第107回(R6) 助産師国家試験 解説【午後51~55】

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次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、初妊婦、派遣労働者)は夫(24歳、無職)と2人暮らし。Aさんは妊娠8週3日で妊娠の届出のために市役所に来所した。昨年の世帯収入は250万円であった。Aさんは市の助産師に「夫は前の職場で人間関係がうまくいかず、うつ状態になり、今も仕事をしていません。これまでは私の収入で生活できていましたが、両親とは疎遠でこれからかかるお金のことが心配です」と話した。

51 このときの助産師の説明で適切なのはどれか。

1.「派遣労働者の場合、出産育児一時金の支給はありません」
2.「分娩時に出産費用を助成する出産扶助が支給されます」
3.「パートナーに働くようにお願いしてみましょう」
4.「14回分の妊婦健康診査の費用が助成されます」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(19歳、初妊婦、派遣労働者、妊娠8週3日
・2人暮らし:夫(24歳、無職)
・妊娠の届出のために市役所に来所した。
・昨年の世帯収入:250万円。
・Aさん「夫は前の職場で人間関係がうまくいかず、うつ状態になり、今も仕事をしていません。これまでは私の収入で生活できていましたが、両親とは疎遠でこれからかかるお金のことが心配です」と。
Aさんの生活状況から利用できる支援策を助言しよう。

1.× 派遣労働者の場合でも、出産育児一時金は支給「される」。なぜなら、派遣労働者であっても、公的医療保険に加入していれば出産育児一時金の支給対象となるため。ちなみに、出産育児一時金とは、健康保険法に基づき、日本の公的医療保険制度の被保険者が出産したときに支給される手当金(1児ごとに42万円)である。そもそも正常な出産のときは病気とみなされないため、定期健診や出産のための費用は自費扱いとなる。出産育児一時金は直接支払制度となっている。直接支払制度とは、出産育児一時金42万円が直接医療機関に支払われる制度であり、分娩後、褥婦は医療機関に保険証を提示し、所定の合意書に記載することでこの制度を利用する。出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合、その差額を被保険者等に支給する。したがって、日本の公的医療保険に加入していることが条件となる。

2.× 分娩時に出産費用を助成する出産扶助は、支給「されない」なぜなら、Aさんは生活保護受給者ではないため。出産扶助は生活保護世帯などが対象である。ちなみに、生活保護法とは、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。

3.× 「パートナーに働くようにお願いしてみましょう」と伝える必要はない。なぜなら、Aさんの夫はうつ状態であるため。うつ状態への励ましや指示は、心理的な負担となるため行わないほうが良い。まずは、夫の健康状態を優先し、専門的な支援を受けることが重要である。

4.〇 正しい。「14回分の妊婦健康診査の費用が助成されます」と説明する。妊婦健康診査の費用は、妊娠・出産は正常な経過であれば、保険適用されず自費診療となる。妊婦検診の費用は、1回あたり平均で約5,000円である。妊婦健康診査の費用助成は、全自治体で行われている。ただし、96市区町村は、公費負担額が明示されていない(※参考:「妊婦健康診査の公費負担の状況について」厚生労働省HPより)。

生活保護制度とは?

生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。

生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用

【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。

【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。

(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)

 

 

 

 

 

次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、初妊婦、派遣労働者)は夫(24歳、無職)と2人暮らし。Aさんは妊娠8週3日で妊娠の届出のために市役所に来所した。昨年の世帯収入は250万円であった。Aさんは市の助産師に「夫は前の職場で人間関係がうまくいかず、うつ状態になり、今も仕事をしていません。これまでは私の収入で生活できていましたが、両親とは疎遠でこれからかかるお金のことが心配です」と話した。

