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21 母体保護法に基づく不妊手術で正しいのはどれか。
1.卵管結紮術が含まれる。
2.男性の手術は対象外である。
3.子どもがいない場合は適用の対象外である。
4.保健所長に実施報告をしなければならない。
解答1
解説
母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。
母体保護法の不妊手術に関しては、第二条(定義)に規定されている(※引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。
第二条 この法律で不妊手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で内閣府令をもつて定めるものをいう。
2 この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。
第二章 不妊手術
第三条 医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人の同意及び配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、不妊手術を行うことができる。ただし、未成年者については、この限りでない。
一 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの
二 現に数人の子を有し、かつ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下するおそれのあるもの
2 前項各号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による不妊手術を行うことができる。
3 第一項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だけで足りる。
1.〇 正しい。卵管結紮術が含まれる(※読み:らんかんけっさつじゅつ)。母体保護法施行規則の第一章不妊手術(不妊手術の術式)に規定されている。
第一条 母体保護法(以下「法」という。)第二条第一項に規定する不妊手術は、次に掲げる術式によるものとする。
一 精管切除結さつ法(精管を陰のう根部で精索からはく離して、二センチメートル以上を切除し、各断端を焼しやくし、結さつするものをいう。)
二 精管離断変位法(精管を陰のう根部で精索からはく離して切断し、各断端を結さつしてから変位固定するものをいう。)
三 卵管圧ざ結さつ法(卵管の中央を引き上げ、直角又は鋭角に屈曲させて、その両脚を圧ざかん子で圧ざし、結さつするものをいう。)
四 卵管角けい状切除法(卵管を結さつして切断し、卵管間質部をけい状に切除し、残存の卵管断端結さつ部をしよう膜で覆い縫合するものをいう。)
五 卵管切断法(卵管を結さつし、切断するものをいう。)
六 卵管切除法(卵管及び卵管間膜を結さつして切断し、卵管の一部又は全部を除去するものをいう。)
七 卵管焼しやく法(卵管を電気メス、レーザーメス、薬剤等で焼しやくし、閉鎖させるものをいう。)
八 卵管変位法(卵管を骨盤腹膜外に移動させ、固定するものをいう。)
九 卵管閉塞法(卵管又は卵管内くうを器具、薬剤等により閉塞させるものをいう。)
(※引用:「母体保護法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)
2.× 男性の手術は、「対象外」ではなく対象内である。母体保護法の3条2項において「前項各号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による不妊手術を行うことができる」と規定されている(※引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。つまり、配偶者である男性の不妊手術も対象としている。具体的には、精管結紮術や精管離断変位法がある。
3.× 子どもがいない場合でも適用の「対象外」ではなく対象内である。母体保護法の3条1項において「妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの」と規定されている(※引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。つまり、子どもの有無にかかわらず不妊手術が行える。
4.× 「保健所長」ではなく都道府県知事に実施報告をしなければならない。母体保護法の第6章の第25条(届出、禁止その他) において「医師又は指定医師は、不妊手術又は人工妊娠中絶を行つた場合は、その月中の手術の結果を取りまとめて翌月十日までに、理由を記して、都道府県知事に届け出なければならない」と規定されている(※引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。つまり、子どもの有無にかかわらず不妊手術が行える。
