第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後16~20】

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16 水痘の症状はどれか。

1.耳下腺の腫脹
2.両頰部のびまん性紅斑
3.水疱へと進行する紅斑
4.解熱前後の斑状丘疹性発疹

解答3

解説

水痘とは?

水痘とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気である。子供の頃にかかった水痘ウイルスが数十年の潜伏期間を経て、免疫力が低下した時などに再活性化(回帰感染)して起こる。

1.× 耳下腺の腫脹は、流行性耳下腺炎の特徴的な症状である。流行性耳下腺炎とは、2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症である。通常1~2 週間で軽快する。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。流産の危険性が高くなる可能性があるが明確ではない。
2.× 両頰部のびまん性紅斑は、伝染性紅斑(りんご病)の特徴的な症状である。伝染性紅斑とは、頬に出現する蝶翼状の紅斑を特徴とし、小児を中心にしてみられる流行性発疹性疾患である。春から夏にかけて流行する傾向があり、4~5年周期で流行がみられる。近年では、2007年と2011年の流行の後、2015年に全国的な流行があった。妊婦が初めて感染した場合、約2割でウイルスが胎盤を通過し胎児感染を起こし、そのうち約2割が胎児の貧血や胎児水腫を起こす。これは、全初感染妊婦のおよそ4%にあたる。
3.〇 正しい。水疱へと進行する紅斑は、水痘の症状である。水痘は、水痘・帯状庖疹ウイルスによる感染症で、急性期には空気感染により水痘を発症する。治癒後は、水痘・帯状庖疹ウイルスが三叉神経節や脊椎後根神経節に数年~数十年潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化することで帯状疱疹を発症する疾患である。水痘では、紅斑から盛り上がった赤い発疹である丘疹が出現し、次第に水疱へと進行し、痂皮化(かひか)する。
4.× 解熱前後の斑状丘疹性発疹は、突発性発疹の特徴的な症状である。突発性発疹とは、乳児期に罹患することが多く、突然の高熱と解熱前後の発疹を特徴とするウイルス感染症(ヒトヘルペスウイルス)である。一般的に、予後は一般に良好である。38℃以上の発熱が3日間ほど続いた後、解熱とともに鮮紅色の斑丘疹が体幹を中心に顔面、四肢に 数日間出現する。随伴症状としては、下痢、眼瞼浮腫、大泉門膨隆、リンパ節腫脹などがあげられるが、多くは発熱と発疹のみで経過する。

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

17 血漿と等張のブドウ糖溶液の濃度はどれか。

1.5%
2.10%
3.20%
4.50%

解答1

解説

1.〇 正しい。5%が血漿と等張のブドウ糖溶液の濃度である。血漿と等張とは、血漿と浸透圧が等しいという意味である。血漿の浸透圧とほぼ等しい(等張)濃度にするために、5%ブドウ糖液には水に5%のブドウ糖と、生理食塩液には水に0.9%(154mEq/L)の塩化ナトリウム(NaCl)がそれぞれ添加されている。

2~4.× 10%~50%ではない。ちなみに、静脈に入れる点滴などの溶液の浸透圧が、血漿浸透圧の3倍を超えると、浸透圧差が大きくなり静脈炎を引き起こす危険がある。

 

 

 

 

 

18 ジャパン・コーマ・スケール<JCS>で「刺激しても覚醒せず痛み刺激に対して払いのけるような動作をする」と定義されるのはどれか。

1.Ⅰ-3
2.Ⅱ-20
3.Ⅲ-100
4.Ⅲ-300

解答3

解説

(※図引用:「意識レベル(JCS:Japan Coma Scale)」堺市HPより)

1.× Ⅰ-3は、常に覚醒している状態であるが、自分の名前や生年月日が言えない状態である。
2.× Ⅱ-20は、大声で呼びかけたり、強く揺すったりすると開眼する状態である。
3.〇 正しい。Ⅲ-100は、刺激しても覚醒せず痛み刺激に対して払いのけるような動作をする状態である。
4.× Ⅲ-300は、痛み刺激に対し全く反応しない状態である。

 

 

 

 

 

19 グリセリン浣腸を実施する際、腸管穿孔の危険性が最も高い体位はどれか。

1.立位
2.仰臥位
3.腹臥位
4.左側臥位

解答1

解説

グリセリン浣腸とは?

グリセリン浣腸とは、直腸内に50%グリセリン液を注入して排便を促す処置のことである。術前処置または便秘の治療として、直腸内容物を除去するために行われる。浣腸は一般的な処置であるが、腸管穿孔や溶血、血圧低下などさまざまなリスクがある。グリセリン洗腸を実施する際に発生のおそれがある腸管穿孔は、グリセリン浣腸のチューブが直腸前壁に当たって腸管粘膜を損傷することで起こる。肛門から直腸前壁までの長さが最も短いときに接触の危険性が高くなる。したがって、浣腸時の体位は左側臥位が基本である。なぜなら、左側臥位にする理由は、注入した浣腸液が直腸からS状結腸、そして下行結腸まで到達しやすいためである。

1.〇 正しい。立位は、腸管穿孔の危険性が高い。なぜなら、腹圧がかかり、直腸前壁の角度が鋭くなり、チューブが直腸前壁に当たりやすくなるため。また、立位では肛門の位置が確認しにくいため、チューブの挿入が目視できず危険である。
2~3.× 仰臥位/腹臥位より腸管穿孔の危険性が高い体位は他にある。なぜなら、臥位は腹圧がかかりにくいため。腹圧がかかりやすい立位が選択肢の中で最も腸管穿孔の危険性が高い。
4.× 左側臥位が、グリセリン院腸に最も適した体位である。なぜなら、左側臥位にする理由は、注入した浣腸液が直腸からS状結腸、そして下行結腸まで到達しやすいためである。腸管の走行どおりに院腸液を流すことができる。

 

 

 

 

 

20 体位を図に示す。
 Sims<シムス>位はどれか。

解答1

解説

シムス位とは?

Sims位とは、腹臥位に近い側臥位である。お腹を押しつぶすことなく敷布団に預けることができるため、重苦しさを感じにくい寝姿勢である。膣や直腸の診察に用いる体位で、妊婦特有の違和感をやわらげる効果も期待できる。

したがって、選択肢1半腹臥位(シムス位)である。Sims位は、膣や直腸の診察や処置、妊婦の吸息の際の体位として用いられるほか、意識障害患者の舌根沈下予防などに用いられる。肘や膝を軽く折り曲げ腹臥位にならないように身体を支えたり、抱き枕などを使用するケースもある。

 

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