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次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)は人工授精で妊娠した。妊娠初期に頭殿長により予定日が決定された。妊娠経過は良好。妊娠40週6日、妊婦健康診査のため産婦人科医院を定期受診した。身長160cm、体重65kg(非妊時体重55kg)、血圧120/75mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。腹囲90cm、子宮底長34cm。Hb11.0g/dL、ヘマトクリット35%、白血球10,000/μL。胎児推定体重2,800g、AFI15。胎児心拍数陣痛図で子宮収縮3回/40分、胎児心拍数基線130bpm、基線細変動正常、一過性頻脈4回/40分、モニタリング中に最下点120bpm、持続10秒の心拍変動が1回あった。胎児心拍モニタリング中に胎動を10回自覚するのに要した時間は15分であった。
46 Aさんは助産師に「予定日を1週間過ぎましたが大丈夫でしょうか。心配になってきました」と相談してきた。
助産師の説明で正しいのはどれか。
1.「最終月経から算定した妊娠週数に変更します」
2.「さらに赤ちゃんが育つので安産になります」
3.「週2回妊婦健康診査に来てください」
4.「できるだけ安静にしてください」
解答3
解説
1.× 最終月経から算定した妊娠週数する優先度は低い。なぜなら、人工授精で妊娠しており、妊娠週数算定法の誤差は1日以下であるため。妊娠週数の算出は、①最終月経からの算出と②月経が整順でない場合には妊娠週数算定法の項目別優先順位で決められる。そのなかで超音波断層法では、妊娠9~11週の頭殿長(CRL)が最も正確に妊娠時期を診断することができる。
2.× 「さらに赤ちゃんが育つので安産になります」という根拠はない。なぜなら、妊娠週数が進むことで児が成長し、成長した分、産道通過が困難となりやすく、難産になるリスクが高くなるため。
3.〇 正しい。週2回妊婦健康診査に来るように勧める。なぜなら、妊娠の経過と胎児の状態を経過観察する必要があるため。過期産(妊娠42週以降)では、巨大児のリスクが上がり、母体に負担がかかりやすい。肩甲難産や分娩時損傷、弛緩出血のリスクや胎便吸引症候群、胎児機能不全などのリスクが上がる。
4.× できるだけ安静する優先度は低い。なぜなら、活動することにより子宮収縮を促すことができるため。安静にしていることで子宮収縮は抑制されやすい。
一 市町村は、次のイからハまでに掲げる妊娠週数の区分に応じ、それぞれイからハまでに掲げる頻度で妊婦に対する健康診査(以下「妊婦健康診査」という。)を行い、妊婦一人につき、出産までに十四回程度行うものとする。
イ 妊娠初期から妊娠二十三週まで おおむね四週間に一回
ロ 妊娠二十四週から三十五週まで おおむね二週間に一回
ハ 妊娠三十六週から出産まで おおむね一週間に一回
次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)は人工授精で妊娠した。妊娠初期に頭殿長により予定日が決定された。妊娠経過は良好。妊娠40週6日、妊婦健康診査のため産婦人科医院を定期受診した。身長160cm、体重65kg(非妊時体重55kg)、血圧120/75mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。腹囲90cm、子宮底長34cm。Hb11.0g/dL、ヘマトクリット35%、白血球10,000/μL。胎児推定体重2,800g、AFI15。胎児心拍数陣痛図で子宮収縮3回/40分、胎児心拍数基線130bpm、基線細変動正常、一過性頻脈4回/40分、モニタリング中に最下点120bpm、持続10秒の心拍変動が1回あった。胎児心拍モニタリング中に胎動を10回自覚するのに要した時間は15分であった。
47 妊娠41週5日。妊婦健康診査で母児の状態に異常はない。医師に分娩誘発を勧められたAさんは助産師に「自然に陣痛がくるのを待つことはよくないのでしょうか」という。
助産師の説明で適切なのはどれか。
1.「妊娠42週以降になると赤ちゃんの状態が悪くなるリスクがあります」
2.「分娩誘発を待ってもらえないか医師に相談しましょう」
3.「今後、Aさんの血圧が上がってくる心配があります」