52 妊娠32週の妊婦健康診査で血圧140/88mmHg、尿蛋白(-)。児は骨盤位で、推定胎児体重1,520g、医師から自宅安静を指示され休暇を取っていた。妊娠33週で血圧156/92mmHg、尿蛋白(+)、推定胎児体重1,600gであり医師から入院を勧められた。産科外来の助産師が入院の説明をしていると、Aさんは「入院の必要性は分かるけれど、入院費が支払えるかどうか心配です」と話した。市の母子保健担当に相談したところ、療養援護の助成で医療費が一部支給されることになった。
 Aさんが療養援護の助成を受けられる低所得以外の理由はどれか。

1.妊娠高血圧症候群
2.若年妊婦
3.初妊婦
4.骨盤位

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(19歳、初妊婦、派遣労働者)
・妊婦健康診査(妊娠32週):血圧140/88mmHg尿蛋白(-)
・児:骨盤位、推定胎児体重1,520g。
・医師から「自宅安静」を指示され休暇。
・妊娠33週:血圧156/92mmHg尿蛋白(+)、推定胎児体重1,600g。
・医師から入院を勧められた。
・Aさん「入院の必要性は分かるけれど、入院費が支払えるかどうか心配です」と。
・市の母子保健担当に相談したところ、療養援護の助成で医療費が一部支給されることになった。
→療養援護とは、胎児の発育を妨げ未熟児や心身障害の発生要因となる妊娠高血圧症候群などに対し、早期医療を施すことを促すための取り組みである。対象疾患は、①妊娠高血圧症候群、②糖尿病、③貧血、④産科出血及び心疾患である。対象疾患に罹患している妊産婦(妊娠中または出産後10日以内)であって、母体又は胎児の保護のために医療機関へ入院し、必要な医療を受けた方であり、かつ、その入院期間が7日以上の方となる。所得の状況等に応じて支給対象者とならない場合があり、前年分の所得税課税額の年額30,001円以上の世帯に属する方、または児童福祉法第22条の規定による助産施設への入所措置を受けた方は支給対象者とはならない。

1.〇 正しい。高血圧症候群は、Aさんが療養援護の助成を受けられる低所得以外の理由である。なぜなら、Aさん(妊娠33週)の血圧156/92mmHgであるため。ちなみに、妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。

2.× 若年妊婦は、療養援護の助成対象に該当しない。ちなみに、若年妊婦とは、16~22歳頃までの初産婦である。

3.× 初妊婦は、療養援護の助成対象に該当しない。ちなみに、初妊婦とは、初めて妊娠を経験する女性のことである。

4.× 骨盤位は、療養援護の助成対象に該当しない。骨盤位とは、子宮口に対して胎児が下半身を下に向けた体位(いわゆる逆子)である。

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)

 

 

 

 

 

次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(19歳、初妊婦、派遣労働者)は夫(24歳、無職)と2人暮らし。Aさんは妊娠8週3日で妊娠の届出のために市役所に来所した。昨年の世帯収入は250万円であった。Aさんは市の助産師に「夫は前の職場で人間関係がうまくいかず、うつ状態になり、今も仕事をしていません。これまでは私の収入で生活できていましたが、両親とは疎遠でこれからかかるお金のことが心配です」と話した。

53 Aさんは妊娠37週、2,420gの女児を正常分娩で出産した。産後の血圧は安定していたため、産後5日に退院し、児は日齢14に2,560gで退院した。産後2週の産婦健康診査でエジンバラ産後うつ病質問紙票〈EPDS〉が10点だったと病院から市に連絡があったため、産後20日に市から委託を受けた助産師が訪問した。児は体重2,740gで健康状態は良好であった。Aさんは「夫と一緒に育児をしていますがうまくできません。不安が大きいですし、睡眠不足でとても疲れています」と泣きそうな表情で話した。
 助産師の対応で最も適切なのはどれか。

