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36 Aさん(56歳、男性)は、脳梗塞の後遺症のためにリハビリテーションをしている。食事中に箸がうまく使えずイライラしている。
この状況で看護師が最も連携すべき専門職はどれか。
1.精神保健福祉士
2.社会福祉士
3.理学療法士
4.作業療法士
解答4
解説
・Aさん(56歳、男性)
・脳梗塞の後遺症のためにリハビリテーション中。
・食事中に箸がうまく使えずイライラしている。
→本症例は、リハビリテーションを行っており、食事に対し課題がみられる。したがって、食事動作を専門とするリハビリテーション専門職と連携するのが最も優先度が高いといえる。
1.× 精神保健福祉士との優先度は低い。精神保健福祉士とは、『精神保健福祉士法』に基づき、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる専門職である。また、その家族に対しても相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な援助を行う。
2.× 社会福祉士との優先度は低い。社会福祉士とは、社会福祉援助(ソーシャルワーク)を主に行う職種のものである。『社会福祉士及び介護福祉士法』に基づく専門職である。例えば、①障害や病気などの理由により福祉サービスを必要とする人々からの相談を受け、②他の福祉サービスの提供者・医療機関と連携し、③相談者の自立に向け、専門的な知識と技術で的確な助言や指導、その他の援助を行う。つまり、病気や障害によって、日常の生活が困難になった人の相談を受け、サポートする役割がある。
3.× 理学療法士との優先度は低い。理学療法士とは、医師の指示のもとに治療体操や運動・マッサージ・電気刺激・温熱などの物理的手段を用いて、運動機能の回復を目的とした治療法・物理療法(理学療法)を行う専門職である。つまり、関節可動域や筋力の向上などが役割である。
4.〇 正しい。作業療法士との優先度は高い。なぜなら、本症例は、リハビリテーションを行っており、食事に対し課題がみられるため。作業療法士とは、医師の指示のもとに手工芸・芸術・遊びやスポーツ・日常動作などを行うことにより、障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療(作業療法)を行う専門職である。つまり、食事動作等、日常生活動作の回復が役割である。
37 Aさん(80歳、女性)は、肺炎で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。
Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。
1.テレビをつける。
2.足浴を実施する。
3.そのまま様子をみる。
4.睡眠薬を処方してもらう。
解答2
解説
・Aさん(80歳、女性)
・肺炎で入院して持続点滴中。
・消灯時:「体がだるくて眠れない」と。
→本症例は、「寝れない」訴えがある。睡眠導入のため対応を考えよう。
1.× テレビをつける必要はない。なぜなら、テレビやスマホの光(ブルーライト)は、まだ日中と脳が勘違いし、メラトニンの分泌量が減少するため。つまり、睡眠の阻害となる可能性が高い。ちなみに、メラトニンとは、夜間に脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計による夜間の身体の休息を促す働きを持つ。メラトニン分泌量が低下するため睡眠障害が起こりやすくなる。
2.〇 正しい。足浴を実施する。なぜなら、足浴によって、下肢の皮膚温が一時的に上昇した後、熱放散が促進され、深部体温が低下し、眠気をもたらすため。また、リラクゼーションも期待できる。
3.× そのまま様子をみるより優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例は「だるさと不眠」を訴えており、何かしらの介入が必要であると考えらえれるため。そのまま様子をみることは、患者にとって何もしないことと感じ取られ、かえって不満や症状が増強し眠れなくなるおそれが高い。
4.× 睡眠薬を処方してもらう必要はない。なぜなら、睡眠薬の処方は看護師が依頼してもらうものではないため。また、睡眠薬は、副作用から転倒などの危険があるため、安易に使用せず、よく検討する必要がある。医師と相談のうえ、必要時には睡眠薬の使用を検討する。
清潔の保持、末梢循環の促進、血流障害の予防と改善、疼痛の緩和、リラクゼーション、睡眠の促進など。足浴の最適な温度:39~42℃、足浴時間:7~30分とされている。15分程度の足浴で、全身循環に大きな負担をかけることなく、かつ末梢循環を促進・維持させ、自律神経活動に関しては、足浴後に副交感神経活動を賦活化させ、交感神経活動を抑制する。
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38 ベッド上での排便の介助時に使用した手袋を手から取り外すタイミングで適切なのはどれか。
1.肛門周囲の便を拭き取った後
2.排便後の患者の寝衣を整えた後
3.ベッド周囲のカーテンを開けた後
4.使用した物品を汚物処理室で片づけた後