4.「早く産んでしまったほうが楽になりますよ」
解答1
解説
1.〇 正しい。妊娠42週以降になると赤ちゃんの状態が悪くなるリスクがあると説明する。過期産(妊娠42週以降)では、巨大児のリスクが上がり、母体に負担がかかりやすい。肩甲難産や分娩時損傷、弛緩出血のリスクや胎便吸引症候群、胎児機能不全などのリスクが上がる。また、胎盤自体が妊娠末期(42週以降)に近づくにつれて老廃してくる。胎盤には石灰沈着、あるいは白色胎盤梗塞、すなわち凝固壊死を認めることがある。すなわち胎盤機能不全がしょうじやすいため、その説明をするのが望ましい。
2.× 分娩誘発を待ってもらえないか医師に相談する優先度は低い。むしろ過期産(妊娠42週以降)では、巨大児のリスクが上がり、母体に負担がかかりやすいため、分娩誘発を促した方が良い。
3.× 今後、Aさんの血圧が上がってくるという断定した発言できない。むしろすでにAさんの血圧は高めと考えられる。妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。
4.× 早く産んでしまったほうが楽になるという一方的な解釈・発言はすべきではない。なぜなら、早めの場合でも、肩甲難産や分娩時損傷、弛緩出血のリスクや胎便吸引症候群、胎児機能不全などのリスクは少なからずあるため。
次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
Aさん(42歳、初産婦)は妊娠27週0日に自宅で突然、破水し、産婦人科病棟に入院した。入院の翌日、胎児心拍数陣痛図で高度遅発一過性徐脈を認め、緊急帝王切開術による出産となった。なお、経過中、羊水混濁は認められなかった。児の出生体重は1,051g。Apgar<アプガー>スコアは1分後3点、5分後7点。手術室で気管挿管を伴う新生児蘇生術を受けて全身状態は落ち着き、NICUに収容されて人工呼吸器管理を開始した。生後1時間のバイタルサインは体温(直腸温)35.8℃、呼吸数50/分、心拍数140/分、血圧40/28mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>92%であった。また、出生後排尿排便は認められていない。
48 生後1時間での児の評価として当てはまるのはどれか。
1.頻脈
2.乏尿
3.多呼吸
4.低体温
5.イレウス
解答4
解説
・Aさん(42歳、初産婦)
・妊娠27週0日:自宅で突然、破水し入院。
・入院の翌日:胎児心拍数陣痛図で高度遅発一過性徐脈を認め、緊急帝王切開術による出産。
・経過中:羊水混濁は認められない。
・児の出生体重:1,051g。
・アプガースコア:1分後3点、5分後7点。
・手術室で気管挿管を伴う新生児蘇生術を受けて全身状態は落ち着き、NICUに収容されて人工呼吸器管理を開始。
・生後1時間バイタルサイン:体温(直腸温)35.8℃、呼吸数50/分、心拍数140/分、血圧40/28mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>92%。
・出生後排尿排便は認められていない。
→【新生児室入室後の診察のバイタルサインの評価】
①心拍数:120~160回分(100以下は低酸素や心疾患を疑う)
②呼吸数:40~60回分で規則的な腹式呼吸
③体温:36.5~37.5℃(直腸温)
④皮膚色:淡紅色もしくは鮮紅色(中心性チアノーゼを認めない)
1.× 頻脈とは判断できない。なぜなら、設問から「心拍数140/分」と記載されているため。頻脈性不整脈が疑われるのは、乳児220 回以上/分、幼児・学童 180 回以上/分である。
2.× 乏尿とは判断できない。なぜなら、出生後排尿排便は認められていないが、出生1時間で見られないのは正常範囲内であるため。ちなみに、乏尿とは、何らかの原因により腎臓が障害を受け、尿量 が 1 時間あたり、(体重×0.5)ml 以下に減少した状態を指す。
3.× 多呼吸とは判断できない。なぜなら、設問から「呼吸数50/分」と記載されているため。ちなみに、多呼吸とは、浅くて速い呼吸である。肺炎など肺のコンプライアンスが減少するために 1 回換気量 が不足し、呼吸回数で補おうとする。 新生児では60回/分以上、乳児は50回/分以上、 幼児は40回/分以上が診断の目安とされている。
