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6 妊娠期にみられる女性生殖器の変化で正しいのはどれか。
1.外陰部の色素沈着は増加しない。
2.子宮頸管は妊娠後すぐに粘液で塞がれる。
3.妊娠黄体は分娩までプロゲステロンを分泌する。
4.妊娠末期からBraxton-Hicks〈ブラクストン・ヒックス〉収縮が子宮に出現する。
解答2
解説
1.× 外陰部の色素沈着は「増加する」。なぜなら、妊娠により増加したエストロゲン、プロゲステロンといったホルモンにより、メラニン色素が増加するため。これを妊娠性色素沈着という。乳輪、脇の下、陰部、肛門の周り、腹部正中線に生じる。他にも、つわりで栄養不足になったり、赤ちゃんに優先的に栄養をいきわたらせるため、髪にいくはずの栄養が少なくなったりすることで抜け毛が増えると言われている。
2.〇 正しい。子宮頸管は妊娠後すぐに粘液で塞がれる。なぜなら、妊娠初期には、胎児を感染から保護する役割を果たすため。
3.× 妊娠黄体は「分娩まで」ではなく約15週までプロゲステロンを分泌する。妊娠初期に妊娠黄体を刺激し、エストロゲン(卵胞ホルモン)・プロゲステロン(黄体ホルモン)を産生させ黄体を維持する。約15週よりプロゲステロンの産生場所が胎盤に移り、妊娠黄体を刺激する必要がなくなりhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は減少していく。
4.× 「妊娠末期」ではなく妊娠中期からBraxton-Hicks〈ブラクストン・ヒックス〉収縮が子宮に出現する。Braxton-Hicks<ブラックストン・ヒックス>収縮とは、「偽陣痛、本陣痛への練習」 とも呼ばれており、本陣痛の時に感じる収縮と似ている。子宮口は開いていないが、不規則な子宮収縮をすることで、母体の子宮が出産への準備をしている。
・妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)
・妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)
・妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)
7 羊水について正しいのはどれか。
1.抗菌作用を有する。
2.pHは4~5である。
3.妊娠40週ころに最大量となる。
4.妊娠中期以降は胎盤が主な産生源である。
解答1
解説
羊水とは、羊水腔を満たす液体であり、その99%が母の血液の成分からつくられている。妊娠中期以降は胎児尿が主な生産源である。胎児は16週ころから羊水を嚥下し排尿行動と合わせて羊水量を維持する。嚥下した羊水は、食道・胃・小腸・大腸へと移行し、消化管の成熟を助ける。妊娠20週になると羊水量は350mlになり、赤ちゃんの腎臓が発達して、おしっこが出るようになる。赤ちゃんが羊膜腔内に満たされた羊水を飲み込んでは、おしっこをする「胎児循環」のしくみができあがっていく。羊水量が保たれていることは、羊水中で胸郭運動を行う胎児の肺発育にとってきわめて重要である。羊水は子宮の収縮によって胎児にかかる圧力を均等に分散し、臍帯や胎盤への圧力を軽減させる。 同時に、胎動が直接母体に伝わることを防ぎ、胎動による母体の痛みを緩和する。一方、羊水には外界や母体の温度変化からの緩衝作用があり胎児の体温を一定に保つ働きがある。
【羊水の働き】
①胎児の保護作用(物理的および機械的刺激に対する保護作用、感染防御作用、前期破水および早産の予防)
②胎児発育にかかわる作用
③分娩時の作用
④羊水から得られる臨床情報
1.〇 正しい。抗菌作用を有する。これが働くことで、子宮内感染などを防ぐことができる。羊水の機能としては、①卵膜と羊水によって外的な衝撃、②細菌やウイルス等の感染から守る。羊水は妊娠期間を通じて胎児と胎盤を含む卵膜表面からの産生と吸収の循環を繰り返しある一定量を維持している。
2.× pHは「4~5」ではなく7~8である。弱アルカリ性である。なぜなら、羊水のもととなっている母体の血液(pH7.4)に由来しているため。
3.× 「妊娠40週」ではなく、妊娠34週ころに最大量となる。羊水量は、赤ちゃんの成長の段階によって変わっていく。一般的には、妊娠週数が進むにつれて増えていき、30~35週に約800mlとピークを迎え、40週を過ぎると500ml以下になり減少する。なぜなら、出産に向けて子宮への血流が減少するためである。
4.× 妊娠中期以降は、「胎盤」ではなく胎児尿が主な産生源である。羊水とは、羊水腔を満たす液体であり、その99%が母の血液の成分からつくられている。妊娠中期以降は胎児尿が主な生産源である。胎児は16週ころから羊水を嚥下し排尿行動と合わせて羊水量を維持する。ちなみに、妊娠初期の羊水産生は、主に胎盤と胎児の皮膚からの蒸散などである。
8 Dubowitz法における新生児の神経学的所見で点数が低いのはどれか。
