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26 産褥期のホルモンの変動で正しいのはどれか。
1.授乳婦はゴナドトロピン放出ホルモン〈GnRH〉の分泌が亢進する。
2.オキシトシンは授乳開始から30分後に血中濃度が上昇する。
3.授乳回数が多いほどプロラクチンの血中濃度が上昇する。
4.新生児との接触でプロゲステロンが上昇する。
5.エストロゲンは乳汁産生を促進する。
解答3
解説
1.× 授乳婦は、ゴナドトロピン放出ホルモン〈GnRH〉の分泌が「亢進」ではなく抑制する。ゴナドトロピン放出ホルモン〈GnRH〉が抑制されることで、排卵が抑制され、授乳中は月経が不規則または停止する。ちなみに、ゴナドトロピン放出ホルモン〈GnRH〉は、性腺刺激ホルモン放出ホルモンともいい、視床下部から分泌され、下垂体前葉を刺激し、ゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン)を分泌させる。これらによって、エストロゲンとプロゲステロンが分泌され月経が起こる。
2.× オキシトシンは授乳開始から、「30分後」ではなく1分以内に血中濃度が上昇する。オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。出産後に乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。
3.〇 正しい。授乳回数が多いほどプロラクチンの血中濃度が上昇する。プロラクチンとは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。一般的に出産後など授乳期間中において、乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
4.× 新生児との接触でプロゲステロンが「上昇」ではなく低下する。なぜなら、妊娠中はプロゲステロンのレベルが高く維持されるが、出産後に急激に低下するホルモンであるため。プロゲステロンとは、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
5.× 乳汁産生を促進するのは、「エストロゲン」ではなくプロラクチン(選択肢2)である。エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
(※画像引用:日本医師会様HPより)
・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。
27 褥婦に対するうっ滞性乳腺炎の説明で正しいのはどれか。
1.産後5日ころに起こりやすい。
2.乳房の張りが少ない方から授乳する。
3.乳房に疼痛があれば授乳の間隔をあける。
4.うっ滞性乳腺炎になっても、授乳は可能である。
5.乳汁が溜まっているようであれば、自己マッサージをしない。
解答4
解説
うっ滞性乳腺炎とは、乳腺に炎症を起こしている状態で、母乳が乳房にたまってしまうことが原因となって発症する。赤ちゃんが飲む量より母乳分泌量が大幅に多いことで発症するケースが多い。乳管が十分に開いていないと母乳が出にくく、それによって乳腺に母乳がたまって起こる。症状は、おっぱいが張り石のように硬くなる、痛みや熱感、発赤などである。化膿性乳腺炎はうっ滞性乳腺炎の症状に加え高熱、倦怠感、筋肉痛、おっぱいの色が黄色くドロドロしているなどの症状がある。
うっ滞性乳腺炎の治療として、症状が乳房の一部分のみで軽度の場合には、健康的な生活習慣と乳房のケアによって改善が期待できる。具体的には、バランスの取れた食事と十分な休養を心がけるほか、乳房を温めてマッサージしながら積極的に授乳を行う、授乳だけで母乳が余る場合には搾乳を行うといったケアが挙げられる。乳房のマッサージには乳管を広げ、母乳が出やすくなる効果が期待できる。
1.× 産後「5日」ではなく4~6週以内に起こりやすい。授乳開始初期から認められ、4~6週以内に発症する傾向がある(※参考:「うっ滞性乳腺炎」Medical Note様HPより)。
2.× 乳房の張りが、「少ない」ではなく強い方から授乳する。なぜなら、張りが強い=「うっ血が強い」ことであり、うっ滞が軽減され、乳腺炎の予防につながるため。
3.× 乳房に疼痛があれば、授乳の間隔を「あける」必要はない。なぜなら、授乳の間隔をあけると乳汁がうっ滞しやすくなり、乳腺炎が悪化する可能性があるため。むしろ、頻繁に授乳を行い、乳房を空にすることが重要である。
4.〇 正しい。うっ滞性乳腺炎になっても、授乳は可能である。授乳を行い、乳汁を排出することで、うっ滞の解消と炎症の軽減につながる。
5.× 乳汁が溜まっているようであれば、自己マッサージを「する」。なぜなら、乳房を軽くマッサージすることで、乳汁の流れを促進し、うっ滞を解消する助けとなるため。
28 母子健康手帳の交付で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.出生後でも交付される。
2.妊娠の診断書が必要である。
3.妊娠12週以前は交付されない。
4.在留資格に関係なく交付される。
5.妊婦の代理人に対しては交付されない。
解答1・4
解説
母子健康手帳とは、母子保健法に定められた市町村が交付する、妊娠、出産、育児の一貫した母子の健康状態を記録する手帳のことである。母子健康手帳の制度化は、母子保健法:昭和41年(1966年)である。
1.〇 正しい。出生後でも交付される。これは、「母子健康手帳の作成及び取扱い要領について」の第2項「母子健康手帳の取扱いに関する一般的事項」(1)にて「母子健康手帳の交付は、母子保健法第一五条の規定により妊娠の届出をした妊婦に対して交付することが原則であるが、妊娠中に交付を受けていなかった場合は、出生後においても交付することができるものであること。」と記載されている(※参考:厚生労働省HPより)。
