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66 山村部で地震による家屋倒壊と死者が出た災害が発生し、3週が経過した。避難所では、自宅の半壊や全壊の被害にあった高齢者を中心に10世帯が過ごしている。
高齢者の心のケアとして最も適切なのはどれか。
1.認知行動療法を行う。
2.自分が助かったことを喜ぶよう説明する。
3.地震発生時の状況について詳しく聞き取る。
4.長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。
解答4
解説
・山村部での地震(地震家屋倒壊と死者)
・3週経過
・避難所:被害の高齢者10世帯が過ごしている。
→現在、地震後3週間経過し、避難所生活が始まっていることから、災害サイクルでいうと【災害復旧・復興期~災害前の状態に戻るまで】に該当する。災害状況としては、①慢性疾患の増悪、②疲労による体調不良、③仮設住宅等への転居、④新しい環境での孤立となり、保健活動は、①巡回健康相談、②廃用症候群・閉じこもり・孤立死の予防・対策、③心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、④新たなコミュニティづくりの支援、⑤職員の健康管理、⑥通常業務の再開など行っていく。
1.× 認知行動療法を行う時期ではない。なぜなら、被害にあわれた高齢者10世帯が同じ悩みや不安とは限らないため。ちなみに、認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知行動療法の中に、系統的脱感作法がある。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。
2.× 自分が助かったことを喜ぶよう説明する必要はない。なぜなら、避難所の方たちも自宅の半壊や全壊の被害にあわれているため。無理やりの感情の抑制は、ストレスと与えかねない。
3.× 地震発生時の状況について詳しく聞き取る必要はない。なぜなら、かえって心理的侵襲(不安・ストレス)となるため。
4.〇 正しい。長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。なぜなら、話せる場をつくることで、人と話して楽になったり、抱え込むことがなくなるため。不安を表出することが出来るよう援助する。心のケアチームとは、精神科医を中心としたメンバーで構成される精神医療チームである。平成23年の東日本大震災の際には、被災地に多くの医療チームが派遣され、救護・支援活動を行った。災害後にみられる主な精神症状は、①再体験(フラッシュバック):心的外傷の原因となった出来事を繰り返して思い出したり、悪夢をみたりする症状、②回避:心的外傷の原因となった出来事を連想させることや関連することを避けようとする、③過覚醒:神経が高ぶった状態が続き、不安や不眠が強く現れ、集中することが困難となることが見られやすくなる。
心的外傷後ストレス障害とは、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。
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67 国間の国際保健医療協力を行うのはどれか。
1.国際協力機構 <JICA>
2.国際看護師協会 <ICN>
3.国連開発計画 <UNDP>
4.国連食糧農業機関 <FAO>
解答1
解説
国際協力機構とは、開発途上地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進、開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。
設置年:昭和49(1974)年
協力形態:二国間協力
事業内容:①技術協力(専門家の派遣、研究員の受け入れ)、②有償・無償資金協力、③ボランティア派遣(青年海外協力隊など)、④国際緊急援助
備考:国際緊急援助では、大規模災害時、被災国政府等の要請に応じ、国際緊急援助隊が派遣されている。
青年海外協力隊とは、日本国政府が行う政府開発援助 の一環として、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 が実施する海外ボランティア派遣制度である。
(※参考:「(1)独立行政法人 国際協力機構(JICA)」外務省HPより)
1.〇 正しい。国際協力機構<JICA>は、国間の国際保健医療協力を行う。国際協力機構(JICA)の目的は、①開発途上地域に対する技術協力の実施、②無償資金協力の実施の促進、③開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。
2.× 国際看護師協会<ICN:International Council of Nurses>とは、1899年に設立された保健医療専門職団体である。専門看護実践、看護規制、社会経済福祉の各領域に関する様々な活動を行う組織である。2017年1月時点、133協会が加盟している。本部はスイスのジュネーブにあり、日本は日本看護協会の名称で加入している。「看護者の倫理綱領」(平成15年)の前文に「看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通してその最期まで、その人らしく生を全うできるように援助を行うことを目的としている。」と述べられている。
3.× 国連開発計画<UNDP>は、世界の開発とそれに対する援助のための国際連合総会の補助機関である。生計向上支援、ガバナンス支援、紛争・災害復興支援等を行う。また、各国の開発目標やミレニアム開発目標(MDGs)などの国際的に合意された目標の達成を支援する国連機関である。ちなみに、2016~2030年の「持続可能な開発目標(SDGs)」の策定にもかかわった。
