第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後21~25】

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21 Kaup<カウプ>指数の計算式はどれか。

解答1

解説

カウプ指数とは?

カウプ指数とは、生後3か月から5歳までの乳幼児に対して、肥満や、やせなど発育の程度を表す指数である。 成人で使用されるBMIと同じ計算法であるが判定基準が異なる。 カウプ指数の正常値はおおよそ15~19とされており、それ以上を肥満、以下をやせと判定する。

体重(g)÷【身長(cm)の二乗】× 10

15≦標準値<19

1.〇 正しい。体重(g)/身長(cm)2 × 10は、カウプ指数の計算式である。標準値は、15~19である。
2.× 体重(g)/身長(cm)3 × 104は、ローレル指数の計算式である。ローレル指数とは、学童期以降の肥満の程度を示すものである。標準値は115~145である。
3.× 体重(kg)/身長(m)2は、BMIの計算式である。BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
4.× 実測体重(kg)-標準体重(kg)/標準体重(kg)× 100は、肥満度を表す計算式である。±10%以内が理想である。小児の場合、肥満判定は幼児期で15%以上、学童期で20%以上である。

 

 

 

 

 

22 針刺し事故によって感染するのはどれか。

1.RSウイルス
2.B型肝炎ウイルス
3.ヘルペスウイルス
4.サイトメガロウイルス

解答2

解説

針刺し事故とは?

針刺し事故とは、医療従事者が業務中に、患者血液が付着した器具によって被る外傷を代表例として示す言葉である。これら外傷は、日常の診療行為のなかで常に 起こりうる状況にあり、医療従事者それぞれが本人自身および他人のことを考えて注意を払えば、確実に減少させうる種類の事故である。

1.× RSウイルスとは、飛沫感染や接触感染で感染し、乳幼児に呼吸器感染症を起こす。RSウイルス感染症とは、年齢を問わず感染を起こすが、特に乳幼児期において重要な病原体である。初感染は、軽症の感冒様症状から重症の細気管支炎や肺炎などの下気道疾患に至るまで様々である。しかしながら、初感染においては下気道疾患を起こす危険性は高い。1/3 が下気道疾患を起こすと報告されている。発熱・鼻汁などの上気道炎症症状が数日続き、そのあと下気道症状が出現する。
2.〇 正しい。B型肝炎ウイルスは、代表的な血液媒介感染症である。したがって、針刺し事故によって感染する。B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって生じる肝臓の病気のことである。B型肝炎ウイルスは主に感染者の血液や体液を介して感染する。たとえば、注射針を感染者と共用した場合や、感染者と性行為をした場合などに感染することがある。しかし、B型肝炎にはワクチンがあるため、適切にワクチンを接種することによって感染を予防することができる。
3.× ヘルペスウイルスの感染経路は、接触感染である。性器ヘルペスウイルス感染症は、5類感染症の定点把握対象疾患である。ヘルペスウィルスの感染により性器に水泡(水ぶくれ)、腫れ、痛み、かゆみなどの症状が起こる。初めての感染のときに症状が強く出て、全身倦怠感やリンパ節の腫れを起こす。発病後たいてい1~2週間で症状は治まる。
4.× サイトメガロウイルスの感染経路は、通常、幼小児期に不顕性感染の形で感染(接触感染)する。サイトメガロウイルスとは、一度感染が成立すると持続潜伏感染するウイルス(ヘルペスウイルス感染症)で、感染経路は母乳感染、尿や唾液による水平感染が主経路であり、産道感染、輸血による感染、性行為による感染なども認められている。 症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多岐にわたる。

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

23 氷枕の作り方で適切なのはどれか。

1.氷を隙間なく入れる。
2.濡れたタオルで覆う。
3.内部の空気は残しておく。
4.水漏れがないことを確認する。

解答4

解説

1.× 氷を「隙間なく」ではなく、1/2~2/3くらい入れるのが良い。なぜなら、氷を隙間なく入れた場合、氷が解けた時、頭が水の上に浮かんでいる感覚で安定しにくいため。したがって、1/2~2/3くらい入れ、氷のすき間を埋めるために水をコップ1杯ほど入れるとよい。ちなみに、氷枕を作る時、氷の角は水をかけて丸くしておくとよい。
2.× 「濡れたタオル」ではなく乾いたタオルで覆う。なぜなら、過度な寒冷刺激により凍傷や感覚麻痺を起こすおそれがあるため。また、濡れたタオルはシーツなどを濡らし、不快感を与えてしまう。専用カバー(もしくはタオル)をかけるのが良い。
3.× 内部の空気は、「残しておく」のではなく抜いておく。なぜなら、氷枕の内部に空気があると、熱伝導が妨げられ、寒冷刺激は効果的に伝わらないため。
4.〇 正しい。水漏れがないことを確認する。なぜなら、水漏れがあると、冷水が首や背部に滴り冷やしてしまい、不快感を与えてしまうため。

 

 

 

 

 

24 一次救命処置時の成人への胸骨圧迫の深さで適切なのはどれか。

1.2〜3cm
2.5〜6cm
3.8〜9cm
4.11〜12cm

解答2

解説

一次救命処置とは?

 一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

成人に対する一次救命処置では、胸骨圧迫を30回したのち、人工呼吸を2回行い(30対2)、これを繰り返す。成人であれば胸骨が少なくとも5~6cm沈むように圧迫し、1分間に100~120回のテンポで行う。絶え間なく圧迫することが重要である。

心肺蘇生法ガイドライン2016では、成人への胸骨圧迫において押す深さは「5cm以上で6cmを超えない」(小児や乳児は、胸の約3分の1の深さ)、テンポは「100回~120回/分」となっている。したがって、選択肢2.5〜6cmが正しい。

 

 

 

 

 

25 災害時に最も優先して治療を行うのはどれか。

1.脱臼
2.気道熱傷
3.足関節捻挫
4.過換気症候群

解答2

解説

(※引用:医師会の災害時医療救護体制「トリアージの区分」)

トリアージとは

トリアージとは、災害時などの制約があるなかで、治療・搬送の優先順位を決めることである。災害時においては医療スタッフや医薬品などの医療資源が限られるため、より効果的に傷病者の治療を行うために、治療や搬送の優先順位を決定するものである。

1.3~4.× 脱臼/足関節捻挫/過換気症候群は、軽症群(緑色)の軽易な傷病となる。専門医の治療をほとんど必要としないものに分類される。
2.〇 正しい。気道熱傷は、災害時に最も優先して治療を行う。なぜなら、トリアージの分類では、緊急治療群(赤色)で、直ちに処置を行えば救命が可能であるため。

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