2.× 妊娠の診断書は、必要「ない」。母子健康手帳の交付に必要なものとして、①本人もしくは②代理人が届出する場合で異なる。本人が届出する場合は、①身分証明書(運転免許所、パスポート、マイナンバーカード)、②妊娠の診断を受けた医療機関がわかるもの(診察券、領収書、予約券など)が必要である(※参考:「母子健康手帳交付の際に必要なものはなんですか」さいたま子育てWEBトップ様HPより)。
3.× 妊娠12週以前も交付「される」。母子手帳は、病院で妊娠が確定してから、いつでも受け取れる。一般的に、赤ちゃんの心拍が確認できる妊娠6~10週目頃に取得されることが多い。
4.〇 正しい。在留資格に関係なく交付される。母子健康手帳は、在留資格や住民登録の有無にかかわらず、妊婦であれば誰でも無料で取得できる。妊娠中や出産の経過、生まれた後の定期健診や予防接種などの記録をしておく大切なものである。
5.× 妊婦の代理人に対しては交付「される」。母子健康手帳の交付に必要なものとして、①本人もしくは②代理人が届出する場合で異なる。代理人が届出する場合(妊婦以外の方)は、①身分証明書(運転免許所、パスポート、マイナンバーカード)、②妊娠の診断を受けた医療機関がわかるもの(診察券、領収書、予約券など)、③委任状が必要である(※参考:「母子健康手帳交付の際に必要なものはなんですか」さいたま子育てWEBトップ様HPより)。
29 腟分泌物の鏡検によって診断できる病原体はどれか。2つ選べ。
1.淋菌
2.カンジダ
3.クラミジア
4.トリコモナス
5.梅毒トレポネーマ
解答2・4
解説
1.× 淋菌は、核酸増幅法・抗原検査にて診断する。ちなみに、淋菌とは、淋菌感染症の原因菌で、性感染症のひとつである。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。淋菌感染症は何度も再感染することがある。
2.〇 正しい。カンジダは、腟分泌物の鏡検によって診断できる病原体である。腟カンジダ症とは、カンジダと呼ばれる真菌に感染することで腟に炎症が起きた状態である。腟カンジダになると、かゆみやおりものの変化など、さまざまな症状が出る。症状は性行為をしている時に強くなるといわれており、腟や腟の入り口部分に出る症状として、①強いかゆみ、②赤くなる、③皮膚が熱っぽいなどがあげられる。また、おりものの変化として、①量が増える、②白色でおかゆやチーズ、ヨーグルトのような見た目になるなどがあげられる。
3.× クラミジアは、核酸増幅検査、抗原検査にて診断する。クラミジアとは、日本国内で最も多い性感染症(STD)の一つで、クラミジア感染症とも呼ばれており、クラミジア・トラコマチスという病原体(細菌)が、性行為などにより粘膜に感染する。 感染した場合、クラミジア性尿道炎(男性)、クラミジア性子宮頚管炎(女性)、咽頭クラミジア(男性・女性)などの病気を引き起こす。また、出産時に母子感染する場合、分娩時の産道感染を引き起こす。出生後1週間前後に発症する結膜炎(目が赤くなり「目やに」の増加)、出生後1カ月前後には肺炎( 咳、哺乳力が低下)する。陽性者には内服薬(抗菌薬)を投与して治療する。
4.〇 正しい。トリコモナスは、腟分泌物の鏡検によって診断できる病原体である。腟トリコモナス症とは、トリコモナスという原虫が病原体となって発症する性感染症である。トリコモナスが腟や膀胱などの粘膜にすみついて炎症を起こす。主な症状として、①黄色で泡立ったようなおりもの、②おりものに悪臭、③性器にかゆみや痛み、④排尿や性行為のとき、不快感や痛みなどである。
5.× 梅毒トレポネーマは、血液検査にて診断する。梅毒とは、性感染症の一種で、梅毒トレポネーマという細菌が粘膜から感染することによって起こる。感染後3~6週間前後の潜伏期間後に性器、肛門、口などの感染部位にしこり、びらん、潰瘍などが現れるが、治療をしなくても一定期間が過ぎると最初の症状は消える。感染後数ヶ月すると手のひらや足の裏を含めた全身に赤い斑点(バラ疹)が広がる。
30 子宮について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.子宮筋層は横紋筋である。
2.子宮動脈は上行枝と下行枝に分かれる。
3.子宮動脈は外腸骨動脈から分岐している。
4.子宮を支持する組織として広間膜がある。
5.初経の発来前後で子宮体部の大きさは同じである。
解答2・4
解説
(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)
1.× 子宮筋層は、「横紋筋」ではなく平滑筋である。平滑筋とは、横紋筋とは違いサルコメア(筋節)のない筋肉のことで出産に耐えうる丈夫な筋肉でできている。一方、横紋筋とは、筋組織のひとつで筋繊維(筋細胞)の集まった物で、体を動かす際に使われるため「骨格筋」とも呼ばれる。
2.〇 正しい。子宮動脈は上行枝と下行枝に分かれる。子宮動脈は、内腸骨動脈から分岐して子宮頸管から子宮壁に入る動脈である。大動脈→総腸骨動脈→内腸骨動脈→子宮動脈へと分岐している。その後、子宮動脈下行枝と子宮動脈上行枝に分かれ栄養に関与する。この子宮動脈上行枝は、卵巣動脈と癒合している。
3.× 子宮動脈は、「外腸骨動脈」ではなく内腸骨動脈から分岐している。外腸骨動脈は主に下肢に血液を供給する。外腸骨動脈は、大腿動脈→膝窩動脈→①前脛骨動脈(→足背動脈)、②後脛骨動脈(→足底動脈)となる。
4.〇 正しい。子宮を支持する組織として広間膜がある。子宮広間膜とは、子宮の両側に張り出したひだ(腹膜)のことをいう。広間膜は子宮を支持する構造であり、子宮と骨盤壁を連結している。
5.× 初経の発来前後で子宮体部の大きさは「同じ」ではなく異なり増大する。なぜなら、初経後はエストロゲンの影響で子宮体部が成長するため。
エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。