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16 Aさん(32歳、2回経産婦)は妊娠30週0日。妊婦健康診査を受診したところ、胎児心拍が確認できず、子宮内胎児死亡と診断された。Aさんは突然のことで驚き、戸惑っており、落ち着かない様子であった。
助産師の対応で優先度が高いのはどれか。
1.分娩の方法について説明する。
2.セルフヘルプグループを紹介する。
3.亡くなった子に何をしたいか尋ねる。
4.プライバシーが保てる個室へ案内する。
解答4
解説
・Aさん(32歳、2回経産婦、妊娠30週0日)
・妊婦健康診査:胎児心拍なし、子宮内胎児死亡。
・突然のことで驚き、戸惑っており、落ち着かない様子。
→Aさんの心理的サポートが重要である。
1.× 分娩の方法について説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんは突然のことで驚き、戸惑っており、落ち着かない様子であることから、助産師が説明したところで理解しにくい(頭に入ってこない)状態と考えられるため。
2.× セルフヘルプグループを紹介する優先度は低い。なぜなら、現時点はAさんが突然の知らせにショックを受けている状況であるため。また、Aさんからセルフヘルプグループの希望も聞かれていない状態である。ちなみに、自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)は、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていくものである。同じ悩みをかかえる人々がコミュニティをつくって交流するもので、例えば、青年期のひきこもり状態にある者の支援として、同じような健康課題への対処能力を高めるために活動するグループをつくることが有効である。
3.× 亡くなった子に何をしたいか尋ねる優先度は低い。なぜなら、現時点はAさんが突然の知らせにショックを受けている状況であるため。一般的に、ショック期は、感情が鈍磨した状態である。まずはAさんが落ち着ける環境を提供することが重要である。
4.〇 正しい。プライバシーが保てる個室へ案内する。もっともプライバシーが完全に担保できた個室で妊婦健康診査を行えれば望ましいが、業務の効率化のためにも一般的な診療室では、パーテーションで区切ってあるものの助産師の出入りや処置の準備などでのざわつきがある。したがって、Aさんが驚きと戸惑いを感じている状況では、まずはプライバシーが保てる個室に案内し、落ち着ける環境を提供することが最も重要である。個室でAさんの気持ちに寄り添い、落ち着く時間を持つことができるようにすることが優先される。
障害受容の過程は、「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期(再起)→受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
①ショック期:感情が鈍磨した状態
②否認期:現実に起こった障害を否認する
③混乱期:攻撃的あるいは自責的な時期
④解決への努力期(再起):自己の努力を始める時期
⑤受容期:新しい価値観や生きがいを感じる時期
17 日齢2の正期産児。
医師に報告すべき症状はどれか。
1.周期性呼吸を認める。
2.心雑音が聴取される。
3.新生児中毒性紅斑が出現する。
4.排気とともに哺乳したものを嘔吐する。
解答2
解説
1.× 周期性呼吸を認める。これは、新生児の呼吸の生理的特徴である。周期性呼吸とは、正常新生児にときどき認められる5~10秒程度の呼吸休止が不規則的にみられる呼吸パターンである。原因として、呼吸中枢の未熟と考えられていて、特別異常なことではない。ただし、無呼吸発作の移行や、SPO2の低下、徐脈などが伴わないか観察が必要である。
2.〇 正しい。心雑音が聴取される。これは、医師に報告すべき症状である。なぜなら、心雑音は心疾患の兆候である可能性が示唆されるため。特に生後1~2日以降に初めて心雑音が聴取される場合、動脈管開存などの可能性がある。動脈管開存症とは、胎児期に開存している大動脈と肺動脈間に存在する動脈管が出生後も自然閉鎖せず開存状態を維持した疾患である。つまり、出生後に動脈管が自然閉鎖しない病気である。大動脈から肺動脈への短絡が生じ、管が大きいと左心系の容量負荷になる。出生後は肺動脈圧が下がるため、胎児期とは逆に大動脈から肺動脈へ血液が流れるようになり、肺の血流が増加する。したがって、典型例では、ピークがⅡ音に一致した漸増・漸減型で、高調・低調両成分に富む荒々しい雑音(machinery murmur)が左第2肋間を中心に聴取される。治療が必要な症状として、動脈管が太く、たくさん血液が肺に流れて肺うっ血による心不全症状(哺乳不良、嘔吐、体重増加不良、頻脈、頻呼吸、尿量減少など)を引き起こした場合である。
