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46 平成24年(2012年)の就業構造基本調査における65歳以上75歳未満の高齢者の就業について正しいのはどれか。
1.女性では就業している者の割合は40%以上である。
2.就業していない者よりも就業している者の割合が多い。
3.就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。
4.就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。
解答4
解説
就業構造基本調査とは、国民の就業及び不就業の状態を調査し、全国及び地域別の就業構造 に関する基礎資料を得ることを目的に、昭和31年(1956年)から昭和57年(1982年)までは おおむね3年ごと、昭和57年以降は5年ごとに実施している。
1.× 女性では就業している者の割合は、「40%以上」ではなく29.8%(65歳以上70歳未満)ある。55歳以上の者について、男女、年齢階級、就業状態、就業希望の有無別の割合をみると、男性の有業者は「55~59歳」で89.7%、「60~64歳」で72.7%、「65~69歳」で49.0%となって、おり、男性の就業を希望する無業者は60歳から74歳までの各年齢階級では約1割となっている。また、女性の有業者は「55~59歳」で65.0%、「60~64歳」で47.3%、「65~69歳」で29.8%、となっており、女性の就業を希望する無業者は55歳から69歳までの各年齢階級では約1割となっている(※引用:「平成24年就業構造基本調査」厚生労働省様)。
2.× 就業していない者よりも就業している者の割合が、「多い」のではなく少ない。就業している者の割合は、65歳以上70歳未満では39.0%、70歳以上75歳未満では24.7%である。いずれも就業していない者の割合のほうが多い。
3.× 就業していない者のうち、就業を希望しているのは、20%に満たない。65歳以上70歳未満では17.9%、70歳以上75歳未満では12.0%である。
4.〇 正しい。就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は、成人期より多い。就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は、成人期(25~60歳)では25~30%程度である。しかし、65歳以上70歳未満では43.1%、70歳以上75歳未満では30.8%である。
数値までは覚える必要はないが、年々の傾向を覚えておこう。下の参考リンクから、「目次の結果の概要」だけでも読んでおくとよい。(※データ引用:「平成24年就業構造基本調査~結果の概要~」総務省統計局様HPより)
47 高齢者施設に入所中のAさん(78歳、女性)は、長期間寝たきり状態で、便秘傾向のため下剤を内服している。下腹部痛と便意を訴えるが3日以上排便がなく、浣腸を行うと短く硬い便塊の後に、多量の軟便が排泄されることが数回続いている。
既往歴に、消化管の疾患や痔はない。
Aさんの今後の排便に対する看護として最も適切なのはどれか。
1.直腸の便塊の有無を確認する。
2.止痢薬の処方を医師に依頼する。
3.1日の水分摂取量を800mL程度とする。
4.食物繊維の少ない食事への変更を提案する。
解答1
解説
・高齢者施設に入所中のAさん(78歳、女性)
・長期間寝たきり状態:便秘傾向のため下剤を内服。
・下腹部痛と便意を訴える。
・3日以上排便がなく、浣腸を行うと短く硬い便塊の後に、多量の軟便が排泄されることが数回続いている。
・既往歴:消化管の疾患や痔はない。
→Aさんは、便秘に対して、内服でコントロールしている。多量の軟便が排出されていることから、おおむね目標の便の硬さであると考えられる。
1.〇 正しい。直腸の便塊の有無を確認する。なぜなら、浣腸を行った際、最初に短く硬い便塊が出てくることから、直腸の便塊が排便を阻害している可能性があるため。
2.× 止痢薬の処方を医師に依頼する必要はない。なぜなら、本症例は、多量の軟便が排出されていることから、おおむね目標の便の硬さであると考えられるため。止痢薬の使用で腸蠕動がさらに低下し、便秘傾向が悪化することが考えられる。
3.× 1日の水分摂取量を800mL程度とする必要はない。なぜなら、高齢者の水分摂取量は、食事も含めて1500~2000 mL/日が理想的であるため。したがって、800 mL/日は少ないといえる。水分摂取量が少ないと便秘を助長するだけでなく脱水症状を起こすおそれもある。ちなみに、脱水症状とは、体内の水分が2%失われると、のどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめる。3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状が現れる。10%以上になると、死にいたることもある。4.× 食物繊維の「少ない食事」ではなく多い食事への変更を提案する。なぜなら、食物繊維は排便を促す作用があるため。食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されにくい(胃腸に負担をかける)ため、腸を刺激して便通を促す働きを持つ。また、カロリーも少なく、肥満防止となる食物繊維の働きは、高血圧、高脂血症、糖尿病の食事療法に効果がある。
48 老年期のうつ病に特徴的な症状はどれか。
1.幻覚
2.感情鈍麻
3.心気症状
4.着衣失行
解答3
解説
①悲哀(ひあい:悲しく哀れな気持ち)の訴えが少ないが、心気的な訴えが多い。記憶力の衰えに関する訴え(「ものおぼえが悪くなった」「物忘れが増えた」)がうつ病を示唆する重要な症状である可能性がある。抑うつ気分と記憶に関する主観的な訴えとは強く関連している。とくに65-75歳の比較的「若い」高齢者でその傾向が強い。
