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26 A病院の産科病棟では、個人の活動目標に対して年度末に病棟師長が面接を行っている。
入職2年目の助産師Bとの面接で適切なのはどれか。
1.病棟師長は看護部の事業計画に沿って次の課題をBに指示する。
2.Bが設定した目標に対しての実践内容を述べてもらう。
3.達成できなかった助産技術を中心に評価する。
4.Bの次年度の個人目標は病棟師長が決定する。
解答2
解説
(※図引用:「助産実践能力習熟段階 活用ガイド2022」日本看護協会より)
1.× 病棟師長は、「看護部の事業計画」ではなく育成計画に沿って次の課題をBに指示する。助産師としてのキャリアのゴールをどこに持っていくかを考え、それを達成するためにどのような経験が必要か、組織の資源を活用して自らのキャリアをデザインする必要がある。ちなみに、事業計画とは、事業の達成目的、目標、達成する計画・過程を示した公式のステートメントまたはその文書のことである。
2.〇 正しい。Bが設定した目標に対しての実践内容を述べてもらう。なぜなら、入職2年目の助産師Bは、「基本的実践能力獲得期」に該当するため。職場や職業への適応状況の把握と支援を実施し、適切なフィードバックをする。
3.× 「達成できなかった助産技術を中心」にではなく総合的に評価する。なぜなら、評価者が漏れなく正しい評価ができているとは限らないため。1年間にわたり細かく習熟状態を把握・共有し、レベルアップのための個目標を明確にする必要がある。
4.× Bの次年度の個人目標は、「病棟師長」ではなくB自身が決定する。上司と助産師が年間の目標を管理する面接を行うとき、助産師は自分が目指す到達目標の達成に向け、学習内容や技術習得の具体的な行動計画を立てる。上司は、助産師から出された目標が到達に向けた目標になっているかを確認し、アドバイスするとともに、計画通りに実施できるよう支援する。目標の達成を評価するには、抽象的な表現は避け、具体性(例えば目標を数値化する)をもたせることが重要となる。
27 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律で、戸籍上の性別の取扱いについて変更の審判ができる条件に含まれるのはどれか。
1.16歳以上であること。
2.婚姻状態にある場合は配偶者の同意があること。
3.心理専門職によるカウンセリングを受けていること。
4.生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態であること。
解答4
解説
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律とは、2003年7月10日に成立した日本の法律である。性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者につき、家庭裁判所の審判により、法令上の性別の取扱いと、戸籍上の性別記載を変更できる。施行は2004年7月16日。通称として「性同一性障害特例法」や「性同一性障害者特例法」がある。
1.× 「16歳以上」ではなく18歳以上であること。これは、第三条に規定されている。
2.× 婚姻状態にある場合は配偶者の同意があることの規定はない。第三条には、「現に婚姻をしていないこと」が記載されている。
3.× 心理専門職によるカウンセリングを受けていることの規定はない。ただし、第二条(定義)には、「この法律において、性同一性障害者とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう」と記載されている。
4.〇 正しい。生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態であること。性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律で、戸籍上の性別の取扱いについて変更の審判ができる条件に含まれる。これは、第三条四項に記載されている。
この法律によって、性同一性障害者のうち一定の要件を満たす者について、家庭裁判所の審判により、戸籍上の性別を変更することが認められるようになった。この法律では、性別変更の要件として5つを掲げて、これらをすべて満たす必要があると規定している。
(定義)
