第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午後46~50】

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次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(32 歳、初産婦)。妊娠36週0日、胎児機能不全のため緊急帝王切開を受け、男児を出産した。児は出生時、自発呼吸・体動を認めず、生後30 秒で心拍数が30/分のためバッグ・マスク換気を開始し、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着した。その後のモニター値と児の状態を以下に示す。

46 児は蘇生終了後、NICUへ入院し、保育器に収容され、経鼻胃管が挿入され、輸液が開始された。生後、低血糖は認めず、胃内容物は透明であった。生後12時間、呼吸数55/分、心拍数180/分、血圧62/45mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。覚醒した状態が続いており、少しの刺激で啼泣し、不穏である。
 児に認められる神経症状で最も可能性が高いのはどれか。

1.筋緊張低下
2.吸啜反射の減弱
3.伸展反射の減弱
4.Moro〈モロー〉反射の減弱

解答

解説

本症例のポイント

・児は蘇生終了後、NICUへ入院し、保育器に収容され、経鼻胃管が挿入され、輸液が開始された。
・生後:低血糖は認めず、胃内容物は透明であった。
・生後12時間:呼吸数55/分、心拍数180/分、血圧62/45mmHg、SpO2:98%
・覚醒した状態が続いており、少しの刺激で啼泣し、不穏である。
→本症例は、胎児機能不全のため緊急帝王切開し、現在は蘇生終了後、NICUへ入院し、保育器に収容され、経鼻胃管が挿入され、輸液が開始された状態である。設問の「児の状態」から、情報を収集することも大切である。

1.× 筋緊張低下より可能性が高いものがほかにある。なぜなら、2分30秒から児の状態として、「筋緊張あり」と表記されているため。ちなみに、筋緊張低下とは、何らかの異常により全身の筋肉が柔らかくなった状態である。中枢神経の障害である脳性麻痺や末梢神経の障害である脊髄性筋萎縮症(SMA)、先天性ミオパチーや筋ジストロフィーなどで見られる。身体がぐにゃぐにゃとし、腕や脚の筋肉が非常に柔らかいなどの症状がある。
2.〇 正しい。吸啜反射の減弱が児に認められる神経症状で最も可能性が高い。なぜなら、経鼻胃管が挿入されているため。吸啜反射とは、原始反射のひとつであり、口腔内に指を入れると、舌を動かして吸啜する(吸う)反射のことである。出生時からみられ、生後4~6か月頃には消失する。
3.× 伸展反射の減弱より可能性が高いものがほかにある。なぜなら、本症例の現在は、覚醒した状態が続いており、少しの刺激で啼泣するため。伸展反射とは、脊髄反射の1つで、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋が収縮する現象である。新生児では交叉性伸展反射がみられ、検者が一側下肢を伸展させ,同側の足底を刺激すると反対側の下肢が屈曲し、その後に刺激を与えている検者の手を払いのけるように伸展交差する。
4.× Moro〈モロー〉反射の減弱より可能性が高いものがほかにある。なぜなら、本症例の現在は、覚醒した状態が続いており、少しの刺激で啼泣するため。Moro〈モロー〉反射とは、頭を正面に向けて少し起こしたあと急に頭を下げると、両手を広げ、指もすべて伸ばして開き、抱きつくような左右対称の動作をすることである。急な大きい音に対して反応することもある。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。妊娠36週0日、胎児機能不全のため緊急帝王切開を受け、男児を出産した。児は出生時、自発呼吸・体動を認めず、生後30秒で心拍数が30/分のためバッグ・マスク換気を開始し、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着した。その後のモニター値と児の状態を以下に示す。

47 生後24時間、児の全身状態は改善傾向である。初回授乳前に経鼻胃管より血性の内容物が吸引された。吸引物はApt〈アプト〉試験で新生児血液と診断された。
 児への初期処置として最も適切なのはどれか。