(※引用:「卵管結紮術」厚生労働省様HPより)
22 助産所が、助産業務ガイドライン2019に基づき、連携する産婦人科医師と相談して協働管理すべき条件で正しいのはどれか。
1.妊娠高血圧症候群の既往があるが今回の発症はない者
2.前回は妊娠32週の早産だったが今回の妊娠経過は順調な者
3.糖尿病を合併しているが胎児の推定体重は正常範囲である者
4.助産所で第1子を出産した後に子宮頸部円錐切除術を受けた者
解答1
解説
「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」では,「A.助産師が管理できる対象者」「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」に分けて記載されている。
①理学的所見のあるもの(身長150cm未満、非妊時BMI 18.5未満または25以上、年齢35歳以上)
②産科以外の既往または合併症
③産科的既往がある妊婦、妊娠中の発症を認めないもの(妊娠高血圧症候群の既往、常位胎盤早期剝離の既往、妊娠34~36週の早産の既往)
④異常妊娠経過が予測される妊婦、妊娠中に発症した異常
(※引用:「助産業務ガイドライン 2019」)※詳しくは下図参照
(※図引用:「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」助産業務ガイドライン 2019より)
1.〇 正しい。妊娠高血圧症候群の既往があるが今回の発症はない者は、「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」である。ちなみに、妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。
2.× 前回は妊娠32週の早産だったが今回の妊娠経過は順調な者は、「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」である。4.産科的既往がある妊婦(妊娠中の発症,再発の可能性があり,周産期管理が必要とされるもの)に該当する。
3.× 糖尿病を合併しているが胎児の推定体重は正常範囲である者は、「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」である。5.異常な妊娠経過の妊婦に該当する。
4.× 助産所で第1子を出産した後に子宮頸部円錐切除術を受けた者は、「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」である。2.婦人科疾患の既往または合併症のある妊婦に該当する。
23 妊娠に伴う肺の機能的残気量を低下させる要因はどれか。
1.横隔膜の挙上
2.呼吸数の増加
3.肺活量の低下
4.心臓の上方転位
5.動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉の上昇
解答1
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
(※図引用:「妊娠期の生理学的変化」)
1.〇 正しい。横隔膜の挙上は、妊娠に伴う肺の機能的残気量を低下させる要因である。なぜなら、妊娠に伴う子宮の拡大により横隔膜が上に押し上げられるため。ちなみに、機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。
2.× 呼吸数の増加は、妊娠に伴う肺の機能的残気量を低下させる要因とはいえない。妊娠初期から呼吸数の増加がみられるが、その要因として、分泌されるホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で、血液中の二酸化炭素の濃度を察知するセンサーが妊娠前に比べて敏感になるためである。
3.× 肺活量の低下は、妊娠に伴う肺の機能的残気量を低下させる要因とはいえない。むしろ、妊娠中、肺活量の変化は見られないことが多い。肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
4.× 心臓の上方転位は、妊娠に伴う肺の機能的残気量を低下させる要因とはいえない。なぜなら、心臓の上方転位が肺機能の低下まで圧迫しないため。ちなみに、心臓の上方転位は、妊娠中の子宮拡大により、心臓が上方へ押し上げられる。
5.× 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は、妊娠中「上昇」ではなく下降する。なぜなら、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉の上昇の要因として、分泌されるホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で、血液中の二酸化炭素の濃度を察知するセンサーが妊娠前に比べて敏感になるためである。
