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86 麻疹に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
1.合併症として脳炎がある。
2.感染力は発疹期が最も強い。
3.効果的な抗ウイルス薬がある。
4.2回のワクチン定期接種が行われている。
5.エンテロウイルスの感染によって発症する。
解答1/4
解説
風疹とは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。難聴・白内障・心奇形である。妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると、不顕性であっても経胎盤的に胎児に影響を与え、先天性風疹症候群と呼ばれる先天異常を引き起こすことがある。
麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。麻疹の合併症として、①中耳炎、②肺炎、③脳炎があげられる。特に脳炎と肺炎は死亡例が多い。
予防接種法に規定されている風疹・麻疹の予防接種は、MRワクチン(生ワクチン)であり、通常2回接種する。1期(1回):生後1~2歳まで。2期(2回):5~7歳未満で、小学校就学前の1年間である。
1.〇 正しい。合併症として脳炎がある。麻疹の合併症として、①中耳炎、②肺炎、③脳炎があげられる。特に脳炎と肺炎は死亡例が多い。
2.× 感染力は、「発疹期」ではなくカタル期(発疹が出現する前)が最も強い。麻疹は、①カタル期→②発疹期→③回復期に分かれる。麻疹の潜伏期間は約10日である。三大症状:①カタル症状(上気道炎症や結膜炎症状)、②発疹、③二峰性発熱(カタル期の終わりに一時的に熱が降下する)である。カタル期(1回目の発熱)、発疹期(2回目の発熱)、回復期と経過し、感染力が最も強いのはカタル期である。感染の可能性があるのは、発熱、カタル症状、発疹などの症状が出現する1日前から解熱後3日を経過するまでである。
3.× 効果的な抗ウイルス薬は、現在存在しない。したがって、ワクチンを含めた予防が最も重要になる。
4.〇 正しい。2回のワクチン定期接種が行われている。1歳時と小学校就学前の2回である。
5.× エンテロウイルスの感染によって発症するのは、ポリオや手足口病、ヘルパンギーナである。麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる。
(※表引用:「予防接種スケジュール」日本小児学会より)
87 Aさん(30歳、女性)。月経周期は28日型で規則的である。5日間月経があり、現在、月経終了後14日が経過した。
この時期のAさんの状態で推定されるのはどれか。2つ選べ。
1.排卵後である。
2.乳房緊満感がある。
3.子宮内膜は増殖期である。
4.基礎体温は低温相である。
5.子宮頸管の粘液量が増加する。
解答1/2
解説
(※画像引用:日本医師会様HPより)
・Aさん(30歳、女性)。
・月経周期:28日型で規則的である。
・5日間月経があり、現在、月経終了後14日が経過。
→月経が5日間あり、終了後14日目ということは、月経19日目となる。つまり、プロゲステロン(黄体ホルモン)優位の黄体期であることがわかる。黄体期とは、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。排卵から次の月経までの黄体期に分泌されるホルモンの作用で、乳房に張りや痛みを感じる。
1.〇 正しい。排卵後である。排卵は、およそ28日周期の14日目前後に生じる。排卵は、増殖期と分泌期の移行に起こる。
2.〇 正しい。乳房緊満感がある。月経が5日間あり、終了後14日目ということは、月経19日目となる。つまり、プロゲステロン(黄体ホルモン)優位の黄体期であることがわかる。黄体期とは、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。排卵から次の月経までの黄体期に分泌されるホルモンの作用で、乳房に張りや痛みを感じる。
3.× 子宮内膜は、「増殖期」ではなく分泌期である。子宮内膜とは、子宮の内側を覆う粘膜です。子宮は筋肉でできており、内側は子宮内膜と呼ばれる粘膜でおおわれている。子宮内膜は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの作用を受けると、受精卵の着床に備え、増殖して厚くなる。
4.× 基礎体温は、「低温相」ではなく高温相である。排卵が起こると、その後、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が始まるので、低温期より0.3~0.5℃、基礎体温が上昇する高温期に入る。
5.× 子宮頸管の粘液量が、「増加」ではなく低下する。
・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。
88 入院集団精神療法において、看護師が担うリーダーの役割で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.患者間の発言量を均等にする。
2.沈黙も意味があると受け止める。
3.メンバーの座る位置を固定する。
4.患者の非言語的サインに注目する。
5.話題が変わった場合はすぐに戻す。
解答2/4
解説
集団精神療法とは、「言葉によるやりとりや自己表現の手法等により、集団内の対人関係の相互作用を用いて、対人場面での不安や葛藤の除去、患者自身の精神症状や問題行動に関する自己洞察の深化、対人関係の習得等をもたらすことにより、病状の改善を図る治療法」である。
1.× 患者間の発言量を均等にする必要はない。なぜなら、集団のなかでの発言が負担になる人もいるため。適宜発言を促すことも必要だが、黙っていても安心できる環境を確保することも大切である。
2.〇 正しい。沈黙も意味があると受け止める。なぜなら、沈黙していることは、必死に考えをまとめている可能性があるため。人それぞれ考えるペースも違えば、言葉にするまでに考えなおす回数も違う。ただ恥ずかしい、無関心などといった意味を持つこともある。
3.× メンバーの座る位置を固定する必要はない。なぜなら、座る場所にも、それぞれ考えや対人の不安が見て取れるため。例えば、授業の席で、積極的な姿勢を持つ生徒は前の席に座るなど。
4.〇 正しい。患者の非言語的サインに注目する。非言語的サインとは、患者の表情やしぐさなどを指す。非言語的コミュニケーション(身振り・表情など)を用い交流することは、理解がしやすくなる。
5.× 話題が変わった場合でも、すぐに戻す必要はない。なぜなら、話題が変わったときに、また新しい気づきをもたらす可能性があるため。また話題が変わっても元に戻せたり、変わった話題と元の話題と関連付けて話せたりと、そのメンバーの能力も見ることができる。
89 精神保健医療福祉に関する法律について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。
2.障害者基本法の対象は身体障害と精神障害の2障害と規定されている。
3.発達障害者支援法における発達障害の定義には統合失調症が含まれる。
4.精神通院医療の公費負担は精神保健福祉法による自立支援医療で規定されている。
5.犯罪被害者等基本法は犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。
解答1/5