4.〇 正しい。低体温が生後1時間での児の評価として当てはまる。なぜなら、設問から「体温(直腸温)35.8℃」と記載されているため。低体温症は,世界保健機関(World Health Organization)によって深部体温が36.5℃(97.7°F)未満のものと定義されている。新生児の直腸温は37.5℃まで正常範囲内である。
5.× イレウスとは判断できない。なぜなら、出生後排尿・排便は認められていないが、出生1時間で見られないのは正常範囲内であるため。イレウスとは、典型的には、新生児に哺乳困難や嘔吐がみられ、腹部が大きくなり、出生後1~2日以内に排便の排泄がみられない状態を指す。診断は症状とX線検査の結果に基づいて行われる。閉塞は浣腸に加えて、ときに手術によって治療する。
(※画像引用:ナース専科様HPより)
次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
Aさん(42歳、初産婦)は妊娠27週0日に自宅で突然、破水し、産婦人科病棟に入院した。入院の翌日、胎児心拍数陣痛図で高度遅発一過性徐脈を認め、緊急帝王切開術による出産となった。なお、経過中、羊水混濁は認められなかった。児の出生体重は1,051g。Apgar<アプガー>スコアは1分後3点、5分後7点。手術室で気管挿管を伴う新生児蘇生術を受けて全身状態は落ち着き、NICUに収容されて人工呼吸器管理を開始した。生後1時間のバイタルサインは体温(直腸温)35.8℃、呼吸数50/分、心拍数140/分、血圧40/28mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>92%であった。また、出生後排尿排便は認められていない。
49 生後12時間が経過した。保育器内で人工呼吸器管理を行っていたところ、突如、呼吸運動の停止に伴い経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>低下と徐脈を認める発作が出現した。皮膚刺激で速やかに改善するものの、同様の発作が1時間に5、6回の頻度で認められた。その際のバイタルサインは、体温(腋窩温)36.8℃、呼吸数70/分、心拍数160/分、血圧45/30mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>95%であった。
鑑別すべき疾患はどれか。
1.敗血症
2.壊死性腸炎
3.未熟児網膜症
4.胎便吸引症候群
解答1
解説
・生後12時間経過。
・保育器内:人工呼吸器管理、突如、呼吸運動の停止に伴い経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>低下と徐脈を認める発作が出現。
・皮膚刺激で速やかに改善する。
・同様の発作:1時間に5、6回の頻度で認められた。
・バイタルサイン:体温(腋窩温)36.8℃、呼吸数70/分、心拍数160/分、血圧45/30mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>95%。
→新生児敗血症でみられる症状は、発熱もしくは低体温、活気低下、意識障害、無呼吸もしくは多呼吸、 呻吟(呼吸をするときにうなる)、 鼻翼呼吸(鼻の孔を広げて呼吸する)、陥没呼吸(肋骨や胸骨の間がへこむ呼吸)、頻脈や徐脈、末梢の冷感、血圧低下などがある。
1.〇 正しい。敗血症が鑑別すべき疾患である。敗血症とは、感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群である。敗血症性ショックでは、組織灌流が危機的に減少する。肺・腎臓・肝臓をはじめとする急性多臓器不全が起こる場合もある。特に、新生児は免疫学的に未熟であるため重症化しやすく、肺炎や髄膜炎を併発することもある。そのため、早期診断、早期治療が極めて重要である。
2.× 壊死性腸炎とは、腸への血液の流れの障害に、細菌感染などの因子が加わることにより腸が壊死してしまう病気である。 ほとんどは生まれてから30日未満(特に1週間以内)の赤ちゃんにみられ、時に生後30日目以降にみられることもある。壊死性腸炎の原因は完全には分かっていないが、血液中の酸素レベルの低下や腸への血流量の低下に伴い、腸が成熟していないことが部分的に関係している。設問文から完全に否定することはできないが、経腸栄養開始後の発症が多く、生後12時間経過であるため、選択肢1肺血症の方が優先度は高い。
