第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午前96~100】

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次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHgと尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値でIgA腎症が疑われ入院した。

96 Aさんは退院後、仕事が忙しくなり一度も受診をせずに2年が経過した。2か月前から疲れやすくなったが、仕事のせいだと思い放置していた。1週前から息切れ、食欲不振および浮腫があり、昨日から眠気、悪心および嘔吐が出現したため外来を受診した。体温36.5℃、脈拍98/分、血圧238/112mmHgであった。血液検査データは、尿素窒素100mg/dL、クレアチニン12.0mg/dL、Hb7.1g/dL。胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血とが認められ入院した。
 直ちに行われるのはどれか。2つ選べ。

1.輸血
2.血液透析
3.利尿薬の内服
4.胸腔ドレナージ
5.降圧薬の点滴静脈内注射

解答2/5

解説

本症例のポイント

・Aさん(34歳、男性、IgA腎症
・2か月前:疲れやすくなったが、仕事のせいだと思い放置。
・1週前:息切れ、食欲不振、浮腫があり。
・昨日:眠気、悪心、嘔吐が出現した。
・体温36.5℃、脈拍98/分、血圧238/112mmHg
・血液検査データ:尿素窒素100mg/dLクレアチニン12.0mg/dL、Hb7.1g/dL。
・胸部エックス線写真:心拡大肺うっ血
→本症例は、尿毒症悪性高血圧の疑いがある。直ちに対処しないと生命に危険が及ぶ。選択肢の中から、効果がすぐに出るものを選択するのも大切である。尿毒症とは、腎臓の働きが極度に低下して起こる全身の変化をいい、急性あるいは慢性の腎臓障害が進行した状態(正常の10分の1程度まで著しく低下している末期腎不全の状態)である。多様な症状を呈し、放置すると数日で死に至る。尿毒症の主な治療方法として、血液透析、連続携行式腹膜透析(CAPD)、腎移植などの腎代替療法が挙げられる。ちなみに、悪性高血圧とは、高血圧緊急症ともいい、血圧の高度の上昇により、脳・腎臓・大動脈・心臓などに重篤な障害が起こり得る病態である。具体的には、心不全・心筋梗塞・大動脈解離・高血圧脳症などの病気が進行、悪化してしまうため、悪性高血圧はただちに降圧治療をしなければならない。

1.× 輸血は必要ない。なぜなら、輸血適応とは言えないため。輸血とは、減少した血液中の成分が回復するまでの間を一時的に補う目的で行われる補充療法である。病気や薬の影響などで十分に血液をつくることができなくなったり、事故や手術などで大量出血したときに、輸血が適応となる。
2.〇 正しい。血液透析を直ちに行われるべきである。なぜなら、本症例は、尿毒症の疑い(尿素窒素:100mg/dL、クレアチニン12.0mg/dL)が強いため。緊急血液透析とは、急性期に発症した腎不全に対して、速やかな血液浄化を行うために行われる透析のことである。急性腎不全の患者に対して、腎臓の機能を代替するために使用される。例えば、腎性高酸血症、腎性高塩血症、腎性アシドーシスなどである。緊急血液透析は、通常、重症患者の治療に使用され、入院治療が必要である。透析には、人工透析膜を使用して、血液中の毒素や代謝産物を取り除くことで、腎臓の機能を代替することができる。
3.× 利尿薬の内服は必要ない。なぜなら、利尿薬の内服による降圧では時間がかかりすぎるため。利尿薬とは、尿量を増やし、体内の不要な水分の排泄を促す薬で、血圧を下げたり、むくみなどを軽減する目的で使用される。
4.× 胸腔ドレナージは必要ない。なぜなら、胸水を示唆する所見がないため。ちなみに、胸腔ドレナージとは、胸壁を切開し、胸腔にチューブを挿入する医療技術である。主に何らかの疾患によって胸腔内に溜まった余分な空気、体液、膿胸などの分泌液を体外に排出するための処置として行われる。中等度以上の自然気胸では胸腔ドレナージを実施する。
5.〇 正しい。降圧薬の点滴静脈内注射を直ちに行われるべきである。なぜなら、本症例は、悪性高血圧が疑われ、直ちに対処が必要となるため。