1.経管栄養の開始
2.新鮮凍結血漿の投与
3.上部消化管内視鏡検査
4.ビタミンK2製剤の静脈内注射

解答

解説

本症例のポイント

・生後24時間:児の全身状態は改善傾向。
・初回授乳前:経鼻胃管より血性の内容物が吸引。
・吸引物:Apt〈アプト〉試験で新生児血液と診断。
→Apt〈アプト〉試験(アルカリ抵抗試験)とは、新生児の吐物や便が血性であった場合に新生児自身の消化管出血によるもの(新生児メレナ)か、出生時に飲み込んだり、授乳時に乳首が切れて乳汁に混じって嚥下された母体血(仮性メレナ)かを鑑別するための検査である。

1.× 経管栄養の開始は時期尚早である。なぜなら、児は新生児メレナによる消化管出血を起こしている可能性があるため。また、経管栄養を開始することで嘔吐の誘発の恐れがある。
2.× 新鮮凍結血漿(FFP)の投与より優先度が高いものが他にある。なぜなら、新鮮凍結血漿(FFP)の投与は血漿因子欠乏による病態の改善を目的に行われるため。指針によれば、新鮮凍結血漿(FFP)の投与は「凝固因子の欠乏による病態の改善を目的に行い、出血の予防や止血の促進をもたらすこと」とされている。本症例の場合、新生児メレナであり、ビタミンK製剤の投与が初期処置として適している。
3.× 上部消化管内視鏡検査は必要ない。なぜなら、上部消化管内視鏡検査で発見可能な病気として、①逆流性食道炎、②胃炎(ピロリ菌未感染、ピロリ菌現感染、ピロリ菌既感染・除菌後)、③胃ポリープ、④十二指腸潰瘍、⑤食道がんなどといった外科的疾患および壊死性腸炎などを疑う場合に検討されるものであるため。本症例は、新生児メレナによる消化管出血を起こしている可能性があり、また上部消化管内視鏡検査は新生児の負担になるため初期処置としても適さない。
4.〇 正しい。ビタミンK2製剤の静脈内注射が児への初期処置である。なぜなら、本症例は、新生児血液で新生児メレナ(真性メレナ)が疑われるため。主に、ビタミンK欠乏による消化管出血が要因となるため、ビタミンK2製剤の静脈内注射が初期処置として行われる。

新生児メレナとはどんな病気ですか?

“メレナ”とは、本来“黒色便”のことです。そのため、“新生児メレナ”は新生児期の下血による黒色便を意味し、新生児が吐血や下血などの症状を呈する病気を総称して新生児メレナと呼ばれます。新生児メレナには、吐血や下血となる血液の由来が母体の血液である “仮性メレナ”と、児の血液である“真性メレナ”があります。仮性メレナの要因としては、出生時の胎盤からの出血や、授乳時に母親の乳頭裂傷などによる出血の嚥下があげられます。一方、真性メレナでは、主に児のビタミン K 欠乏による消化管出血が要因となります。両者はアプト試験(新生児血液中に多く存在するヘモグロビン F のアルカリ抵抗性を利用して母体血か新生児血かを判定する簡易検査)で鑑別することができます。ビタミン K は数種類の凝固因子の産生に必要な補助因子です。そのため、ビタミン K が欠乏すると消化管出血だけでなく、重症例では頭蓋内出血などを合併し、死亡する場合もあります。ビタミン K は胎盤通過性が悪く、母乳中のビタミン K 含量が少ないことなどから、新生児は出生時からビタミン K が欠乏しやすく、哺乳条件によっては乳児期まで欠乏しやすい状態が持続します。

(※一部引用:「Q3-6. 新生児メレナとはどんな病気ですか?」著:川口 千晴より)

 

 

 

 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初産婦)。既往歴や生活歴に特記すべき事なく、妊娠経過中、母子ともに異常の指摘はなかった。妊娠39週1日、頭位経腟分娩で男児を出生した。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点、初期蘇生は行わずルーチンケアのみ行って終了したが蘇生の際の診察で左の口唇裂を認めた。出生体重2,950g。生後10分の児のバイタルサインは、体温37.2℃、呼吸数50/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(room air)であった。