②意欲や集中力の低下、精神運動遅延が目立つ。
③身体的な不健康と関係があり、意欲・集中力の低下や認知機能の低下がみられることが多い。
④器質的原因、薬物起因性のうつ病は若年者よりも高齢者で多い。
⑤脳血管性病変に関連する「血管性うつ病」の存在が考えられており、脳血管性障害の患者はうつ病の可能性が高い。
⑥不安症状がしばしば併存する。
(※参考:「資料8-1 高齢者のうつについて」厚生労働省様HPより)
1.× 幻覚は、主に統合失調症(陽性症状)でみられる。幻覚は「本来であれば、ないはずの知覚を体験する」症状のことで、①幻視や②幻聴などがある。ちなみに、統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
2.× 感情鈍麻は、主に統合失調症の慢性期に出現する。感情鈍麻とは、その人らしい情緒性や道徳性が低下したり、嬉しい・楽しい・悲しい、などの感情表現が乏しくなることをいう。
3.〇 正しい。心気症状は、老年期のうつ病でみられる。心気症状とは、医学的には異常はないのに、些細な症状に対して「自分は大変な病気にかかっているのではないか」という想いにとらわれてしまう症状である。
4.× 着衣失行は、脳血管性認知症などでみられる。着衣失行とは、衣類と身体の関係がつけられず、衣服が着られない。劣位半球の頭頂葉の障害で起こる。
49 高齢者に術後の呼吸器合併症が発症しやすい理由で正しいのはどれか。
1.残気量の減少
2.肺活量の低下
3.嚥下反射の閾値の低下
4.気道の線毛運動の亢進
解答2
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
1.× 残気量は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、高齢者では、呼吸筋の筋力低下や胸郭の柔軟性の低下によって息を吐きづらくなるため。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
2.〇 正しい。肺活量は低下する。なぜなら、高齢者では、呼吸筋の筋力低下や胸郭の柔軟性の低下によって息を吐きづらくなるため。肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
3.× 嚥下反射の閾値は、「低下」ではなく上昇する。閾値とは、感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量である。したがって閾値が高いと(上がると)、 感覚を感じにくくなることをさす。加齢に伴う嚥下機能に関連した変化としては、①歯の欠損、②舌運動の機能低下、③咀嚼力低下、④唾液分泌の低下、⑤口腔感覚の鈍化、⑥咽頭の食物通過時間の延長などが挙げられる。喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。つまり、嚥下しにくくなるため、誤嚥などが起こりやすく、誤嚥性肺炎の原因となる。
4.× 気道の線毛運動は、「亢進」ではなく低下する。よって、痰(気道分泌物)を排出しにくくなる。結果的に、肺炎などの感染症を発症しやすくなる。ちなみに、気道の線毛運動とは、気道に入った異物は粘液で捕らえられ、その下にある線毛が1分間に約0.5~1センチメートルの速さで外へ向かって異物を移動していく。咽頭へ戻された異物は、痰として体外に排出されたり、食道から胃に入り消化されたりする。
類似問題です↓
50 学童期の肥満について正しいのはどれか。
1.肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。
2.肥満傾向児は高学年より低学年が多い。
3.肥満傾向児は男子より女子が多い。
4.成人期の肥満に移行しやすい。
解答4
解説
【身体計測に基づく評価】
①肥満度(過体重度)=〔実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)〕/身長別標準体重(kg)×100(%)
標準の範囲:-20%~20%未満
軽度肥満:20%~30%未満
中等度肥満:30%~50%未満
高度肥満:50%以上
②腹囲測定へその高さで腹囲を計測
1.× 肥満傾向児は、肥満度「30%以上」ではなく、20%以上と定義される。
①肥満度(過体重度)=〔実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)〕/身長別標準体重(kg)×100(%)
標準の範囲:-20%~20%未満
軽度肥満:20%~30%未満
中等度肥満:30%~50%未満
高度肥満:50%以上
2.× 肥満傾向児は、高学年より低学年のほうが、「多い」のではなく少ない。文部科学省「平成30年度 学校保健統計調査」の確定値報告によると、男子の肥満傾向児の割合は、5歳で2.58%、11歳で10.01%、14歳8.36%、17歳10.48%。女子は5歳2.71%、11歳8.79%、14歳7.22%、17歳7.94%。男女ともに1977年度以降、肥満傾向児の割合が増加傾向にあったが、2003年度あたりから概ね減少傾向にある。
3.× 逆である。肥満傾向児は、「女子」より「男子」が多い。学齢期の各年齢で約1%男子の方が女子より多い。
4.〇 正しい。成人期の肥満に移行しやすい。学童前期の肥満児の約40%が、思春期では70~80%が成人肥満に移行する。子どもの肥満のほとんどは、単純性肥満(原発性肥満)といって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生じる。食事やおやつ、ジュース類などの過剰摂取、バランスの悪い食事、長時間座ったままのゲームやテレビの視聴などによる運動不足のほか、睡眠不足や朝食を抜くことも肥満を悪化させる要因となる。