解答1
解説
1.〇 正しい。肛門周囲の便を拭き取った後が、ベッド上での排便の介助時に使用した手袋を手から取り外すタイミングである。なぜなら、肛門周囲の便を拭き取った後は、便により手袋は汚染されていると考えられるため。ほかの物に触れると、介助時に付着した便(感染源)が周囲に付着する可能性がある。
2~4.× 排便後の患者の寝衣を整えた後/ベッド周囲のカーテンを開けた後/使用した物品を汚物処理室で片づけた後は、ベッド上での排便の介助時に使用した手袋を手から取り外すタイミングとして不適切である。なぜなら、標準予防策(スタンダードプリコーション)の考えから、感染源(湿性生体物質)との接触はみられないため。
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
【手指衛生の5つのタイミング】
①患者に触れる前( 手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため)
②清潔/無菌操作の前( 患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため)
③体液に曝露された可能性のある場合(患者の病原微生物から医療従事者を守るため)
④患者に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
⑤患者周辺の環境や物品に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
(※引用:「WHO手指衛生ガイドライン」矢野邦夫より)
39 臥床患者の安楽な体位への援助として適切なのはどれか。
1.同一体位を5時間程度保持する。
2.仰臥位では膝の下に枕を入れる。
3.側臥位では両腕を胸の前で組む。
4.腹臥位では下腿を挙上する。
解答2
解説
①苦痛の緩和、②褥瘡の予防、③局所血流の改善、④気道分泌物の喀痰促進、⑤関節拘縮・変形の予防など。
1.× 同一体位を「5時間程度の保持」ではなく、2時間以上保持しないことが望ましい。なぜなら、長時間の同一体位は、褥瘡の発生リスクが高まるため。褥瘡とは、局所の持続的な圧迫により組織に虚血が生じて発生する皮膚の潰瘍あるいは皮下組織の損傷のことである。背臥位では、後頭骨や肩甲骨、肘頭、仙骨、踵部などの骨の突出している場所に好発する。予防法としては、最も負担がかかりやすい骨突出部を除圧し、面で支持することで一点に圧をかけることなく、圧の分散に努める。褥瘡予防マットやクッションなどを活用する。また、清潔を心がけ、体位変換を行う。
2.〇 正しい。仰臥位(背臥位)では膝の下に枕を入れる。なぜなら、膝の下に枕を入れることで、ベッドと身体のすきまを埋めることができるため。その結果、体圧が分散され、苦痛の緩和、褥瘡予防、腰痛予防につながる。
3.× 側臥位では両腕を胸の前で組む必要はない。なぜなら、側臥位では両腕を胸の前で組むことで、かえって不安定な姿勢となるため。安定・安楽な体位の条件として、支持基底面が広いことがあげられる。したがって、下になった上肢は肘を曲げて、手を顔の前に持ってくるような姿勢が望ましい。
4.× 腹臥位では下腿を挙上する必要はない。なぜなら、腹臥位では下腿を挙上することで、かえって不安定な姿勢となるため。また、挙上することによる持続的な筋発揮が必要となりすぐ疲れてしまうことが考えられる。安定・安楽な体位の条件として、支持基底面が広いことがあげられる。したがって、腹臥位では下腿を挙上することはせず、すきまに枕やクッションを入れたり、そのままの下腿に力を入れない姿勢が望ましい。
支持基底面が広い。
重心線が支持基底面を通る。
重心が低い。
作業対象が小さくまとまっている。
接触面の摩擦抵抗が大きい。
自分の重心と対象の重心が近い。
40 嚥下障害のある患者の食事の開始に適しているのはどれか。
1.白湯
2.味噌汁
3.ゼリー
4.煮魚
解答3
解説
①サラサラした液体、②口腔内でバラバラになりまとまりにくい物、③水分が少なく,パサパサした物、④口腔内や咽頭に貼り付きやすい物、⑤粘りの強い物、⑥すべりのよすぎる物、⑦硬い物などである。
1.× 白湯より優先度が高いものが他にある。なぜなら、白湯は、凝集性がなく、誤嚥しやすいため。白湯とは、水を沸騰させてから飲める程度まで冷ました飲み物である。調味料などを一切入れず、ただ水を沸かした(沸騰させた)だけのお湯を指す。
2.× 味噌汁より優先度が高いものが他にある。なぜなら、味噌汁などの汁物(白湯と同様)は、凝集性がなく、誤嚥しやすいため。また、具も固形物であるため、飲み込みにくく、嚥下障害のある患者の食事には適さない。水分が多い汁物は、とろみつけて誤嚥を予防することが多い。
3.〇 正しい。ゼリーは、嚥下障害のある患者の食事の開始には適切である。なぜなら、ゼリー(ゼラチンで固めた食品)は、軟らかく均質で凝集性のあるため。代表的な嚥下食である。
4.× 煮魚より優先度が高いものが他にある。誤嚥しにくい食べ物の特徴として、①口腔内や喉にくっつく(のり、もちなど)、②噛み切れない(リンゴ、れんこんなど)、③水分がなくパサパサとした食感を持つ(パン、カステラなど)、④口の中でバラバラになってしまう(そぼろ、ヒジキなど)があげられる。