48 Aさんは以前より早期母子接触を希望していた。
 早期母子接触前の児への対応として適切なのはどれか。

1.経鼻胃管の挿入
2.酸素投与の開始
3.閉鎖式保育器への収容
4.胸部エックス線写真の撮影
5.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターの継続

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(30歳、初産婦、出生体重2,950g)。
・既往歴や生活歴に特記すべき事ない。
・妊娠経過中、母子ともに異常の指摘はなかった。
・妊娠39週1日:頭位経腟分娩で男児を出生した。
Apgarスコア:1分後8点、5分後9点
・初期蘇生:行わずルーチンケアのみ行って終了したが、蘇生の際の診察で左の口唇裂を認めた。
生後10分のバイタルサイン:体温37.2℃、呼吸数50/分、心拍数160/分、SpO2:92%
・Aさん:以前より早期母子接触を希望
→本症例は、左の口唇裂を認めるものの正期産児で、体重・アプガースコア・バイタルサインとも正常範囲内である。したがって、早期母子接触の適応基準にも該当する。早期母子接触の①適応基準、②中止基準、③実施方法は以下にまとめたので参考にしてほしい。

1.× 経鼻胃管の挿入より優先度が高いものが他にある。経鼻胃管挿入とは、鼻からプラスチック製のチューブ(くだ)を挿入し、胃まで通すことである。経鼻胃管は、口唇裂による哺乳状態によって経管栄養を必要とする場合に挿入するが、早期母子接触前の児への対応としては適さない。ちなみに、口唇裂とは、口唇および顎骨前方部に裂がみられものである。
2.× 酸素投与の開始より優先度が高いものが他にある。なぜなら、児は生後10分の時点でSpO2:92%とやや低いが、アプガースコア・バイタルサインは安定しているため。ちなみに、酸素投与の適応として、有効な人工呼吸を30秒間行った後の評価で心拍が60/分未満であれば人工呼吸に加えて胸骨圧迫を開始すると共に酸素投与が必要となる。
3.× 閉鎖式保育器への収容より優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例は、左の口唇裂を認めるものの正期産児で、体重・アプガースコア・バイタルサインとも正常範囲内であるため。閉鎖式保育器とは、未熟性の高い出生直後の新生児・未熟児を収容する医療機器である。
4.× 胸部エックス線写真の撮影より優先度が高いものが他にある。なぜなら、母子ともに特に目立った病気は認められないため。胸部エックス線写真の撮影は、主に肺や肺血管、消化管やガス像、骨、挿管チューブやカテーテルの走行と位置の評価のためなどに行われる。
5.〇 正しい。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターの継続が早期母子接触前の児への対応として適切である。下記の「早期母子接触の適応基準、中止基準、実施方法」には、パルスオキシメータのプローブを下肢に装着するか、担当者が実施中付き添い、母子だけにはしないことが明記されている。また、児は生後10分の時点で、呼吸状態はSpO2:92%であるため、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターの継続する。

(※画像引用:ナース専科様HPより)

早期母子接触の適応基準、中止基準、実施方法

【早期母子接触の適応基準、中止基準、実施方法】
 施設の物理的、人的条件等により、ここに推奨する基本的な実施方法を一部変更せざるを得ない場合がある。そのような場合にも、早期母子接触の効果と安全性について十分に吟味し、母子の最大の利益となるように実施方法を決定する。また、早期母子接触を実施しない選択肢も考慮すべきである。以下に経腟分娩を対象とした各基準を示す。
<適応基準>
①母親の基準
・本人が「早期母子接触」を実施する意思がある
・バイタルサインが安定している
・疲労困憊していない
・医師、助産師が不適切と認めていない
②児の基準
・胎児機能不全がなかった
・新生児仮死がない(1 分・5 分 Apgar スコアが 8 点以上)
・正期産新生児
・低出生体重児でない
・医師、助産師、看護師が不適切と認めていない

<中止基準>
①母親の基準
・傾眠傾向
・医師、助産師が不適切と判断する
②児の基準
・呼吸障害(無呼吸、あえぎ呼吸を含む)がある
・SpO2:90%未満となる
・ぐったりし活気に乏しい
・睡眠状態となる
・医師、助産師、看護師が不適切と判断する