心疾患合併の頻度は全分娩の1~3%である。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。正常妊娠ではこうした増加に対し、末梢血管抵抗が低下し、腎臓や子宮への血流量を増加させている。実際、腎血流量は非妊娠時に比べ30%増加し、子宮血流量は10倍になる。これらの循環変化は母体が順調に胎児を育んで行く上に必須のものであるが、心疾患を合併した妊婦ではしばしば負担となる。また、分娩中は子宮収縮により静脈環流量が増加し、第2期では努責による交感神経興奮により頻脈になり、心拍出量が増加する。したがって、分娩中は心疾患合併妊婦の症状が悪化する危険な時期といえる。分娩後(産褥早期)、子宮は急速に収縮し静脈環流量が増加するが、循環血液量は急には減少しないため、一過性に心負担は増加する。この心拍出量増加は、産後の利尿により循環血液量が減少するまで継続する。産褥期に一過性に浮腫が増悪することがあるが、こうした循環器系変化のためと考えられる。
(※一部引用:「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(中井章人著,東京医学社)より)
24 胎児型ヘモグロビン〈HbF〉の特徴で正しいのはどれか。
1.出生後に組織への酸素供給量が増加する。
2.低体温では酸素との結合能力が低くなる。
3.早産児の臍帯血中ヘモグロビンの約30%を占める。
4.成人型ヘモグロビン〈HbA〉より酸素との結合能力が高い。
5.胎児型ヘモグロビン〈HbF〉を有する赤血球の寿命は約60日である。
解答4
解説
ヘモグロビンは赤血球中のタンパク質で、酸素を肺から全身の組織へ運ぶ役割を担っている。胎児期には、胎児型ヘモグロビンと呼ばれる特別なヘモグロビンが存在する。これは成人型ヘモグロビンと構造が異なるため、胎児型ヘモグロビンのほうが酸素との結合能力が高いのが特徴である。
【成人型ヘモグロビンと比較した場合の胎児型ヘモグロビンの特徴】
①高い酸素結合能力をもつ。胎児型ヘモグロビンは、成人型ヘモグロビンよりも酸素と強く結合する。これにより、胎児は母体から酸素を効率よく取り込むことができる。
②酸素の供給をより効率的に行える。胎児は母体から直接酸素を受け取る。したがって、胎児型ヘモグロビンは胎盤を通じて酸素を効率的に取り込むのに適している。
1.× 出生後に組織への酸素供給量が増加するのは、成人型ヘモグロビン(HbA)である。なぜなら、出生後、肺が機能し始め、酸素が直接吸入されるようになるため。一方、胎児型ヘモグロビンは、胎外の組織へ十分に酸素を離さない。したがって、胎児型ヘモグロビン(HbF)は出生後、徐々に成人型ヘモグロビン(HbA)に置き換わる。
2.× 低体温では酸素との結合能力が「低く」ではなく高くなる。ただし、これは胎児型ヘモグロビンに限らず、ヘモグロビン全般の特性である。ちなみに、低体温では酸素との結合能力が高くなるのは、体温が下降すると組織での酸素需要は減少するためである。
3.× 早産児の臍帯血中ヘモグロビンの「約30%」ではなく約50~95%を占める。在胎36週ごろは90~95%、40週以降は50~85%となる。なぜなら、早産児はまだ完全に成人型ヘモグロビンへ移行していないため。ちなみに、臍帯血とは、胎児と母体を繋ぐ胎児側の組織であるへその緒(臍帯:さいたい)の中に含まれる胎児血である。
4.〇 正しい。成人型ヘモグロビン〈HbA〉より酸素との結合能力が高い。なぜなら、胎児が胎盤を通じて母体から酸素を効果的に取り込むため。これにより、胎児は母体の血液から効率よく酸素を取り込むことができる。
5.× 胎児型ヘモグロビン〈HbF〉を有する赤血球の寿命は、「約60日」ではなく約90日である。なぜなら、成人型ヘモグロビンより効率よく酸素を受けとり、胎児型ヘモグロビンの構造が異なるため。ちなみに、成人型の赤血球の寿命は、約120日である。
①PaCO2の上昇(pHの低下)
②血中2,3-DPGXの上昇
③H+の上昇(pHの低下)
④血液温度上昇
25 日齢2の新生児。1時間前に母乳を飲んだ。閉眼しており眼球運動が観察できる。
このときの児の意識レベルはBrazelton〈ブラゼルトン〉の新生児行動分類のどれか。
1.state1
2.state2
3.state3
4.state4
5.state5
解答2
解説
state1(深い睡眠:静的睡眠):完全に眠っており、目は閉じられている。動きはほとんどない。
state2(浅い睡眠:動的睡眠):眠っているが、目は閉じられている。時折、顔や体が小さく動くことがある。
state3(まどろみ):目を閉じたり開けたりしているが、眠りから覚めつつある状態。動きは少なく、反応は鈍い。
state4(覚醒:静的覚醒):目を開けており、環境に注意を払っている。動きは少なく、静かである。
state5(ぐずり):目を開けており、活発に動いている。興奮しやすく、環境に敏感に反応する。
state6(啼泣):泣いている。体は動いており、環境への反応が強い。
1.× state1(深い眠り)の場合は、眼球運動は観察できない。
2.〇 正しい。state2は、本児の意識レベル(Brazeltonの新生児行動分類)である。
3.× state3は、目を閉じたり開けたりしている。
4~5.× state4~5は、目を開けている。