい。便秘がモルヒネの副作用(有害事象)である。なぜなら、腸蠕動運動の低下、腸管分泌抑制などの作用により、食物が消化管を通過する時間が延長するため。
3.× 高血圧が問題になるものとして、パーキンソン病薬や抗コリン薬があげられる。抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを抑えて副交感神経を抑制し、交感神経を優位にする働きを持つ。なぜなら、ムスカリン受容体を遮断するため。ちなみに、前立腺肥大症に、抗コリン薬を使用は禁忌である。なぜなら、交感神経系が緊張状態となり、尿閉を悪化させるため。適応疾患として、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、気管支喘息、肺気腫パーキンソン病などに用いられる。
4.× 粘膜障害が問題になるものとして、非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)があげられる。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
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