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61 精神保健法から精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律への改正で行われたのはどれか。
1.私宅監置の廃止
2.任意入院の新設
3.通院医療公費負担制度の導入
4.精神障害者保健福祉手帳制度の創設
解答4
解説
1.× 私宅監置の廃止は、昭和25(1950)年の『精神衛生法』で制定された。精神衛生法とは、精神障害者の医療や保護、発生の予防などを行うことで、国民の精神的健康を保持・向上させることを目的とした法律である。1950年(昭和25年)に制定され、精神病者監護法や精神病院法が廃止された。
2.× 任意入院の新設は、昭和62(1987)年の『精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>』で制定された。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)は、精神障害者の入院について5つの入院形態(任意入院・医療保護入院・応急入院・措置入院・緊急措置入院)を定めている。
3.× 通院医療公費負担制度の導入は、昭和40(1965)年の『精神衛生法』の改正においてである。
4.〇 正しい。精神障害者保健福祉手帳制度の創設は、『精神保健法』から『精神保健福祉法』への改正(平成7年)においてである。この制度は、精神障害者の社会復帰の促進と自立と社会参加の促進を図ることを目的としている。
①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。
②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者
③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者
④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事
⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事
62 介護保険被保険者で介護保険による訪問看護が提供されるのはどれか。
1.脳血管疾患
2.末期の結腸癌
3.脊髄小脳変性症
4.進行性筋ジストロフィー
解答1
解説
訪問看護には、①医療保険によるものと②介護保険によるものがある。
①介護保険被保険者は、原則として介護保険から訪問看護を受ける。
①「厚生労働大臣が定める疾病等」のときは、医療保険となる。
【厚生労働大臣が定める疾病等】
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)、多系統萎縮症・線条体黒質変性症・オリーブ橋小脳萎縮症・シャイ・ドレーガー症候群、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態
1.〇 正しい。脳血管疾患は、「厚生労働大臣が定める疾病等」ではないため、原則どおり介護保険による訪問看護となる。
2~4.× 末期の結腸癌/脊髄小脳変性症/進行性筋ジストロフィーは、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当するため、医療保険が優先される。
がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗しょう症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
63 訪問看護ステーションの管理・運営について正しいのはどれか。
1.事務所を設置する必要はない。
2.訪問看護の利用回数の調整は市町村が行う。
3.利用者が希望すれば訪問看護の記録を開示する。
4.利用者とのサービス契約後に重要事項を説明する。
解答3
解説
訪問看護ステーションとは、住み慣れた自宅で療養生活が送れるように、医師や他の医療専門職、ケアマネジャーなどと連携し、訪問看護サービスを提供すること業所である。看護ケアを提供することで患者の療養生活をサポートするとともに、自立を目指した支援も行っている。訪問看護制度をもとに、医師の指示を受け、看護を必要とする人の居宅に看護師や保健師などを派遣する機関である。
訪問看護ステーションの管理者の条件は、「専従かつ常勤の保健師又は看護師であって、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者」と定められている。
1.× 事務所を設置しなければならない。第三章 設備に関する基準「第四条 指定訪問看護ステーションには、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。ただし、当該指定訪問看護ステーションが他の事業の事業所を兼ねる場合は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けることで足りるものとする」と規定されている(※参考「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」厚生労働省HPより)。
2.× 訪問看護の利用回数の調整は、「市町村」ではなく、①介護保険の場合は、利用回数は限度額の範囲で介護支援専門員(ケアマネジャー)または療養者本人が利用者と相談して決め、②医療保険の場合は、主治医の判断で決め、自費の場合は利用者との相談で決める。
3.〇 正しい。利用者が希望すれば訪問看護の記録を開示する。個人情報保護法や医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインに基づき、利用者の申請があれば訪問看護記録を開示しなければならない。
4.× 利用者とのサービス「契約後」ではなく契約前に、重要事項を説明する。利用者との契約にあたっては、重要事項説明書・利用契約書・緊急時訪問看護加算などについて同意書を用いて説明を十分に行い、利用者の理解と納得のうえに契約を行う。
64 医療安全と関連する方法の組合せで誤っているのはどれか。
1.院内感染対策:プライマリナーシング
2.事故防止対策:インシデントレポート
3.医療の質の保証:クリニカルパス
4.手術時の安全対策:タイムアウト
解答1
解説
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
1.× 誤っている。院内感染対策は、スタンダードプリコーション(標準予防策)である。プライマリーナーシングとは、1人の患者の入院から退院までを、特定の看護師が継続して受け持つ看護方式である。患者との関係が深まりやすく、個別性に応じたケアができるメリットはある。
2.〇 正しい。事故防止対策に、インシデントレポートを用いる。インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
3.〇 正しい。医療の質の保証に、クリニカルパスを用いる。クリニカルパスとは、標準治療計画ともいい、ある疾患において主に入院時に患者に手渡しされる。①入院から退院までの検査や治療(手術日や投薬内容・期間等)、 ②食事や入浴等についてのスケジュールなどを標準化して示した診療計画表である。医療者用と患者用(説明用)が作成されている。
4.〇 正しい。手術時の安全対策に、タイムアウトを用いる。タイムアウトとは、手術にかかわる医師や看護師などのメンバー全員が、いっせいに手を止めて患者および手術部位を確認しあうことである。手術患者や手術部位の誤認防止を目的としており、手術時の安全対策のひとつである。
インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。
類似問題です↓
65 診療情報を第三者に開示する際、個人情報の保護として正しいのはどれか。
1.死亡した患者の情報は対象にならない。
2.個人情報の利用目的を特定する必要はない。
3.特定機能病院では本人の同意なく開示できる。
4.法令に基づく保健所への届出に関して本人の同意は不要である。
解答4
解説
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
1.× 死亡した患者の情報も対象となる。
2.× 個人情報の利用目的を予め具体的に特定する必要がある。
3.× 特定機能病院では、本人の同意なく開示することはできない。診療情報の第三者への開示は、原則として本人の同意が必要である。特定機能病院が適用除外になることを定める条文はない。
4.〇 正しい。法令に基づく保健所への届出に関して本人の同意は不要である。なぜなら、法令に基づく場合に該当するため。特定の感染症の患者を診断した場合など、法令に基づき保健所への届出義務があるものについては、本人の同意は必要ない。
(第三者提供の制限)
第二十七条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データの提供が学術研究の成果の公表又は教授のためやむを得ないとき(個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。
六 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データを学術研究目的で提供する必要があるとき(当該個人データを提供する目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)(当該個人情報取扱事業者と当該第三者が共同して学術研究を行う場合に限る。)。
七 当該第三者が学術研究機関等である場合であって、当該第三者が当該個人データを学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該個人データを取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。
(※引用:「個人情報保護法」e-GOV法令検索様HPより)