持続点滴静脈内注射

持続点滴静脈内注射とは、大量の薬品を持続的に静脈内に注入する方法である。治療においても使用頻度が高く、与薬ミスや感染防止対策なども多い処置である。主に前腕正中皮静脈、橈側皮静脈、 尺側皮静脈が用いられる。表在性の静脈にならどこにでも行うことができ、針の固定が容易で、太く弾力のある血管を選択する。麻痺側、利き手などを避けることが推奨されている。

 

 

 

 

 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
 Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。

97 入所時の身長170cm、体重50kg。1か月間で体重が3kg減少した。血液検査データは、血清アルブミン3.2g/dL、CRP0.1mg/dL。反復唾液嚥下テストは30秒間で4回である。
 Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。

1.流動食が必要である。
2.炎症反応が続いている。
3.認知症による摂食行動の問題がある。
4.タンパク質・エネルギー低栄養状態<PEM>である。

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(94歳、男性、要介護1、肺炎)
・障害高齢者の日常生活自立度判定基準:ランクB-2
・認知症高齢者の日常生活自立度判定基準:ランクⅡa
・食欲:良好、食事の姿勢や動作:自立
部分義歯で不具合はなし
・口腔内の異常はない。
・入所時:身長170cm、体重50kg。
・1か月間:体重3kg減少。
・血液検査データ:血清アルブミン3.2g/dL、CRP0.1mg/dL。
・反復唾液嚥下テスト:30秒間で4回
→上記の検査結果や評価から、異常な状態を探せるようにしよう。
・反復唾液嚥下テストとは、30秒間の空嚥下を実施してもらい、嚥下反射の随意的な能力を評価する。3回/30秒以上から嚥下の反復ができれば正常である。
・改訂水飲みテストとは、3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下を行わせ、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。嚥下あり、呼吸良好、むせない状態で、追加嚥下運動(空嚥下)が2回/30秒可能であれば、最高点数の5点である。

1.× 流動食の優先度は低い。なぜなら、本症例の開口・咀嚼機能・嚥下機能に異常がないため。普通食の経口摂取が可能であると考えられる。
2.× 炎症反応が続いているとは考えにくい。なぜなら、AさんのCRPは0.1mg/dLであるため。ちなみに、CRP0.3mg/dL以上で炎症反応がありと判断できる。CRPとは、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に蛋白質の一種であるC-リアクディブ・プロテイン(CRP)をさす。 正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われる。
3.× 認知症による摂食行動の問題があるとは考えにくい。なぜなら、本症例の食欲は良好、食事の姿勢や動作は自立となっているため。また、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡa(家庭外の日常生活に支障をきたす症状・行動がみられるレベル)である。食事動作は自立しているので、異食・食事中の注意障害などの摂食行動に問題があるとはいえない。
4.〇 正しい。タンパク質・エネルギー低栄養状態<PEM:protein energy malnutrition>である。なぜなら、血清アルブミン値3.0g/dL(基準値4.0~5.0g/dL)、BMIが17.3未満(18.5未満はやせ)、短期間に2~3kg以上の体重減が確認されるため。タンパク質・エネルギー低栄養状態<PEM:protein energy malnutrition>の原因として、高齡者では、さまさまな理由で食事の摂取量が減少し、エネルギーやたんばく質を食事から十分に摂れないことが長く続くことがあるが主に上げられる。例えば、「妻に先立たれ食事の支度ができない」、「気分が落ち込み食欲もない」、「麻痺があって食事の動作が不自由」、「義歯が合わない」、「食べ物がうまく飲みこめない」などである。

(※図引用:「障害高齢者の日常生活自立度判定基準」厚生労働省HPより)

(※図:認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク)

 

 

 

 

 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
 Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。