解説
障害者総合支援法は、2013年に障害者自立支援法から障害者総合支援法へと改正され、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。
①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
④市区町村が事業の母体である。
1.〇 正しい。自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。自殺対策基本法は、①自殺の防止と②自殺者の親族などの支援の充実を図り、国民が健康で生きがいをもって暮らすことのできる社会の実現を目的としている。年間の日本における自殺者数が3万人を超えていた日本の状況に対処するため制定された法律である。2006年6月21日に公布、同年10月28日に施行された。主として厚生労働省が所管し、同省に特別の機関として設置される自殺総合対策会議が、「自殺対策の大綱」を定める。
2.× 障害者基本法の対象は、「身体障害と精神障害の2障害」ではなく、「身体障害・知的障害・発達障害を含んだ精神障害の3障害」と規定されている。障害者基本法とは、障害者施策について基本事項を定め、障害者の自立と参加を総合的かつ計画的に推進することを目的としている法律である。
3.× 発達障害者支援法における発達障害の定義には、統合失調症が含まれない。発達障害者支援法とは、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、学習障害など)を持つ者に対する援助等について定めた法律である。発達障害を早期に発見し支援することで、発達障害者の自立および社会参加のための生活支援と共生社会の実現を目的とする法律である。発達障害の定義や発達障害者支援センターなどが規定されている。
4.× 精神通院医療の公費負担は、「精神保健福祉法」ではなく障害者総合支援法による自立支援医療で規定されている。精神保健福祉法とは、①精神障害者の医療及び保護を行うこと、②障害者総合支援法とともに、精神障害者の社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うこと、③精神疾患の発生の予防や、国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律である。(参考:「精神保健福祉法について」厚生労働省HPより)
5.〇 正しい。犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。犯罪被害者等基本法とは、犯罪等の被害に遭われた方やその家族・遺族の権利や利益を保護することを目的としている法律である。犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図る。
発達障害者支援法とは、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、学習障害など)を持つ者に対する援助等について定めた法律である。発達障害を早期に発見し支援することで、発達障害者の自立および社会参加のための生活支援と共生社会の実現を目的とする法律である。発達障害の定義や発達障害者支援センターなどが規定されている。
(定義)
第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
3 この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
4 この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。(※一部引用:「発達障害者支援法」e-GOV法令検索様HPより)
90 災害拠点病院について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.広域災害医療に対応する。
2.災害発生時に指定される。
3.医療救護班の派遣機能を持つ。
4.免震構造であることが指定要件である。
5.救急救命士の配置が義務付けられている。
解答1/3
解説
1.〇 正しい。広域災害医療に対応する。広域災害医療とは、災害時に被災した都道府県を越えて医療機関の稼動状況など災害医療に関わる情報を共有し、被災地域での迅速かつ適切な医療・救護に関わる各種情報を集約・提供することである。24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病者などの受け入れおよび搬出を行うことが可能な体制を有することが求められる。
2.× 「災害発生時」ではなく、平常時から指定されている。なぜなら、災害発生時に災害拠点病院を指定したのでは、災害に適切かつ迅速に対応することができないため。発災前を準備期として、計画・訓練・備蓄などを実施しておく必要がある。
3.〇 正しい。医療救護班の派遣機能を持つ。災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し、その派遣体制を有することが求められる。
4.× 「免震構造」ではなく、耐震構造あることが指定要件である。免震構造とは、建物と地盤の間に免震装置を設けて建物自体の揺れを軽減する仕組みである。一方、耐震構造とは、地震の揺れに耐えられるよう、建物の構造自体の強度を高めた構造である。免震構造であることが望ましいが、現時点では指定要件になっていない。
5.× 救急救命士の配置は、義務付けられていない。救急救命士とは、病院への搬送途上及び医療機関に到着し外来での診療を終える、若しくは患者が入院するまでの間において救急救命処置を施し、重度傷病者の生命の危機を回避することを目的とした国家資格の名称のことである。
災害拠点病院とは、災害発生時(地震・津波・台風・噴火など)に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことである。平成8年に当時の厚生省が定めた。医療救護活動の中核を担う病院で都道府県によって指定される。基幹災害医療センター(基幹災害拠点病院)は、各都道府県に原則1か所以上、地域災害医療センター(地域災害拠点病院)は、二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備される。
【主な特徴】
・24時間緊急対応できる。
・被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つ。
・DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣機能を持つ。
・搬送をヘリコプターなどを使用して行える。
・消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
・自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。
【DMAT(災害派遣医療チーム)の特徴】
定義:災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。
①都道府県の派遣要請に基づく。
②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。
③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。
※(参考:「DMATとは」厚生労働省HPより)