<実施方法>
 早期母子接触は母子に対して種々の利点がある。したがって、早期母子接触を実施できない特別な医学的理由が存在しない場合は、周産期医療従事者として、その機会を設けることを考える必要がある。早期母子接触は医療ではなく、ケアであることから、母親とスタッフ間のコミュニケーションがスムーズに行われている必要があり、出産後の母子を孤立させない配慮が大切である。特に、早期母子接触を実施する時は、母親に児のケアを任せてしまうのではなく、スタッフも児の観察を怠らないように注意する必要がある。
・バースプラン作成時に「早期母子接触」についての説明を行う。
・出生後できるだけ早期に開始する。30 分以上、もしくは、児の吸啜まで継続することが望ましい。
・継続時間は上限を 2 時間以内とし、児が睡眠したり、母親が傾眠状態となった時点で終了する。
・分娩施設は早期母子接触を行わなかった場合の母子のデメリットを克服するために、産褥期およびその後の育児に対する何らかのサポートを講じることが求められる。
母親:①「早期母子接触」希望の意思を確認する。②上体挙上する(30 度前後が望ましい)。③胸腹部の汗を拭う。④裸の赤ちゃんを抱っこする。⑤母子の胸と胸を合わせ両手でしっかり児を支える。
児:①ドライアップする。②児の顔を横に向け鼻腔閉塞を起こさず、呼吸が楽にできるようにする。③温めたバスタオルで児を覆う。④パルスオキシメータのプローブを下肢に装着するか、担当者が実施中付き添い、母子だけにはしない。⑤以下の事項を観察、チェックし記録する(呼吸状態:努力呼吸、陥没呼吸、多呼吸、呻吟、無呼吸に注意する。冷感、チアノーゼ、バイタルサイン(心拍数、呼吸数、体温など)、実施中の母子行動)

・終了時にはバイタルサイン、児の状態を記録する。

(※一部引用:「早期母子接触」実施の留意点 日本周産期・新生児医学会HPより)

 

 

 

 

 

 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
 Aさん(30 歳、初産婦)。既往歴や生活歴に特記すべき事なく、妊娠経過中、母子ともに異常の指摘はなかった。妊娠39週1日、頭位経腟分娩で男児を出生した。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点、初期蘇生は行わずルーチンケアのみ行って終了したが蘇生の際の診察で左の口唇裂を認めた。出生体重2,950g。生後10分の児のバイタルサインは、体温37.2 ℃、呼吸数50/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92 %(room air)であった。

49 生後4か月0日、約1か月前に手術を受け、児は元気に自宅で生活している。Aさんは児の発育発達の経過観察を目的に児を連れて外来を受診した。来院時の身体計測値は身長60.0cm、体重5,400g、頭囲42.5cmであった。あやすと声を出して笑い、人見知りをする様子はない。定頸はしているが寝返りはまだである。また、おもちゃを目の前に出しても手を伸ばすことができない。
 現時点での児の評価で適切なのはどれか。

1.運動発達遅滞
2.精神発達遅滞
3.体重増加不良
4.発育発達順調

解答

解説

本症例のポイント

・生後4か月0日:約1か月前に手術を受け、児は元気に自宅で生活。
・身体計測値:身長60.0cm、体重5,400g、頭囲42.5cm。
・あやすと声を出して笑い人見知りをする様子はない
定頸は可能、寝返りはできず
・おもちゃを目の前に出しても手を伸ばすことができない。
→4か月児健康診査のポイントとして、①体重が増えているか?、②首が座っているか?、③目を合わせることができるか?、④目で物を追うことができるか?、⑤先天性股関節脱臼がないかなどがあげられる。デンバー発達判定法には、4ヶ月の項目で、①手をみつめる、②ガラガラを握る、180°追視、両手を合わす、③キャアキャア喜ぶ 90°頭を上げる、両足で体を支えるなどがあげられる。

