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21 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律<育児・介護休業法>に規定されている制度で正しいのはどれか。
1.専業主婦の配偶者は育児休業を申請できない。
2.育児休業は出産日から起算して1年まで取得できる。
3.子の看護休暇は就学前の子を養育する労働者が取得できる。
4.パパ・ママ育休プラスは夫婦がそれぞれ1年2か月育児休業を取得できる。
解答3
解説
育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、育児・介護に携わる労働者について定めた日本の法律である。①労働者の育児休業、②介護休業、③子の看護休暇、④介護休暇などが規定されている。
1.× 専業主婦の配偶者も育児休業を申請できる。妻が専業主婦の場合や、育児休業中でも、夫は育児休業を取得できる。(育児・介護休業法の改正により、労使協定によって妻が専業主婦や育児休業中の場合に育児休業を取得することができないとすることができる仕組みは廃止された。)その他にも、男性が子育てをできる働き方ができるような制度が設けられている。
2.× 育児休業は出産日から起算して「1年」ではなく2年まで取得できる。子どもが1歳になっても保育園などに入れない場合は、1歳6ヶ月~2歳まで延長可能になっている。 2歳まで育児休業給付金を申請できるのは、子どもの誕生日が平成28年3月31日以降の場合が対象である。
3.〇 正しい。子の看護休暇は就学前の子を養育する労働者が取得できる。年齢でいうと小学校に上がる6歳である。6歳の誕生日の含まれる年度の3月末日までとなっている。上記は、あくまで育児・介護休業法に定められた最低条件である。
4.× パパ・ママ育休プラスは夫婦がそれぞれ「1年2か月」ではなく1年間の育児休業を取得できる。パパ・ママ育休プラスとは、夫婦がともに育児休業を取得することで期間を延長できる制度である。夫婦とも育休を取得することで、子どもが1歳2か月になるまで延長して休業を取得できる。一定の条件を満たせば、家庭の事情に合わせて夫婦で別々の期間に取得することもできる。
第四章 子の看護休暇
(法第十六条の二第一項の厚生労働省令で定める当該子の世話)
第三十二条 法第十六条の二第一項の厚生労働省令で定める当該子の世話は、当該子に予防接種又は健康診断を受けさせることとする。
第三十三条 削除
(法第十六条の二第二項の厚生労働省令で定める一日未満の単位等)
第三十四条 法第十六条の二第二項の厚生労働省令で定める一日未満の単位は、時間(一日の所定労働時間数に満たないものとする。)であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものとする。
2 前項に規定する一日未満の単位で取得する子の看護休暇一日の時間数は、一日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一日平均所定労働時間数とし、一日の所定労働時間数又は一年間における一日平均所定労働時間数に一時間に満たない端数がある場合は、一時間に切り上げるものとする。)とする。
第三十五条 法第十六条の二第一項の規定による申出(以下この条及び第三十七条において「看護休暇申出」という。)は、次に掲げる事項を、事業主に対して明らかにすることによって、行わなければならない。
一 看護休暇申出をする労働者の氏名
二 看護休暇申出に係る子の氏名及び生年月日
三 子の看護休暇を取得する年月日(法第十六条の二第二項の規定により、子の看護休暇を一日未満の単位で取得する場合にあっては、当該子の看護休暇の開始及び終了の年月日時)
四 看護休暇申出に係る子が負傷し、若しくは疾病にかかっている事実又は前条に定める世話を行う旨
