第106回（H29） 看護師国家試験 解説【午後36～40】

解答1

解説

1．〇　正しい。細菌の特定は、中間尿を用いる。なぜなら、最初と最後の尿は外尿道口周囲の細菌が混入するため。中間尿とは、排尿のし始めの尿を捨てて、排尿の中間あたりの尿を集める採尿方法である。出始めの尿には尿道口や尿道内の細菌が混じっている可能性があるため、このような方法で採尿が行われる。
2．×　杯分尿は、「腎機能の評価」ではなく尿道の病変の推定である。杯分尿試験（トンプソン試験）は、男性の血尿・膿尿の病変部位の特定のために有用な採尿法である。はじめの尿と終わりの尿を別々のコップに分けて採り、それぞれの尿の色調を見ることにより疾患部位を予測する方法である。具体的には、初尿からのみ血尿・膿尿が見られた場合は前部尿道、終末時尿からのみ見られた場合は、後部尿道から膀胱の病変を示唆する。また、どちらも血尿の場合には、上部尿路病変を示唆する。
3．×　24時間尿は、「肝機能の評価」ではなく腎機能の評価である。24時間尿とは、24時間蓄尿することをいい、尿量や尿蛋白量を通して腎機能を評価する時などに用いる。
4．×　早朝尿は、「尿道の病変の推定」ではなく体位性蛋白尿の除外である。早朝尿とは、起床直後の尿のことをいい、成分が濃縮された状態のため様々な病気の診断などに用いる。早朝尿を取るメリットは、体動や運動の影響が除外され、濃縮尿のため感度よく蛋白を検出しうる点でも特徴的である。思春期前後の小児では体位性蛋白尿（起立性蛋白尿）を除外したいときに用いられる。

解答3

解説

1．×　労働組合法とは、労働組合の規律等を定めた日本の法律である。資本家に対抗するために労働力の集団的取引を確保するため、労働組合の結成を妨害することは不当労働行為等の条文によって保護され、合法的に労働組合の結成を妨害することは不可能な構造となっている。
2．×　労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
3．〇　正しい。労働安全衛生法は、職業病や労働災害の防止、より健康的な労働環境の確保および労働者の健康の向上を目的としている法律である。労働安全衛生法とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。
4．×　労働関係調整法とは、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決するための手続きを定めた法律である。大規模な争議行為が発生して社会生活に影響を与えるような場合、労働委員会による裁定を行うことを規定している。

解答3

解説

1．×　無気肺は、原因としては考えにくい。なぜなら、本症例は、合併症のない全身状態が良好な患者であるため。無気肺とは、何らかの原因によって、肺含気量の減少および、これに基づく肺容量減少を呈した病態をいう。無気肺の一般的な原因は、気管支の閉塞である。
2．×　食道挿管は、原因としては考えにくい。なぜなら、右胸郭の挙上には問題がないため。食道挿管した場合の特徴として、①両側の胸郭の挙上は認めらない、②呼吸音は聴取できない、③胃は膨隆するなどがあげられる。
3．〇　正しい。片肺挿管が原因として考えられる。片肺挿管した場合の特徴として、①片側胸郭の挙上が不良になる、②聴診で片側の肺の音が聞こえないなどがあげられる。気管支は、左右の角度が異なるため（およそ右25°、左35～45°）、右主気管支への片肺挿管が起こりやすい。
4．×　換気量不足は、原因としては考えにくい。なぜなら、換気量不足の場合、両側胸郭の挙上が不良になるため。

（※画像引用：中高津クリニック様HP）

解答2

解説

1．×　食材にこんにゃくを入れるのは不適切である。なぜなら、こんにゃくは、誤嚥を起こしやすいため。食材は、こんにゃくのように、咀嚼しにくく、口の中でまとまらないものより、ゼリーのようにとろみがついているものの方が誤嚥は少ない。
2．〇　正しい。｢体を起こしたら、左の脇の下をクッションで支えましょう｣は、適切である。なぜなら、左片麻痺がある患者は、麻痺側（左側）に傾きやすいため。したがって、安定した坐位を保持できるように、麻痺側（左側）の体幹をクッションなどを用いて支持する。
3．×　口の「左側」ではなく右側に食べ物を入れるようにアドバイスする。なぜなら、左側（麻痺側）は、咀嚼・嚥下しにくく、麻痺側の口腔内に食物が溜まると誤嚥しやすくなるため。頸部回旋法とは、横を向いて嚥下することで、横を向いた方と反対側の咽頭部が広くなり、食塊の通りをスムーズにする方法である。咽頭通過が不良な場合や咽頭残留が多い場合に用いられる代償的方法である。
4．×　飲み込むときに咳が出ていなくても、誤嚥の可能性はある。
なぜなら、不顕性誤嚥がみられるため。不顕性誤嚥とは、むせない誤嚥のことで、病気が原因の神経麻痺や加齢に伴う筋力の衰えにより気管の感覚が鈍くなることや、嚥下反射の低下が主な原因で起こる。高齢者の場合でも、咳嗽反射が低下していることが多くむせなくても気管内に誤嚥している可能性がある。

解答2

解説

1．×　万能カフとは、フォークやスプーンに巻きつけて使う補助具で、握力の弱い方や手指の曲がらない（頚髄損傷：C5）に対し適応となる。
2．〇　正しい。長柄ブラシは、関節リウマチによって肩関節に痛みがある患者の関節保護のための自助具である。長柄ブラシとは、長い柄がついているため、肩を動かさずに髪をとかしたり洗髪したりすることができる。したがって、リーチ制限を代償するための自助具である。
3．×　コップホルダーとは、握力が弱くてもコップを持てるように工夫された自助具である。
4．×　レバー式ドアノブとは、握力が弱くてもドアノブをひねって回す動作をできるように工夫された自助具である。