第二条 この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。
(性別の取扱いの変更の審判)
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
(※参考:「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)
28 外陰の構造を図に示す。
会陰はどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
5.E
解答5
解説
1.× Aは、恥丘(※読み:ちきゅう)である。恥丘とは、ヴィーナスの丘ともいい、女性の下腹部の恥骨結合上の皮膚表面にあたる、やや隆起している部分である。
2.× Bは、大陰唇(※読み:だいいんしん)である。大陰唇とは、太ももの付け根と小陰唇の間に見られる脂肪が豊かについている部分のことである。役割は、内側の生殖器と尿道口を保護する。
3.× Cは、小陰唇(※読み:しょういんしん)である。小陰唇とは、女性器の両脇にある大陰唇と呼ばれるふくらんだ部位の内側にある薄いひだ状の部分を指す。主な役割として、尿道口や膣を保護する。
4.× Dは、膣前庭(※読み:ちつぜんてい)である。腟前庭とは、左右の小陰唇に囲まれた舟型のくぼみのことをいう。その中心が腟口である。
5.〇 正しい。Eが会陰(※読み:えいん)である。会陰とは、膣口と肛門の間で、個人差がありますが長さ3cm程の部分である。
29 妊娠38週、分娩が進行している。胎児心拍数陣痛図を下図に示す。
胎児心拍数波形のレベル分類はどれか。
1.1
2.2
3.3
4.4
5.5
解答2
解説
本症例は、軽度変動一過性徐脈が疑われる。変動一過性徐脈とは、15bpm以上の心拍数減少が急速に起こり、開始から回復まで15秒以上2分未満の波形をいう。高度の判断は、①最下点が70 bpm未満で持続時間が30秒以上、②最下点が70 bpm以上80 bpm未満で持続時間が60秒以上で評価する。子宮収縮に伴って発生する場合は、一定の形を取らず、下降度、持続時間は子宮収縮ごとに変動することが多い。
胎児心拍数基線は、10分間の区間の平均心拍数で5の倍数で表現する。基線は一過性変動部分や基線細変動増加の部分は除外し、2分間以上持続している部分で判断する。胎児心拍数基線細変動は、胎児心拍数基線が判読可能な部分で判読する。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かい変動で、定義上、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅、周波数とも規則性がないものを指す。
①胎児心拍数基線
・頻脈:160bpm以上
・正常脈:110bpm~160bpm
・徐脈:110bpm未満
②胎児心拍数基線細変動
・細変動消失:肉眼的に認められない
・細変動減少:5bpm以下
・細変動中等度:6~25bpm
・細変動増加:26bpm以上
1.× 1は、正常波形である。
2.〇 正しい。2が胎児心拍数波形のレベル分類である。2は、亜正常波形である。心拍数基線が正常脈のうち、早発・軽度の一過性徐脈が2に該当する。他にも、心拍数基線が頻脈のうち早発の一過性徐脈が2に該当する。
3.× 3は、軽度異常波形である。
4.× 4は、中等度異常波形である。
5.× 5は、高度異常波形である。
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」より)
30 日齢2の新生児。授乳後に排気とともに非胆汁性の嘔吐がみられた。バイタルサインは、体温37.4℃、呼吸数50/分、心拍数150/分。オムツ交換をするとタール便を排泄しており、Apt〈アプト〉試験を行うとすぐに暗褐色に変化した。
この所見から考えられる状態はどれか。
1.壊死性腸炎
2.仮性メレナ
3.小腸閉鎖症
4.乳糖不耐症
5.新生児ビタミンK欠乏性出血症
解答2
解説
・日齢2の新生児。
・授乳後:排気とともに非胆汁性の嘔吐あり。
・バイタルサイン:体温37.4℃、呼吸数50/分、心拍数150/分。
・オムツ交換をするとタール便を排泄。
・Apt〈アプト〉試験:すぐに暗褐色に変化。
→タール便とは、胃潰瘍など上部消化管出血のときに排出される血便の一種である。一般的に食道、胃、十二指腸からの出血は、ヘモグロビンの鉄が胃酸で酸化されるため起こる。