1.× 運動発達遅滞とは断定できない。なぜなら、本症例は生後4か月の時点で定頸しており、月齢に見合っているため。ちなみに、寝返りの獲得は生後5〜6か月頃であり、おもちゃに手を伸ばす動作(リーチ動作)の獲得は生後5か月頃である。
2.× 精神発達遅滞とは断定できない。なぜなら、あやすと声を出して笑う様子が見られ、月齢に見合っているため。ちなみに、人見知りが生じる時期は6か月頃からである。
3.〇 正しい。体重増加不良は、現時点での児の評価で適切である。なぜなら、生後4か月頃の体重の中央値は、男の子:7.22kg、女の子:6.71kgであるため。中央値とは、生後4か月の赤ちゃん全員を体重の軽いから順番に並べて、ちょうど真ん中にきた赤ちゃんの体重を意味する。
4.× 発育発達順調とは断定できない。なぜなら、選択肢3.体重増加不良が生じているため。

精神・運動発達遅滞とは?

運動発達遅滞とは、通常できるとされる年齢から遅れている成長状態を指し、主な症状は、首が座らない、座れない、自分の足で歩けない、飛び跳ねることができないなどの運動能力の発達の遅れをさす。

精神発達遅滞とは、言葉を話すことができない、人とコミュニケーションが取れないなどの精神能力の遅れをさす。

(※図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査)

 

 

 

 

 

 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
 Aさん(30 歳、初産婦)。既往歴や生活歴に特記すべき事なく、妊娠経過中、母子ともに異常の指摘はなかった。妊娠39週1日、頭位経腟分娩で男児を出生した。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点、初期蘇生は行わずルーチンケアのみ行って終了したが蘇生の際の診察で左の口唇裂を認めた。出生体重2,950g。生後10分の児のバイタルサインは、体温37.2 ℃、呼吸数50/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92 %(room air)であった。

50 今回の外来受診の最後にAさんから「子どもの手術の都合もあって、まだ予防接種を何も受けることができていません」と相談があったため、1週後に初回予防接種の実施を検討した。周囲では感染症流行の情報はない。
 初回予防接種として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.水痘ワクチン
2.肺炎球菌ワクチン
3.おたふくかぜワクチン
4.四種混合〈DPT-IPV〉ワクチン
5.麻しん風しん混合〈MR〉ワクチン

解答2・4

解説

本症例のポイント

・相談「子どもの手術の都合もあって、まだ予防接種を何も受けることができていません」と。
・1週後に初回予防接種の実施を検討した。
・周囲では感染症流行の情報はない。
→本症例は、「まだ予防接種を何も受けていない」。現在、生後4か月0日であることから、日本小児学会の「予防接種スケジュール」と照らし合わせながら、初回予防接種が必要なものを選択する。

(※表引用:「予防接種スケジュール」日本小児学会より)

1.× 水痘ワクチンの1回目は生後12か月~15か月である。水痘ワクチンは、 幼児を対象とする定期予防接種するワクチンである。初回接種は、追加接種は初回接種後3か月以上(標準として半年から1年後まで)である。
2.〇 正しい。肺炎球菌ワクチンを初回予防接種する。肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌感染症を予防する定期接種の不活化ワクチンである。生後2ヶ月〜満5歳までの間に4回打つ。
3.× おたふくかぜワクチンの1回目は生後12か月~15か月である。おたふくかぜワクチンは、おたふくかぜを予防する任意接種の生ワクチンである。1歳になったら早めに1回、小学校入学前の1年間のうちに1回打つ必要がある。
4.〇 正しい。四種混合〈DPT-IPV〉ワクチンを初回予防接種する。四種混合〈DPT-IPV〉ワクチンは、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの4種類を予防する定期接種の不活化ワクチンである。生後3ヶ月〜7歳6ヶ月未満のうちに4回打つ。
5.× 麻しん風しん混合〈MR〉ワクチンの1回目は生後12か月~15か月である。麻しん風しん混合〈MR〉ワクチンは、麻しん・風しんを予防する定期接種の生ワクチンである。1歳〜満2歳未満のうちに1回、6歳になる年度(4/1〜翌年3/31)に1回打つ必要がある。

 

 

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