98 介護老人保健施設の看護師は、入所時にAさんと妻と面談をした。
 このときの面談内容で適切なのはどれか。

1.自宅の改修を提案する。
2.ベッド上安静の必要性を説明する。
3.急変時の救急搬送の希望を確認する。
4.通所リハビリテーションの利用を提案する。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(94歳、男性、要介護1肺炎
・2人暮らし:妻(84歳)
・障害高齢者の日常生活自立度判定基準:ランクB-2
・認知症高齢者の日常生活自立度判定基準:ランクⅡa
介護老人保健施設に初めて入所。
・入所時にAさんと妻と面談をした。
→介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。

1.× 自宅の改修を提案するのは時期尚早である。なぜなら、Aさんは施設に入所したばかりであるため。自宅の改修を提案は、全身状態が落ち着き、在宅療養の方向性が確定した後に実施する。
2.× ベッド上安静の必要性を説明する必要はない。なぜなら、ベッド上安静は、廃用症候群を助長させるため。本症例は、日常生活自立度B-2(介助により車椅子に移乗可)で、食欲良好であるため、離床を促すことが大切である。ちなみに、廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
3.〇 正しい。急変時の救急搬送の希望を確認する。なぜなら、Aさんは94歳男性要介護1肺炎で、平均的な男性の寿命と比較しても人生の最終段階にあるといえるため。Aさんに限らず、介護老人保健施設の入所時には、緊急連絡先や延命治療の意思表示を事前に聞いておくことが多い。今後、免疫力低下による肺炎の再発・悪化などによって、生命に危険を及ぼす状態になることが考えられる。
4.× 通所リハビリテーションの利用を提案する必要はない。なぜなら、通所リハビリテーションの利用の希望が聞かれていないため。また、通所リハビリテーションを利用できるのは、居宅(自宅のほか、軽費老人ホームや有料老人ホームなどの居室が含まれる)で生活を送る要介護者であるため。介護老人保健施設は居宅に当てはまらない。

(※図引用:「障害高齢者の日常生活自立度判定基準」厚生労働省HPより)

(※図:認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク)

 

 

 

 

 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
 Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。

99 入所後3日。Aさんは「家では朝起きてすぐに歯磨きをして、口の中をすっきりさせて1日が始まった。ここでは、歯磨きは食後に介助すると言われたが、私は嫌だ」と言い、不満な様子である。Aさんはベッドから車椅子への移乗に介助が必要であるが、歯ブラシとコップとを用いて自分で歯磨きができる。
 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.朝食前の歯磨きは効果がないと説明する。
2.朝食前の歯磨きの習慣を変更するように勧める。
3.朝食前の歯磨きの援助方法をAさんと相談する。
4.朝食前は職員が少ないので対応できないと謝罪する。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(94歳、男性、要介護1、肺炎)
・2人暮らし:妻(84歳)
介護老人保健施設に初めて入所。
・入所後3日。
・Aさん「家では朝起きてすぐに歯磨きをして、口の中をすっきりさせて1日が始まった。ここでは、歯磨きは食後に介助すると言われたが、私は嫌だ」と不満な様子
・Aさんはベッドから車椅子への移乗に介助が必要であるが、歯ブラシとコップとを用いて自分で歯磨きができる
→個人のこれまでの生活スタイルを尊重することも大切である。一方的に、画一的な生活を押し付けるのではなく、どのようにすれば普段のストレスない生活を送れるか考えよう。

