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21 経鼻経管栄養法の体位で適切なのはどれか。
1.Fowler<ファウラー>位
2.仰臥位
3.腹臥位
4.側臥位
解答1
解説
経鼻経管栄養は、鼻の穴からチューブを挿入して胃や腸まで通し、栄養剤を注入する方法である。特別な手術が不要で、必要な栄養素を比較的容易に摂取することが可能である。胃食道逆流や誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こすリスクがあるため、短期間で口から栄養を摂れるまで回復すると見込まれる場合など、一時的な処置として行われる。
1.〇 正しい。Fowler<ファウラー>位や座位は、経鼻経管栄養法の体位として適切である。なぜなら、Fowler<ファウラー>位や座位は、頭部が高く、重力により栄養剤の逆流を防止できる(誤嚥の予防)ため。また、横隔膜や腹腔内臓器が重力により下がり、経鼻経管栄養剤の注入時に患者は安楽となる。ちなみに、Fowler位とは、45~60度の頭位挙上である。
2~4.× 仰臥位/腹臥位/側臥位は、優先度は低い。なぜなら、栄養剤が逆流して気管へ入り、誤嚥を起こす危険性があるため。喉頭が開き咽頭と気道が直線状となる場合、誤嚥を促進する。
(※図引用:「illustAC様」)
22 成人用輸液セット1mL当たりの滴下数はどれか。
1.20滴
2.40滴
3.60滴
4.80滴
解答1
解説
成人用輸液セット1mL当たりの滴下数は、選択肢1.20滴が正しい。
成人用輸液セットは20滴で1mLである。ちなみに、小児用輸液セットは60滴で1mLである。
23 ゴム製湯たんぽに入れる湯の温度で適切なのはどれか。
1.40℃程度
2.60℃程度
3.80℃程度
4.100℃程度
解答2
解説
・ゴム製:60℃前後
・金属製やプラスチック製:70~80℃
1.× 40℃程度は、低すぎる。
2.〇 正しい。60℃程度がゴム製湯たんぽに入れる湯の温度である。なぜなら、これ以上高い温度ではゴムの変質や劣化が起きてしまうため。また、他に注意するべきことは低体温症である。就寝時には湯たんぽを身体から、10cm離し、患者の足もとに置くよう指導する。
3.× 80℃程度は、金属製やプラスチック製の湯たんぽの場合である。
4.× 100℃程度は、高すぎる。
低温熱傷とは、短時間の接触では問題とならない程度の温度が、熟睡していたり、体が不自由だったりして長時間にわたって接触部に作用することにより生じるやけどである。湯たんぽ、電気あんか、電気毛布および使い捨てカイロなど冬場に長時間、身体にあてて使用する製品に多く発生している。低温熱傷は損傷レベルが深いことが多いため、難治性となる。ちなみに、難治性とは、治療を始めても改善がみられず、治療効果が安定または進行と判定される、もしくは直近の治療終了から6ヵ月以内に再び症状が出現したときに使われる用語である。
24 鼻腔内の吸引で正しいのはどれか。
1.無菌操作で行う。
2.吸引圧をかけた状態で吸引チューブを挿入する。
3.鼻翼から一定の距離で固定して吸引する。
4.吸引チューブを回転させながら吸引する。
解答4
解説
1.× 鼻腔内の吸引は、無菌操作で行う必要はない。なぜなら、鼻腔は鼻腔や咽頭、食道は無菌状態ではなく、外部環境と通じた部位であるため。ただし、処置する側が感染しないように予防する必要がある。一方、気管内吸引を行う際は無菌操作で行う。なぜなら、口腔内吸引に使用した後のカテーテルを気管内吸引に使うことは感染の可能性があるため。
2.× 吸引圧を「かけた状態」ではなくとめた状態で吸引チューブを挿入する。なぜなら、吸引圧をかけたまま挿入すると、鼻腔粘膜に吸い付き、粘膜を損傷する危険性があるため。吸引圧がかからないように挿入する。
3.× 鼻翼から「一定の距離で固定」して吸引する必要はない。なぜなら、分泌物が貯留している場所は個人差があるため。固定すると、その部位でしか吸引が行えない。吸引チューブは15~20cm挿入するが、固定はせず、この範囲内で、分泌物の量や吸引状況に合わせて挿入の長さを決める。
4.〇 正しい。吸引チューブを回転させながら吸引する。なぜなら、吸引チューブを回転しながら行うことで、圧が一点にかからず、鼻腔粘膜の損傷を防ぐことができるため。
「気管吸引とは、人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、 実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されている。(※引用:気管吸引ガイドライン2013)
【目的】口腔内・鼻腔内吸引は気道内の貯留物や異物を取り除くこと。
①人工呼吸器関連肺炎などの感染リスクを回避する。(ディスポーザブル手袋を着用、管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行う)
②吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は-20kPa(150mmHg)以内に保ち、1回の吸引時間は10秒以内とする。
③カテーテル挿入時は陰圧をかけず、自発呼吸がある場合は、患者さんの吸気に合わせて吸引を行う。
④終了後は気道内の分泌物がきちんと吸引できたか、呼吸音等で確認する。
(※参考:「吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ」ナース専科様HPより)
25 母乳栄養で不足しやすいのはどれか。
1.ビタミンA
2.ビタミンB
3.ビタミンC
4.ビタミンE
5.ビタミンK
解答5
解説
1.× ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり、暗いところでの視力を保つ働きがある。ビタミンA欠乏は、眼球乾燥症・夜盲症を生じる。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。
2.× ビタミンB群とは、水溶性ビタミンのうち、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、葉酸、ビオチンの8種の総称で、ビタミンB複合体とも呼ばれる。ちなみに、ビタミンB1とは、チアミンとも呼ばれる水溶性のビタミンで、解糖系やクエン酸回路のエネルギー代謝の一部で補酵素として関わる。
3.× ビタミンCとは、抗酸化作用をもち、多くのホルモン合成や薬物代謝に関わる。ビタミンC欠乏は、壊血病を生じる。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。
4.× ビタミンEとは、脂質の酸化防止に関わる。ビタミンE欠乏は、溶血性貧血や神経障害の原因となる。溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。
5.〇 正しい。ビタミンKは、母乳栄養で不足しやすい。ビタミンKが不足していると、頭蓋内出血や消化管出血(新生児メレナ)を起こすことがあるため、現在では、出生後、生後1週間(または退院時)、1か月健診時にビタミンK(K2シロップなど)を経口与薬している。
新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患である。出血斑や注射・採血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められ、重度の場合は頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もある。特に第 2~4生日に起こることが多いものの出生後24時間以内に発症することもある。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、リスクが高くなる。また、新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、①母乳中のビタミンK含量が少ないこと、②ビタミンKは経胎盤移行性が悪いこと、③出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えている。
ビタミンK欠乏性出血症の予防には、出生直後および生後1週間(産科退院時)ならびに生後1か月の3回、ビタミンK2シロップ1mL(2mg)をすべての合併症のない成熟新生児に投与する方式が普及している。