2 事業主は、看護休暇申出があったときは、当該看護休暇申出をした労働者に対して、前項第四号に掲げる事実を証明することができる書類の提出を求めることができる。
(※一部引用:「育児・介護休業法」e-GOV法令検索様HPより)
22 感染予防のための標準予防策<スタンダードプリコーション>として適切なのはどれか。
1.悪露交換時は手袋を着用する。
2.産褥期の乳房ケアは素手で実施する。
3.新生児のケアではN95マスクを装着する。
4.分娩介助時は使い捨てエプロンを着用する。
解答1
解説
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
1.〇 正しい。悪露交換時は手袋を着用する。悪露とは、分娩後の産褥時に子宮から排出される分泌物の総称である。主として子宮粘膜の分泌液、血液、胎膜および胎盤組織の変性分解物からなり、赤褐色からチョコレート色を示すが、次第に色調は透明硝子様になる。
2.× 産褥期の乳房ケアは「素手」ではなく手袋を着用して実施する。なぜなら、産褥期の乳房ケアは乳汁に触れる可能性があるため。
3.× 新生児のケアでは、「N95マスク」ではなくサージカルマスク(一般的なマスク)を装着する。なぜなら、N95マスクは空気感染源を捕集し、空気感染リスクを低下させるマスクであるため。新生児のケアの際は、一般的なマスクで十分である。
4.× 分娩介助時は「使い捨てエプロン」ではなくガウンを着用する。なぜなら、分娩介助時には、広範囲に血液や体液が飛散することが懸念されるため。腕の汚染を防ぐ必要がある。
23 震度6強の大規模地震が発生し、被災地で多くの家屋が損壊した。公共交通機関の運行は停止し、主要道路の損傷によって複数地域で通行不能が生じている。一時避難所が開設されて家屋が損壊した住民の受け入れが行われた。避難者の中には妊婦が複数含まれていたが、身体的不調の訴えはない。
被災した妊婦のための初期対応で適切なのはどれか。
1.母体搬送が可能な周産期医療施設の情報を収集する。
2.かかりつけの産婦人科に早急に受診するよう妊婦に勧める。
3.妊婦には避難所内でなるべく安静にするよう妊婦に伝える。
4.母子健康手帳を持参していない妊婦は特定妊婦として扱う。
解答1
解説
・震度6強の大規模地震が発生。
・被災地で多くの家屋が損壊。
・公共交通機関の運行停止。
・主要道路の損傷によって複数地域で通行不能。
・一時避難所が開設されて家屋が損壊した住民の受け入れが行われた。
・避難者の中には妊婦が複数含まれていたが、身体的不調の訴えはない。
→設問文から、現在は超急性期(~24時間)~急性期(~2,3日)に該当すると考えられる。災害状況として、①野外への避難、②通信・交通・ライフラインの途絶、③避難所生活開始があげられる。したがって、主な活動として、避難者の中には妊婦が複数含まれていたことから、母体搬送が可能な周産期医療施設の情報を収集することが望ましい。
1.〇 正しい。母体搬送が可能な周産期医療施設の情報を収集する。なぜなら、避難者の中には妊婦が複数含まれていたため。現在、身体的不調の訴えはないが、被災により不十分な食事・運動・水分不足のためいつ変化があるか分からない。また、妊婦の受診している医療機関も被災している可能性が高く、何かあった場合はスムーズに案内できる可能性も低い。母体搬送が可能な周産期医療施設の情報を収集し、妊婦に説明することで不安の軽減にもつながる。ちなみに、周産期とは、妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいい、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間である。
2.× かかりつけの産婦人科に早急に受診するよう妊婦に勧める優先度は低い。なぜなら、避難者の中には妊婦が複数含まれていたが、身体的不調の訴えはないため。また、妊婦の受診している医療機関も被災している可能性が高く、受信できなかった場合はより混乱を招く可能性がある。