1.× 朝食前の歯磨きは、「効果がない」と説明するのは虚偽となる。なぜなら、朝食前の歯みがきにより、夜間就寝中に大量繁殖した口腔内細菌を除去できるため。さらに、加齢に伴う嚥下機能低下や逆流による誤嚥性肺炎を予防する効果が期待できるという報告もされている。
2.× 朝食前の歯磨きの習慣を変更するように勧める必要はない。なぜなら、長年その人が大切にしてきた生活習慣を変更するのは、高齢者を混乱させたり、生きる意欲を低下させたりする可能性があるため。一方的に、画一的な生活を押し付けるのではなく、どのようにすれば普段のストレスない生活を送れるか考える。
3.〇 正しい。朝食前の歯磨きの援助方法をAさんと相談する。なぜなら、個人のこれまでの生活スタイルを尊重することも大切であるため。どのようにすれば普段のストレスない生活を送れるか考え続けることが大切である。
4.× 朝食前は職員が少ないので対応できないと謝罪する必要はない。なぜなら、Aさんは歯ブラシとコップを使って歯みがきができるため。物品(ガーグルべースンなど)をベッドサイドに準備するなど、Aさんが歯みがきできる環境を整える。

 

 

 

 

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 A君(6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎と診断され、個室に入院した。入院後、末静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。

100 このときのA君に行う看護として最も適切なのはどれか。

1.起座位をとらせる。
2.食事の開始を検討する。
3.好きな玩具で遊ばせる。
4.痛みの程度を評価する。
5.解熱鎮痛薬を服薬させる。

解答4

解説

本症例のポイント

・A君(6歳、男児、ノロウイルスによる胃腸炎
・昨日午後~今朝:5回の下痢便、体温が38.0℃。
・経口摂取:昨日の昼食が最後。
・入院後:末静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始。
・両親:同様の症状がある。
・A君:顔をしかめ側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている
・バイタルサイン:体温37.5℃、呼吸数36/分、心拍数120/分。
→現在、本症例は、顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。この様子から、本症例は、痛み(腹痛)が主訴な可能性が高い。したがって、客観的に痛みの評価が必要である。ちなみに、ノロウイルスとは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。

1.× 起座位をとらせる必要はない。なぜなら、起坐位は腹痛の緩和にはならないため。ノロウイルスによる胃腸炎の腹痛が強いときは、本症例のように左右どちらかの側臥位で下肢を屈曲すると腹部の緊張を緩和でき、腹痛を軽減できる。ちなみに、起座位とは、上半身をほぽ90度に起こした状態で、呼吸困難を軽減する目的で用いる体位である。
2.× 食事の開始を検討する必要はない。なぜなら、本症例は、腹痛や下痢症状で食事どころではないため。また、食事を開始することは、胃腸炎症状(下痢や腹痛、胃痛、悪心)の悪化を招く可能性が高い。
3.× 好きな玩具で遊ばせる必要はない。なぜなら、本症例は、腹痛や下痢症状で、玩具で遊べる状態ではないため。また、ほかの人への感染リスクが高まると考えられることから、安静に過ごせるよう対応することを優先すべきである。ちなみに、ノロウイルスの原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染飛沫感染空気(飛沫核)感染による。
4.〇 正しい。痛みの程度を評価する。現在、本症例は、顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。この様子から、本症例は、痛み(腹痛)が主訴な可能性が高い。したがって、客観的に痛みの評価が必要である。ちなみに、ノロウイルスとは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。
5.× 解熱鎮痛薬を服薬させる優先度は低い。なぜなら、現在は37℃台まで解熱してきているため。それぞれ主治医の先生によって方針が異なるため、確認が必要だが、小児では38~38.5℃以上の発熱に使用する場合が多く、解熱鎮痛薬の使用はできる限り避け、冷器法で対処するのがよい。

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。発熱や頭痛も発生する可能性がある。症状は、通常ウイルス曝露後12〜48時間で発症し、回復は通常1〜3日以内である。合併症はまれだが、特に若人、年配者、他の健康上の問題を抱えている人では、脱水症状が起こることがある。原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気(飛沫核)感染による。

【予防・拡大防止】
①感染源となる二枚貝等は、中心部まで十分に加熱(85~95℃以上、90秒以上)する。
②消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。
③ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため完全に拭き取る。
④嘔吐物等の処理時には手袋、ガウンマスクを装着する。

(※参考:「ノロウイルスに関するQ&A」厚生労働省HPより)

 

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