3.× 未熟児網膜症とは、未熟児で、まだ発達途上の眼球内で網膜血管が異常増殖する病気である。網膜血管は胎齢14週頃より発生を始め、枝分かれして成長して30週で完成するが、未熟児で出生して安定した母体から急激に環境が変化すると、網膜の血管は異常な方向に増殖する。これが進行すると、網膜を牽引して網膜剥離を起こし、重篤な視力障害、時には失明にいたる。
4.× 胎便吸引症候群とは、出生前または周産期に、肺に胎便(暗緑色の、無菌の便)を吸い込んだ新生児に呼吸困難(呼吸窮迫)がみられることをいう。設問から「羊水混濁は認められなかった」と記載されているため優先度は低い。
(※画像引用:ナース専科様HPより)
次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
Aさん(42歳、初産婦)は妊娠27週0日に自宅で突然、破水し、産婦人科病棟に入院した。入院の翌日、胎児心拍数陣痛図で高度遅発一過性徐脈を認め、緊急帝王切開術による出産となった。なお、経過中、羊水混濁は認められなかった。児の出生体重は1,051g。Apgar<アプガー>スコアは1分後3点、5分後7点。手術室で気管挿管を伴う新生児蘇生術を受けて全身状態は落ち着き、NICUに収容されて人工呼吸器管理を開始した。生後1時間のバイタルサインは体温(直腸温)35.8℃、呼吸数50/分、心拍数140/分、血圧40/28mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>92%であった。また、出生後排尿排便は認められていない。
50 日齢14。保育器内で経鼻ハイフローセラピー(吸入酸素濃度21%)を行い、輸液と経管栄養を併用されている。現在の児の姿勢を図に示す。児は少し落ち着かない様子で体動が見られる。
児のポジショニングを整える際に行うべき対応はどれか。
1.頭枕を取り除く。
2.顔面を中間位に向ける。
3.上肢を上方に伸展させる。
4.体幹を伸展させる。
5.股関節を屈曲させる。
解答5
解説
・日齢14。
・保育器内で経鼻ハイフローセラピー(吸入酸素濃度21%)を行い、輸液と経管栄養を併用されている。
・児は少し落ち着かない様子で体動が見られる。
→1500g未満を「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」と呼ぶ。低体温、低血糖、貧血、黄疸(高ビリルビン血症)などが起こりやすく、感染への抵抗力も弱いため、外的ストレスをできる限り減らす必要がある。ポジショニングは、体内にいるときに近い姿勢を保つ。子宮内環境に近づける。なぜなら、低出生体重児は、胎内で屈曲姿勢をとる期間が少なく、神経系の発達が未成熟、在胎週数に応じた筋緊張が低下を認めるため。したがって、成熟児に比べて、四肢伸展、外転位の不良姿勢や不良運動パターンを認めやすい。胎内での屈曲姿勢に近い肢位をとらせるのが正しい。そのため、タオルやクッションなどを使用し姿勢のセッティングが必要になる。ポイントは、①頚部の軽度屈曲位、②肩甲帯の下制・前進、③骨盤後傾、④肩・股関節中間位(内・外転)、⑤上・下肢屈曲位である。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
1.× 頭枕を取り除く優先度は低い。なぜなら、頭蓋の変形を助長するため。頚部の軽度屈曲位に保つためにも体幹部のクッションを増やしたり、頭枕を低くしたりと工夫する。
2.× 顔面を中間位に向ける優先度は低い。なぜなら、呼吸がしにくく頭蓋の変形を助長する可能性があるため。自然な横向きが望ましい。
3.× 上肢を上方に伸展させる優先度は低い。なぜなら、胎内での屈曲姿勢に近い肢位をとらせる必要があるため。
4.× 体幹を伸展させる優先度は低い。なぜなら、胎内での屈曲姿勢に近い肢位をとらせる必要があるため。したがって、重力がかかり体幹伸展位になりやすい背臥位より腹臥位で上肢屈曲位が望ましい。
5.〇 正しい。股関節を屈曲させる。胎内での屈曲姿勢に近い肢位をとらせるのが正しい。そのため、タオルやクッションなどを使用し姿勢のセッティングが必要になる。ポイントは、①頚部の軽度屈曲位、②肩甲帯の下制・前進、③骨盤後傾、④肩・股関節中間位(内・外転)、⑤上・下肢屈曲位である。
(※画像引用:ナース専科様HPより)