3.× 新生児中毒性紅斑が出現する。これは、新生児の呼吸の生理的特徴である。中毒性紅斑とは、生後数日間に、胸や背中などに赤い斑点やブツブツ、小さな水ぶくれなどができる新生児特有の皮膚トラブルである。新生児中毒性紅斑の原因は不明であるが、胎内環境から胎外環境への急激な変化に適応する過程で起きる、生理的な変化だと考えられている。2週間ほどで自然に治るのが特徴である。
4.× 排気とともに哺乳したものを嘔吐する。これは、新生児の呼吸の生理的特徴である。なぜなら、乳児の胃はI字型(縦型で噴門部が未発達)による影響が大きく、吐乳しやすいため。したがって、授乳後は十分に排気をする。ただし、大量に嘔吐したり、他の症状(例えば、体重減少や脱水)が見られる場合は、医師に報告するべきである。
収縮期心雑音とは、収縮期に発生する雑音のことである。心臓には血液を全身に送り出す①収縮期と、血液を心臓内に貯めこむ②拡張期の2つの周期がある。心雑音はこの収縮期に発生する雑音(収縮期雑音)と、拡張期に発生する雑音(拡張期雑音)がある。
心音は、「ドックン、ドックン」と表記するが、これ以外の音が聞こえたり、通常よりも一部の音が大きく聞こえることを一般的に「心雑音」と呼ぶ。この場合、「心音の異常」という意味で「心雑音」が使われるが、正確には間違っています。「心音の異常」のうち、心臓および心臓に近い太い血管の中を通る血流により発生する異常を心雑音と呼ぶ。また、心音の異常は①病的心雑音と②無害性雑音に分けられる。①病的心雑音は、心臓や血管が狭い場合や逆流がある場合に聞こえることが多い。一方で、②無害性雑音は、血流が勢いよく流れていることで乱流が生じる原因が多い。
【心音の異常の種類】
・異常心音:Ⅰ音、Ⅱ音の音が亢進、減弱する。また、正常でも呼吸によって、Ⅱ音は二つに分かれて聞こえるが、呼吸によらず常に分かれて聞こえることもある(固定性分裂)。ちなみに、「ドックン」の「ドッ」であるⅠ音と「クン」であるⅡ音に分かれ、Ⅰ音とⅡ音の間を収縮期と呼び、Ⅱ音からⅠ音の間を拡張期と呼ぶ。
・過剰音:心雑音よりも短い、瞬間的に聞こえる音である。収縮期に聞こえる駆出音やクリック音やⅢ音、Ⅳ音というものがこれにあたる。
・心雑音
①収縮期雑音:駆出性雑音、逆流性雑音、機能性雑音がある。
②拡張期雑音:Ⅱ音から続いて聞こえる音(blowing murmur)、Ⅱ音とつながりがなく聞こえる音(rumbling murmur)がある。
③収縮期・拡張期雑音:連続性雑音、収縮期拡張期雑音(to and flow murmur)がある。
(※参考「子どもの心雑音」コアラ小児科アレルギー科様HPより)
18 乳幼児の事故で正しいのはどれか。
1.乳児の溺水事故が多いのは近隣水域である。
2.頭部外傷では陥没骨折が起こりやすい。
3.四肢の骨折は遠位端で起こりやすい。
4.熱中症の発生場所は自宅内が多い。
解答2
解説
(※図引用:「御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください! 」消費者庁様HPより)
1.× 乳児の溺水事故が多いのは、「近隣水域」ではなく浴槽での溺水である。子どもは音をたてずに静かに溺れる場合も
あり、保護者が洗髪中のほんの少しの時間でも目を離していると子どもの溺れに気付けない可能性がある。どうしても難しい場合は、目を離している間は子どもと会話を続けるなども対策の一つである(※参考:「御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください! 」消費者庁様HPより)。
2.〇 正しい。頭部外傷では陥没骨折が起こりやすい。なぜなら、子供の頭蓋骨は薄く弾力性あり割れにくいため。ちなみに、陥没骨折とは、骨折の種類のひとつで外側からの強い衝撃により骨が内側にへこんだ形状で折れることである。好発部位は、頭蓋骨、頬骨、鼻などの頭部である。特に、頭蓋骨に大きな陥没骨折が起きやすい。脳を圧迫したりとがった骨の先端が内部に影響を与えている場合、外科手術で陥没した部分を挙上したり取り除くことが必要である。
3.△ 四肢の骨折は、「遠位端」ではなく近位(上腕骨)で起こりやすい。小児の骨折中、最多であるのは上腕骨顆上骨折である。小児の骨折の約半数は、上肢の骨折(肘関節周囲)である。ほかにも下肢や鎖骨に骨折が起きやすい。ちなみに、△とした理由は、「上腕骨骨折」として分類するならば「近位」として起きやすいといえるが、「上腕骨顆上骨折」として分類するならば上腕骨「遠位端」としていえるため。つまり、「遠位端」をどこか明確に書いてほしいところであった。