3.× 妊婦には避難所内でなるべく安静にするよう妊婦に伝える優先度は低い。なぜなら、運動不足により静脈血栓塞栓症を助長するため。避難所で活動量が極端に減り安静にしていると、特に妊娠期において生理的に静脈血栓塞栓症が起こりやすいため、異常がない場合は適度な運動を推奨する。
4.× 母子健康手帳を持参していない妊婦は特定妊婦として扱う優先度は低い。なぜなら、母子健康手帳を持参していないことは、母子健康手帳を交付していないことにはならないため。ちなみに、特定妊婦とは、妊娠中から家庭環境におけるハイリスク要因を特定でき、出産前の支援が必要な妊婦のこと。ハイリスク要因には、収入基盤の不安定さ、親が知的・精神的障害者、若年の妊婦、妊婦健康診査未受診、妊娠届の未提出などがある。
24 妊娠による母体の泌尿器系の変化で正しいのはどれか。
1.妊娠後期の尿の流出障害が左側に起こりやすい。
2.尿素窒素の値が非妊時より高値を示す。
3.糸球体濾過率<GFR>が低下する。
4.尿細管での再吸収能が低下する。
5.尿管の緊張が増す。
解答4
解説
妊娠中期以降:循環血流量が増加し、排出する尿量も増加する。さらに子宮が大きくなるにつれて、前方にある膀胱を圧迫するため、尿量が増えるにもかかわらず、膀胱の容積が小さくなるため、生理的に頻尿となる。
妊娠後期:ホルモンの影響により子宮や膀胱を支えている骨盤底筋が軟らかくなっていく。すると、尿道を閉める力が弱くなり、増大した子宮による膀胱圧迫も加わって、腹圧性尿失禁が生理的に認められるようになる。
1.× 妊娠後期の尿の流出障害は、「左側」ではなく右側に起こりやすい。なぜなら、妊娠後期の子宮は右側に傾くことが多いため。そもそも子宮は、左側にS状結腸(直腸)があるため右に回旋している。妊娠後期になると子宮とS状結腸により、右側の尿管が圧迫されやすい。ちなみに、シュレーダー徴候とは、娩出後、胎盤剥離されると、子宮底が高くなり右に傾くことである。
2.× 尿素窒素の値が非妊時より「高値」ではなく低値を示す。なぜなら、妊娠に伴い①循環血液量の増加、②末梢血管抵抗の低下、③心拍出量の増加が起こるため。結果、腎血漿量と糸球体濾過率<GFR>が上昇する。尿素窒素とは、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことで、蛋白質が利用された後にできる残りかすである。通常は、腎臓で濾過されて尿中へ排出されるが、腎臓の機能低下で、ろ過しきれない分が血液のなかに残る。つまり、尿素窒素の数値が高くなるほど、腎臓の機能が低下していることを表している。腎臓の機能を見る場合には、この尿素窒素の値だけでなく、尿に蛋白が出ているかどうかの検査の結果も合わせて判断する。両方に異常が見られる場合は要注意である。
3.× 糸球体濾過率<GFR>が「低下」ではなく上昇する。なぜなら、妊娠に伴い①循環血液量の増加、②末梢血管抵抗の低下、③心拍出量の増加が起こるため。結果、腎血漿量と糸球体濾過率<GFR>が上昇する。糸球体濾過率<GFR>とは、単位時間あたりに腎臓の糸球体という部分で濾過される血液の量のことをいう。 つまり、腎機能の機能評価ができる。一般的には、年齢と血清クレアチニン(Cr)値から推定した「推算GFR(eGFR)」が用いられ、 健康な方では、GFRは100ml/分/1.73m2前後である。
4.〇 正しい。尿細管での再吸収能が低下する。なぜなら、妊娠に伴い①循環血液量の増加、②末梢血管抵抗の低下、③心拍出量の増加が起こるため。結果、腎血漿量と糸球体濾過率<GFR>が上昇する。糸球体濾過率<GFR>が上昇することは、言い換えると「尿細管での再吸収能が低下する」になる。ちなみに、糸球体でろ過された尿(原尿)は、健常な方では1日におよそ150Lにもなる。実際の尿は1.5L程度であるため、99%は再吸収される。この再吸収する働きをするのが、尿細管である。糸球体で濾過された原尿には、老廃物以外に、アミノ酸やブドウ糖などの栄養素や、塩分(ナトリウム)やカリウム、リン、マグネシウムなど、さまざまなミネラル(電解質)も含まれている。このような身体にとって必要な成分を再吸収することにより、体内の水分量を一定に保ったり、ミネラルのバランスを調整したり、身体を弱アルカリ性の状態に保つことができる。