4.× 国連食糧農業機関<FAO>の目的は、「人々が健全で活発な生活をおくるために十分な量・質の食料への定期的アクセスを確保し、すべての人々の食料安全保障を達成すること」であり、食料・農産物の生産の効率化などの活動を行っている。国連の専門機関のひとつである。
68 体温に影響しないのはどれか。
1.運動
2.食事
3.ふるえ
4.不感蒸泄
5.精神性発汗
解答5
解説
1.× 運動は、体温に影響を及ぼす。なぜなら、運動により、骨格筋の熱産生や血行が増加するため。
2.× 食事は、体温に影響を及ぼす。なぜなら、食事により、吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されるため。
3.× ふるえは、体温に影響を及ぼす。なぜなら、ふるえは、骨格筋を震えさせることであるため。ふるえ熱産生は、体性運動神経を介した骨格筋のふるえを通じた熱産生反応である。
4.× 不感蒸泄は、体温に影響を及ぼす。なぜなら、水分が蒸発する際に体表から熱を奪い、気化熱で体温を低下させるため。ちなみに、不感蒸泄とは、発汗のように自覚されない水分の蒸散(呼吸など)のことである。
5.〇 正しい。精神性発汗は、体温に影響を及ぼさない。なぜなら、精神性発汗は、手のひらや足の裏を中心に起こり、滑り止めの働きを持つため。体温調整の意味合いはない。ちなみに、精神性発汗とは、精神的緊張感や情動刺激に自律神経が反応して起こる発汗(いわゆる冷や汗)である。
①温熱性発汗とは、体温調節に関わる発汗のこと。
②精神性発汗とは、精神的な緊張、痛み、窒息など、体温調節とは関係のない発汗のこと。
③味覚性発汗とは、香辛料が効いた辛い物を食べたときに鼻や額などにかく発汗のこと。
69 貪食能を有する細胞はどれか。
1.好酸球
2.Bリンパ球
3.線維芽細胞
4.血管内皮細胞
5.マクロファージ
解答5
解説
健常人の末梢血には3,500~9,000/μl、すなわち1ml当り350万から900万個もの白血球が含まれている。
このうち、好中球が最も多く50~60%を占める。
ちなみに、リンパ球:20~40%、好酸球:2~7%、好塩基球:0~1%、単球:2~8%程度である。
1.× 好酸球とは、主に寄生虫に対する免疫反応が役割である。ほかにも、アトピー性皮膚炎や薬剤アレルギー、気管支喘息などでも増加する。末梢血白血球の1~6%を占め、呼吸器や腸管などに存在する。
2.× Bリンパ球とは、B細胞ともいい、白血球のおおよそ20〜40%の割合を占めている免疫細胞である。侵入した異物(抗原)が危険であるかどうかを判断し、ウイルスなどを排除する働きがある。このB細胞が成熟すると、形質細胞となる。
3.× 線維芽細胞とは、真皮線維芽細胞ともいい、皮膚の真皮にある細胞である。肌の元となる成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を作り出す役割を担う。細胞分裂周期が早く、古くなったら分解し細胞分裂によって絶えず新しい線維芽細胞を増やし続けている。
4.× 血管内皮細胞とは、血管の内腔を覆う細胞である。血管内皮細胞は血管の構成要素となるだけでなく、血液と組織が酸素や栄養素などの物質交換を行う場として働き、さらには様々な生理活性物質を産生して組織や臓器の機能を維持する働きを担う。
5.〇 正しい。マクロファージは、貪食能を有する細胞である。マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。
70 流行性角結膜炎の原因はどれか。
1.淋菌
2.緑膿菌
3.クラミジア
4.アデノウイルス
5.ヘルペスウイルス
解答4
解説
流行性角結膜炎とは、はやり目ともいい、アデノウイルスというウイルスの感染が原因となる病気である。まぶたは腫れ、結膜はむくみ、充血がみられる。
1.× 淋菌は、流行性角結膜炎の原因とはいえない。淋菌感染症とは、淋菌の感染による性感染症である。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。淋菌感染症は何度も再感染することがある。
2.× 緑膿菌は、流行性角結膜炎の原因とはいえない。緑膿菌とは、水まわりなど生活環境中に広く常在し、健常者に感染を起こすことはまれだが、抵抗力の低下した患者(易感染性宿主)には感染することがある。緑膿菌は、グラム陰性桿菌の一種ともいわれ、急性腎盂腎炎の原因菌である。
3.× クラミジアは、流行性角結膜炎の原因とはいえない。クラミジアとは、日本国内で最も多い性感染症(STD)の一つで、クラミジア感染症とも呼ばれており、クラミジア・トラコマチスという病原体(細菌)が、性行為などにより粘膜に感染する。 感染した場合、クラミジア性尿道炎(男性)、クラミジア性子宮頚管炎(女性)、咽頭クラミジア(男性・女性)などの病気を引き起こす。また、出産時に母子感染する場合、分娩時の産道感染を引き起こす。出生後1週間前後に発症する結膜炎(目が赤くなり「目やに」の増加)、出生後1カ月前後には肺炎( 咳、哺乳力が低下)する。陽性者には内服薬(抗菌薬)を投与して治療する。ちなみに、淋菌感染症とは、淋菌の感染による性感染症である。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。淋菌感染症は何度も再感染することがある。
4.〇 正しい。アデノウイルスは、流行性角結膜炎の原因である。アデノウイルスとは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因ウイルスである。1953年に発見され、51の型に分類される。病気と関係が深いのは1~8型である。多くの型があるため、免疫がつきにくく、何回もかかることがある。
5.× ヘルペスウイルス感染症とは、皮膚、口、唇(口唇ヘルペス)、眼、または性器に、液体で満たされた、痛みのある小さな水疱が繰り返し発生する感染症である。初めての感染のときに症状が強く出て、全身倦怠感やリンパ節の腫れを起こす。発病後たいてい1~2週間で症状は治まる。