4.× 熱中症の発生場所は、「自宅内」ではなく道路・交通施設が多い。ちなみに、高齢者(65歳以上)は「住宅等居住場所」が多くを占めている。小学生となる6歳~12歳、中学生となる13歳~15歳、いずれも「学校・児童施設等」、「公園・遊園地・運動場等」が多く、高校生となる16歳~18歳は「学校・児童施設等」、「道路・交通施設」が多く、この2つで全体の半数以上を占めている(※引用:「夏本番前から熱中症予防対策を!!」東京消防庁様HPより)。
小児の骨の特徴は、コラーゲン線維に富み、しなやかである。また、骨形成(リモデリング)も盛んに行われており、自己矯正能も高い。したがって、若木骨折や過成長がみられる。ちなみに、若木骨折とは、骨の一部に亀裂が生じるが、骨膜が厚いため完全には折れない骨折のことである。
19 令和3年(2021年)に施行された母子保健法の改正内容はどれか。
1.妊娠、出産、育児に関する保健指導の対象者に妊産婦の配偶者を加えた。
2.母子健康包括支援センターの設置が市町村の努力義務になった。
3.産後ケア事業の実施が市町村の努力義務になった。
4.妊産婦訪問指導の実施主体が市町村に委譲された。
解答3
解説
母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
1.× 妊娠、出産、育児に関する保健指導の対象者に妊産婦の配偶者を加えたことは平成9年の改正である。平成9年の改正内容は、主に母子保健事業の実施基盤の整備である。①妊産婦又は乳幼児の保護者に対する保健指導、新生児の訪問指導、3歳児健康診査及び妊産婦の訪問指導の実施主体を市町村とすること。②市町村の行う健康診査の対象に満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児を加えること。③妊娠、出産又は育児に関する保健指導の対象に妊産婦の配偶者を加えること。④国及び地方公共団体は、妊産婦及び乳幼児に対し高度な医療が提供されるよう、必要な医療施設の整備に努めなければならないこととしたこと。⑤国は、母性及び乳幼児の健康の保持増進に必要な調査研究の推進に努めなければならないこととしたこと。⑥母子保健事業の体制整備のための所要の規定の整備すること(※引用:「母子保健法の改定とこれからの母子保健」著:富沢一郎)。
2.× 母子健康包括支援センターの設置が市町村の努力義務になったことは、平成9年の改正である。母子保健法を改正(平成29年4月1日施行)し、子育て世代包括支援センターの設置を市町村の努力義務とした。平成30年度予算案において、産前・産後サポート事業、産後ケア事業及び産婦健康診査を実施するために必要な予算を計上(※引用:「妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援について」厚生労働省様HPより)。ちなみに、母子健康包括支援センターとは、母子保健法により規定されている。妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うことを目的とし、市町村は子育て世代包括支援センターを設置することが規定されている。子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)は、主に乳幼児を中心とした母子保健に関する相談への対応を行っている。子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。
3.〇 正しい。産後ケア事業の実施が市町村の努力義務になった。ちなみに、産後ケア事業とは、分娩施設退院後から一定の期間、病院・診療所・助産所・対象者の居宅などにおいて、助産師などの看護職が中心となり、母親の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに、母親自身がセルフケア能力を育み、母子とその家族が健やかな育児ができるよう支援することを目的としている。市町村が実施主体である。(※参考:「産後ケア事業ガイドライン 」厚生労働省HPより)
4.× 妊産婦訪問指導の実施主体が市町村に委譲されたことは、母子保健法の改正での変更はない。妊産婦訪問指導実施要綱(母子保健法)の第1条(目的)には「妊産婦訪問指導は、母子保健法(昭和40年法律第141号)第13条第1項の規定による健康診査の結果、保健指導を行う必要がある妊産婦について、当該妊産婦の家庭を訪問し、妊娠、出産、育児等に必要な指導を行うとともに、妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれがある疾病にかかっている疑いのある者については、医師又は歯科医師の診療を受けることを勧奨するものとする」と記載されている(※一部引用:「妊産婦訪問指導実施要綱」e-GOV法令検索様HPより)。