5.× 尿管の緊張が「増す」のではなく低下する。なぜなら、尿管は、子宮の圧迫とホルモンの変化の影響を受けるため。増大した子宮が骨盤腔を越える妊娠4カ月以降になると、尿管・尿路の圧迫に加えて,妊娠中に増加するプロゲステロンの尿路系平滑筋に対する弛緩作用も要因として加わる。この現象は、右側尿管に強い傾向がある。この理由として、①妊娠子宮は右旋・右傾すること、②左側尿管はS状結腸によって圧迫が緩衝されること、③直接下大静脈に潅流する右側卵巣静脈は妊娠中に拡張し、右尿管を圧迫することがあげられる。一方、膀胱はプロゲステロンによる弛緩に加え。妊娠子宮による後方からの機械的圧迫のため、機能的にも低緊張状態を呈する。そのため、残尿や膀胱尿管逆流現象を招く。
心疾患合併の頻度は全分娩の1~3%である。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。正常妊娠ではこうした増加に対し、末梢血管抵抗が低下し、腎臓や子宮への血流量を増加させている。実際、腎血流量は非妊娠時に比べ30%増加し、子宮血流量は10倍になる。これらの循環変化は母体が順調に胎児を育んで行く上に必須のものであるが、心疾患を合併した妊婦ではしばしば負担となる。また、分娩中は子宮収縮により静脈環流量が増加し、第2期では努責による交感神経興奮により頻脈になり、心拍出量が増加する。したがって、分娩中は心疾患合併妊婦の症状が悪化する危険な時期といえる。分娩後(産褥早期)、子宮は急速に収縮し静脈環流量が増加するが、循環血液量は急には減少しないため、一過性に心負担は増加する。この心拍出量増加は、産後の利尿により循環血液量が減少するまで継続する。産褥期に一過性に浮腫が増悪することがあるが、こうした循環器系変化のためと考えられる。
(※一部引用:「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(中井章人著,東京医学社)より)
25 日本人の正常新生児において、生理的黄疸が最も顕著になる時期として適切なのはどれか。
1.生後6時間
2.生後24時間
3.日齢4
4.日齢14
5.日齢28
解答3
解説
新生児黄疸(生理的黄疸)とは、生後間もない新生児の大半にみられる黄疸である。黄疸になると、皮膚や白目の色が次第に黄色味を帯びるが、新生児でみられる黄疸のほとんどは、生理的におきる新生児黄疸(生理的黄疸)である。この新生児黄疸(生理的黄疸)は、およそ生後3~5日目をピークに自然と治まっていくものである。過度に心配する必要はない。
1〜2.× 生後6時間/生後24時間以内の肉眼で観察できる黄疸のことを「早発黄疸」といい病的である可能性が非常に高い。早発黄疸では、一般的に高非抱合型ビリルビン血症を呈し、急性ビリルビン脳症の発症の原因になるため予防が重要である。
3.〇 正しい。日齢4は、日本人の正常新生児において、生理的黄疸が最も顕著になる時期である。新生児黄疸(生理的黄疸)とは、生後間もない新生児の大半にみられる黄疸である。黄疸になると、皮膚や白目の色が次第に黄色味を帯びるが、新生児でみられる黄疸のほとんどは、生理的におきる新生児黄疸(生理的黄疸)である。この新生児黄疸(生理的黄疸)は、およそ生後3~5日目をピークに自然と治まっていくものである。過度に心配する必要はない。
4〜5.× 日齢14/日齢28(2週間以上持続)の肉眼で観察できる黄疸のことを「遅延性黄疸」というが、未熟性によるものや母乳性黄疸など比較的問題とならないものも含まれている。ちなみに、母乳性黄疸とは、生後1か月を経過しても黄疸が存在して長引く黄疸のことで、この場合には血液中に増加するビリルビンは非抱合型(間接型)であり、尿にも排泄されにくいために尿は黄色に着色しないのが特徴である。