1.子育て中の母親との交流を勧める。
2.両親に支援を依頼するように勧める。
3.ファミリーサポートセンターを紹介する。
4.要支援児童等と思われる者であることを市に情報提供する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(19歳、初妊婦、派遣労働者)
・Aさんは市の助産師に「夫は前の職場で人間関係がうまくいかず、うつ状態になり、今も仕事をしていません。これまでは私の収入で生活できていましたが、両親とは疎遠でこれからかかるお金のことが心配です」と話した。
・妊娠37週:2,420gの女児を正常分娩で出産。
・産後:血圧安定、産後5日に退院。
・児は日齢14:2,560gで退院した。
・産後2週の産婦健康診査:エジンバラ産後うつ病質問紙票〈EPDS〉10点
・産後20日:市から委託を受けた助産師が訪問。
・児:体重2,740g、健康状態は良好
・Aさん「夫と一緒に育児をしていますがうまくできません不安が大きいですし、睡眠不足でとても疲れています」と泣きそうな表情。
→Aさんはうつ病が疑われる。産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内(特に2週間以内)に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。

→エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS:Edinburgh Postnatal Depression Scale)とは、産後うつ病をスクリーニングするために使用する質問票のことである。10項目の質問で、対象者は過去7日間の気分を答える。日本におけるカットオフポイント(区分点)は9点で、EPDS9点以上で「うつの可能性が高い」と考える。ただし、9点以上がうつ病で、8点以下はうつ病ではないと判断するものではない。

1.× 子育て中の母親との交流を勧める必要はない。なぜなら、産後うつ病が疑われる状態で新たな社会的交流の構築は、さらなる負担を与える可能性があるため。

2.× 両親に支援を依頼するように勧める必要はない。なぜなら、設問文において「両親とは疎遠」と発言されており、さらなる負担を与える可能性があるため。

3.× ファミリーサポートセンターを紹介するより優先されるものが他にある。なぜなら、Aさんの育児負担は軽減できる考えられるが、Aさんからの訴え(主訴)は「不安や睡眠不足(産後うつ病の疑い)」であり、児童の預かりの援助の希望など聞かれていないため。また、本児の体重の変化を含めた健康状態は良好である。「ファミリーサポートセンターを紹介する」と判断するのは時期尚早である。ちなみに、子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)とは、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の保護者を会員として、児童の預かり等の援助を受けることを希望する者と援助を行うことを希望する者との相互援助活動である。

4.〇 正しい。要支援児童等と思われる者であることを市に情報提供する。なぜなら、設問のケースでは「保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童」に該当するため。①昨年の世帯収入は250万円、②夫がうつ状態、③両親とは疎遠、④Aさんは産後うつ状態と考えられる。ちなみに、児童福祉法第21条10の5(子育て支援事業)において「病院、診療所、児童福祉施設、学校その他児童又は妊産婦の医療、福祉又は教育に関する機関及び医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、児童福祉施設の職員、学校の教職員その他児童又は妊産婦の医療、福祉又は教育に関連する職務に従事する者は、要支援児童等と思われる者を把握したときは、当該者の情報をその現在地の市町村に提供するよう努めなければならない」と記載されている(※引用:「児童福祉法」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、1回経産婦)は、前回の妊娠で妊娠高血圧腎症を発症し、妊娠38週3日に2,350gの男児を帝王切開で出産している。自宅で妊娠反応が陽性となったため産婦人科病院を受診し、妊娠9週0日と診断された。医師の診察の後、Aさんは助産師に「1人目は帝王切開で出産しましたが、私は経腟分娩ができるのでしょうか」と相談した。

54 回答のために確認すべき情報はどれか。

1.血圧値
2.流産手術の既往
3.子宮筋腫の手術の既往
4.帝王切開から妊娠までの期間

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(40歳、1回経産婦、妊娠高血圧腎症)
・前回:妊娠38週3日に2,350gの男児(帝王切開
・自宅で妊娠反応が陽性(妊娠9週0日)。
・Aさん「1人目は帝王切開で出産しましたが、私は経腟分娩ができるのでしょうか」と。
→Aさんが前回、帝王切開により出産している。帝王切開既往妊婦が経腟分娩(TOLAC, trial of labor after cesarean delivery)を希望した場合、経腟分娩が行える条件をしっかり覚えておこう。

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P199」)