→Apt〈アプト〉試験(アルカリ抵抗試験)とは、新生児の吐物や便が血性であった場合に新生児自身の消化管出血によるもの(新生児メレナ)か、出生時に飲み込んだり、授乳時に乳首が切れて乳汁に混じって嚥下された母体血(仮性メレナ)かを鑑別するための検査である。
1.× 壊死性腸炎より考えられるものが他にある。壊死性腸炎とは、腸への血液の流れの障害に、細菌感染などの因子が加わることにより腸が壊死してしまう病気である。 ほとんどは生まれてから30日未満(特に1週間以内)の赤ちゃんにみられ、時に生後30日目以降にみられることもある。壊死性腸炎の原因は完全には分かっていないが、血液中の酸素レベルの低下や腸への血流量の低下に伴い、腸が成熟していないことが部分的に関係している。腹部が膨れ、便に血液が混じり、新生児は緑色や黄色、さび色をした液体を吐き、非常に具合が悪くなりぐったりする。
2.〇 正しい。仮性メレナが考えられる状態である。仮性メレナとは、新生児メレナのひとつで、出生時に母体の血液を児が飲み込んだために便中や吐物に血液が混じることである。つまり、メレナとは、黒色便のことである。真性メレナとの区別が必要となる。新生児メレナとは、生後2〜4日の新生児に突然の吐血、血便、タール便(ノリのつくだ煮様)などの胃腸管出血をみる病気で、ビタミンKに依存する凝固因子の不足により血液が凝固しにくくなり出血を起こした病気を総称して呼ぶ。
3.× 小腸閉鎖症より考えられるものが他にある。小腸閉鎖症とは、新生児の腸閉塞の原因となる代表的な疾患で、出生後におなかの張り(腹満)や胆汁を含んだ黄色の嘔吐(胆汁性嘔吐)で発症する。胎内でおきた腸の捻転や腸重積、その他の原因により腸の血行が障害され、小腸閉鎖症が発生すると考えられている。
4.× 乳糖不耐症より考えられるものが他にある。乳糖不耐症とは、ミルクに含まれる糖質である乳糖をグルコースとガラクトースに分解する乳糖分解酵素(ラクターゼ)の活性が低下しているために、乳糖を消化吸収できず、著しい下痢や体重増加不良をきたす疾患である。つまり、腸内のラクターゼの不足により牛乳を飲むと下痢を起こす状態である。
5.× 新生児ビタミンK欠乏性出血症より考えられるものが他にある。新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患である。出血斑や注射・採血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められ、重度の場合は頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もある。特に第2~4生日に起こることが多いものの出生後24時間以内に発症することもある。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、リスクが高くなる。また、新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、①母乳中のビタミンK含量が少ないこと、②ビタミンKは経胎盤移行性が悪いこと、③出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えている。
“メレナ”とは、本来“黒色便”のことです。そのため、“新生児メレナ”は新生児期の下血による黒色便を意味し、新生児が吐血や下血などの症状を呈する病気を総称して新生児メレナと呼ばれます。新生児メレナには、吐血や下血となる血液の由来が母体の血液である “仮性メレナ”と、児の血液である“真性メレナ”があります。仮性メレナの要因としては、出生時の胎盤からの出血や、授乳時に母親の乳頭裂傷などによる出血の嚥下があげられます。一方、真性メレナでは、主に児のビタミン K 欠乏による消化管出血が要因となります。両者はアプト試験(新生児血液中に多く存在するヘモグロビン F のアルカリ抵抗性を利用して母体血か新生児血かを判定する簡易検査)で鑑別することができます。ビタミン K は数種類の凝固因子の産生に必要な補助因子です。そのため、ビタミン K が欠乏すると消化管出血だけでなく、重症例では頭蓋内出血などを合併し、死亡する場合もあります。ビタミン K は胎盤通過性が悪く、母乳中のビタミン K 含量が少ないことなどから、新生児は出生時からビタミン K が欠乏しやすく、哺乳条件によっては乳児期まで欠乏しやすい状態が持続します。
(※一部引用:「Q3-6. 新生児メレナとはどんな病気ですか?」著:川口 千晴より)