1.上肢のもどり反応90度
2.手首の角窓0度
3.膝窩角90度
4.足首の背屈90度
解答4
解説
Dubowiz法(デュボヴィッツ法)とは、姿勢・筋緊張・反射などの検査から新生児の全体的な反応をとらえ、中枢神経系の機能不全に対する早期診断法として有用である評価法である。「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン」でも推奨グレードが高い。
1.× 上肢のもどり反応90度は、1点である。
2.× 手首の角窓0度は、4点である。
3.× 膝窩角90度は、4点である。
4.〇 正しい。足首の背屈90度は、0点である。
9 Aさん(38歳、女性)は3年前から不妊治療を受けている。「医師から新たな治療方法を勧められました。不妊治療をこのまま続けるか迷っています」と話す。助産師はAさんへの意思決定支援を行うことにした。
意思決定の共有モデル〈shared model〉に沿った助産師の対応はどれか。
1.「医師から説明があった治療を受けることをお勧めします」
2.「治療方法の説明冊子があるので持ち帰ってご覧ください」
3.「治療継続のリスクや利点について一緒に考えましょう」
4.「ご家族に相談してはいかがですか」
解答3
解説
・Aさん(38歳、女性、3年前から不妊治療)。
・「医師から新たな治療方法を勧められました。不妊治療をこのまま続けるか迷っています」と。
・助産師はAさんへの意思決定支援を行うことにした。
→医療や健康に関わる意思決定において、①患者が十分に情報を得られること、②何を大事にして決めたいかをはっきりできるように支援する必要がある。
意思決定の共有モデル〈shared model〉とは、相互にコミュニケーションを取りながら、患者が正しく医学的情報を理解し、自分は何を大事にして決めたいかをよく考えて、自分らしい決定ができるようにつくられたものである。3つの段階がある。
①チョイストーク(選択の必要性についての話し合い)
②オプショントーク(選択肢についての話し合い)
③ディシジョントーク(決定についての話し合い)
1.× 「医師から説明があった治療を受けることをお勧めします」と伝える優先度は低い。なぜなら、Aさんの気持ちを考慮できていない発言であるため。医師と助産師の意見を一方的に伝えている。Aさんの選択を支援すべきである。
2.× 「治療方法の説明冊子があるので持ち帰ってご覧ください」と伝える優先度は低い。なぜなら、Aさんは治療方法に疑問を持っているわけではないため。冊子は、治療方法の説明の一助としての道具である。
3.〇 正しい。「治療継続のリスクや利点について一緒に考えましょう」と伝える。なぜなら、Aさんは「不妊治療をこのまま続けるか迷っている」と言っており、新たな治療方法との情報整理がうまくできていないため。治療継続のリスクや利点について一緒に考えることで、選択する内容について誤解がないか、患者の理解を確認することができる。
4.× 「ご家族に相談してはいかがですか」と伝える優先度は低い。なぜなら、意思決定の共有モデルの3つの段階に当てはまらないため。また、その態度や発言は、考えることを家族に放り投げたようにも感じとれ、信頼関係の喪失につながりかねない。
10 30歳の初産婦、既往歴なし。妊娠経過を以下に示す。
妊娠30週6日の状態で考えられるのはどれか。
1.妊娠高血圧
2.高血圧合併妊娠
3.妊娠高血圧腎症
4.加重型妊娠高血圧腎症
解答3
解説
・16週6日:正常範囲で経過。
・28週6日:尿蛋白(2+)
・30週6日:血圧150/103
→それぞれの選択肢の病気の定義をしっかり覚えておこう。
妊娠高血圧とは、妊娠20週以降に高血圧が出現し、分娩後12週までに正常化する場合である。
妊娠高血圧腎症とは、妊娠20週以降に高血圧と蛋白尿が出現し、分娩後12週までに正常化する場合である。
1.× 妊娠高血圧は考えにくい。妊娠高血圧とは、妊娠20週以降に高血圧が出現し、分娩後12週までに正常化する場合である。ただし、妊娠高血圧腎症に当てはまらないものをいう。
2.× 高血圧合併妊娠は考えにくい。高血圧合併妊娠とは、妊娠前または妊娠20週未満、または分娩後12週以降も140/90mmHg以上の高血圧を認める場合をいう。
3.〇 正しい。妊娠高血圧腎症が妊娠30週6日の状態で考えられる。妊娠高血圧腎症とは、妊娠20週以降に高血圧・蛋白尿が出現した場合をいう。妊娠前から高血圧と蛋白尿が存在し、妊娠20週以降にいずれかが増悪し、臓器損傷などをきたした場合でも診断される。
4.× 加重型妊娠高血圧腎症は考えにくい。加重型妊娠高血圧腎症の定義の一つとして、高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降に蛋白尿、もしくは基礎疾患のない肝腎機能障害、脳卒中、神経障害、血液凝固障害のいすれかを伴う場合をいう。
(※図引用:「妊娠高血圧腎症の診断」著:神田昌子より)