1~2.4.× 血圧値/流産手術の既往/帝王切開から妊娠までの期間は、回答のために確認すべき情報とはいえない。なぜなら、帝王切開既往妊婦が経腟分娩(TOLAC, trial of labor after cesarean delivery)を希望した場合、経腟分娩が行える条件に該当しないため。

3.〇 正しい。子宮筋腫の手術の既往は、回答のために確認すべき情報である。なぜなら、子宮筋腫の手術の既往は、「子宮体部筋層まで達する手術既往あるいは子宮破裂の既往がない」という条件が該当しなくなるため。子宮体部に対する手術既往で,古典的帝王切開,子宮底部横切開による帝王切開,筋層内子宮筋腫核出,間質部妊娠楔状切除,hysterotomy など,子宮筋層に達する手術既往の場合はTOLACを避ける(※参考:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P199」)。ちなみに、子宮筋腫の位置や胎盤との関係を調べておくことは、胎位、胎勢異常や産道通過障害、常位胎盤早期剝離のリスク評価に必要である。妊娠全期間を通しての子宮筋腫のサイズの変化は報告により様々であるが、増大の多くは妊娠14週までに生じるとの報告がある。

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P279」)

帝王切開術の適応

①母体適応:児頭骨盤不均衡 前置胎盤,子宮破裂,重症妊娠高血圧症候群,常位胎盤早 期剝離,分娩停止,分娩遷延など。
②胎児適応:胎児機能不全(胎児ジストレス),臍帯脱出,子宮内胎児発育遅延,切迫早産,前期破水,多胎など。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、1回経産婦)は、前回の妊娠で妊娠高血圧腎症を発症し、妊娠38週3日に2,350gの男児を帝王切開で出産している。自宅で妊娠反応が陽性となったため産婦人科病院を受診し、妊娠9週0日と診断された。医師の診察の後、Aさんは助産師に「1人目は帝王切開で出産しましたが、私は経腟分娩ができるのでしょうか」と相談した。

55 初回受診時の血液検査の結果は、トキソプラズマIgG抗体陰性であった。
 Aさんへの指導内容で正しいのはどれか。

1.性交渉は控える。
2.生魚は食べない。
3.生野菜は食べない。
4.ガーデニングの際は手袋をする。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(40歳、1回経産婦、妊娠高血圧腎症)
・前回:妊娠38週3日に2,350gの男児(帝王切開
・自宅で妊娠反応が陽性(妊娠9週0日)。
・初回受診時の血液検査の結果:トキソプラズマIgG抗体陰性。
→トキソプラズマIgG抗体陽性となった場合には、トキソプラズマ症に罹患していることが疑われる。したがって、トキソプラズマIgG抗体陰性は、トキソプラズマに感染していないことを意味し、妊娠中にトキソプラズマに感染しないよう、感染源に注意し、感染予防に努める必要がある。トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による原虫感染症である。トキソプラズマとは、原虫の一種のトキソプラズマによる人獣共通感染症で、経胎盤感染で、児に水頭症や脳内石灰化、知的能力障害などを起こすことがある。加熱処理の不十分な肉に生存するシスト、土壌中やネコの糞中に存在するオーシストから水平感染する。

1~3.× 性交渉は控える、生魚/生野菜は食べないようにする必要はない。なぜならトキソプラズマ感染の予防としては関係がないため。

4.〇 正しい。ガーデニングの際は手袋をする。なぜなら、トキソプラズマは土壌に存在することがあるため。ガーデニングの際に手袋を着用することは、感染予防に効果的である。また、作業後には手をしっかり洗うことも重要である。

トキソプラズマ感染症とは?

先天性トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)の経胎盤感染によって引き起こされる。症状として、未熟性、子宮内胎児発育不全、黄疸、肝脾腫、心筋炎、肺炎、発疹、脈絡網膜炎、水頭症、頭蓋内石灰化、小頭症、痙攣である。十分な加熱処理がされていない生肉、トキソプラズマの終宿主である猫との接触・糞尿処理が感染のリスクとなる。

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