(※引用:「母子保健に関する近年の制度改正等」厚生労働省様HPより)
20 Aさん(初産婦、未婚)は、1人暮らしをしている。出産後3か月は実家に滞在する予定である。
出生の届出書の提出で正しいのはどれか。
1.提出は出生後21日以内と規定されている。
2.届出者はAさんでなければならない。
3.居住地区の保健所に提出する。
4.嫡出子の有無を記入する。
解答4
解説
(※図引用:「出生届」法務省HPより)
出生届とは、生まれてきたお子さんの氏名等を戸籍に記載するための届出である。戸籍に記載されることで、生まれてきたお子さんの親族関係が公的に証明され、住民票が作成される。なお、外国人のお子さんであっても、日本国内で出生した場合は、出生届をしなければならない。
1.× 提出は出生後「21日以内」ではなく14日以内と規定されている。戸籍法の第49条に「出生の届出は、十四日以内(国外で出生があつたときは、三箇月以内)にこれをしなければならない・・・以下略」と規定されている(※一部引用:「戸籍法」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 必ずしも、届出者はAさんで「なくともよい」。戸籍法の第52条に「①出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚をした場合には、母がこれをしなければならない。②嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。③前二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、左の者は、その順序に従つて、届出をしなければならない。第一:同居者、第二:出産に立ち会つた医師、助産師又はその他の者、④第一項又は第二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、その者以外の法定代理人も、届出をすることができる」と規定されている(※一部引用:「戸籍法」e-GOV法令検索様HPより)。
3.× 居住地区の「保健所」ではなく市役所(区役所)に提出する。24時間(365日)いつでも届け出ることができる。夜間休日受付窓口で提出した出生届の審査は翌開庁日に行われる。記載内容に不備があって受理されなかった場合、後日改めて開庁時間内に役所に行く必要がある。なお、夜間休日受付窓口で提出できるのは、戸籍の届出に関する書類のみである。
4.〇 正しい。嫡出子の有無を記入する。嫡出子と非嫡出子との別を記入する欄がある。他にも、①出生の年月日時分及び場所、②父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍、③その他法務省令で定める事項を記入する欄がある。ちなみに、嫡出子とは、法律上婚姻関係にある夫婦間に生まれた子を指す(※読み:ちゃくしゅつし)。
保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。
【保健所が実施する事業】
保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項。
②人口動態統計その他、地域保健に係る統計に関する事項。
③栄養の改善及び食品衛生に関する事項。
④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項。
⑤医事及び薬事に関する事項。
⑥保健師に関する事項。
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項。
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項。
⑨歯科保健に関する事項。
⑩精神保健に関する事項。
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項。
⑫エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項。
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項。
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項。
(※一部引用:「地域保健法 第6条」e-GOV法令検索様HPより)