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26 陣痛発来後に分娩進行が停滞した産婦に対し、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標で適切なのはどれか。
1.足浴実施から分娩終了までの時間
2.Apgar<アプガー>スコア
3.回旋異常の頻度
4.鉗子分娩の比率
5.分娩時出血量
解答1
解説
1.〇 正しい。足浴実施から分娩終了までの時間は、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標となる。設問の目的は「陣痛の促進」である。足浴のように陣痛「前」に実施し、陣痛の促進(陣痛の観察)をしなければならない。足浴により陣痛促進された場合、①時間が短縮された、②陣痛の強さ、③陣痛発作の回数などの評価の指標となる。
2.× Apgar<アプガー>スコアは、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。なぜなら、アプガースコアとは、出生直後の新生児の状態を評価するスコアであるため。①皮膚色、②心拍数、③刺激による反射、④筋緊張、⑤呼吸状態の5項目に対し、0~2点のスコアをつける。
3.× 回旋異常の頻度は、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。なぜなら、回旋異常の原因は、骨盤の形態異常や子宮筋腫、低置胎盤、巨大児・低出生体重児出産の場合などであるため。
4.× 鉗子分娩の比率は、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。なぜなら、鉗子分娩は、子宮口が全開大しており胎児も下がったタイミングで分娩の進行が止まってしまった場合に行われるため。鉗子分娩は、子宮口全開大して胎児が降りてきてからのことであり、それまでの陣痛の評価ができない。
5.× 分娩時出血量は、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。なぜなら、分娩時の出血量と陣痛との関連は薄いため。ちなみに、日本産科婦人科学会用語集では「正常分娩の出血量は500mL未満とされており、それを超える量の出血を分娩時異常出血という」と定義されている。
(※画像引用:ナース専科様HPより)
27 月経前症候群<PMS>で正しいのはどれか。
1.日常生活に支障がある。
2.薬物治療は無効である。
3.更年期症状の一つである。
4.原因は子宮内膜症である。
5.月経前不快気分障害<PMDD>は軽症型である。
解答1
解説
月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいう。原因は、はっきりとはわかっていないが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられている。排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌される。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられている。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こるといわれている。精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがある。とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)の場合もある。治療法として、①日常生活の改善、②薬物療法(排卵抑制療法、症状に対する治療法、漢方療法)があげられる。
1.〇 正しい。日常生活に支障がある。月経前症候群<PMS>とは、月経が始まる2週間前ごろからみられる精神的あるいは身体的症状であり、日常生活に支障がある。月経開始とともに軽快ないし消失する。
2.× 薬物治療は、「無効」ではなく有効である。一般的に、低用量ピルをきちんと服用した場合、99.7%の避妊効果が期待される。その他の効果には、月経不順の改善、過多月経の改善、月経前の不快症状であるPMS(月経前症候群)、その重症型であるPMDD(月経前不快気分障害)の改善、肌荒れの改善、月経痛の緩和などの効果があげられる。また、月経前症候群では腹痛、頭痛、腰痛などの症状に対して鎮痛剤などの薬物治療は有効である。
3.× 更年期症状の一つ「とはいえない」。月経前症候群は排卵から月経までの女性ホルモンの変動によるものであり、更年期症状とは別である。更年期症状は卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に減少することで起こるホルモンバランスの崩れによって生じる。
4.× 原因は「子宮内膜症」ではなく、「排卵から月経までの女性ホルモンの変動」である。月経前症候群は黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因と考えられおり、子宮内膜症とは関連がない。ちなみに、子宮内膜症とは、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内側以外の部位に発生する病気である。腰痛や下腹痛、性交痛、排便痛などが出現する。
5.× 月経前不快気分障害<PMDD>は、「軽症型」ではなく「精神症状が主体で症状が強い」ものをいう。月経前症候群の中でも心の不安定さが際立って強く出てしまう場合で、抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラの4症状が中心である。食行動の変化や睡眠障害などの特徴的な症状が月経前に出現することで社会活動や人間関係に支障をきたす。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
28 胎児超音波検査において後頸部透亮像<nuchal translucency:NT>の評価時期で適切なのはどれか。
1.妊娠9 週
2.妊娠12週
3.妊娠18週
4.妊娠24週
5.妊娠30週
解答2
解説
後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)とは、妊娠の11週から14週頃(日本産科婦人科学会が発行した「産婦人科診療ガイドライン」では、妊娠10〜14週での測定を勧められている)に、胎児を正中矢状断(身体の真ん中の縦向きの断面を胎児の側面から観察する方法)で、超音波で観察した時に、頚部(うなじのあたり)付近の皮膚が浮き上がってふくらんだ形に見えるものである。妊娠11〜13週で測定し、3.5mm以上が異常とされ、厚さに比例して胎児の染色体異常、心奇形、その他の先天奇形が出現する頻度が高くなる。後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)値が大きく、かつ染色体正常であった児の予後の調査では、先天性心疾患が最も多かった。
詳細な検討によれば、皮膚表面がとくにふくらんでいない正常の皮下組織でも超音波で黒っぽく抜けて見える像になることがわかっている。つまり、後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)は基本的には頚部皮膚の厚みが描出されただけのもので、ふくらんで見える場合は皮膚が局所的に浮腫(むくみ)状になったものと考えられている。後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)は正常な胎児にも認められ、後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)がない赤ちゃんが必ずしも健常な訳ではない。しかし、後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)が厚くなると、その胎児には、染色体の異常とくに21トリソミーの危険性が高くなるという研究報告がある。21トリソミーを持つ赤ちゃんは、出生後にダウン症候群という病気を呈することが知られている。
1.3~5.× 妊娠9週/妊娠18週/妊娠24週/妊娠30週は評価時期とはいえない。後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)とは、妊娠の11週から14週頃(日本産科婦人科学会が発行した「産婦人科診療ガイドライン」では、妊娠10〜14週での測定を勧められている)に、胎児を正中矢状断(身体の真ん中の縦向きの断面を胎児の側面から観察する方法)で、超音波で観察した時に、頚部(うなじのあたり)付近の皮膚が浮き上がってふくらんだ形に見えるものである。詳細な検討によれば、皮膚表面がとくにふくらんでいない正常の皮下組織でも超音波で黒っぽく抜けて見える像になることがわかっている。つまり、後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)は基本的には頚部皮膚の厚みが描出されただけのもので、ふくらんで見える場合は皮膚が局所的に浮腫(むくみ)状になったものと考えられている。後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)は正常な胎児にも認められ、後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)がない赤ちゃんが必ずしも健常な訳ではない。しかし、後頸部透亮像(NT:nuchal translucency)が厚くなると、その胎児には、染色体の異常とくに21トリソミーの危険性が高くなるという研究報告がある。21トリソミーを持つ赤ちゃんは、出生後にダウン症候群という病気を呈することが知られている。
2.〇 正しい。妊娠12週は、胎児超音波検査において後頸部透亮像<nuchal translucency:NT>の評価時期である。
(※図引用「産婦人科ガイドライン」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)
29 日本人の食事摂取基準(2015年版)で、妊娠中の女性が非妊時と同量の摂取で良いとされる栄養素はどれか。
1.カルシウム
2.タンパク質
3.鉄
4.ビタミンC
5.葉酸
解答1
解説
(※図引用:「表 1 妊婦の食事摂取基準(再掲)」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。カルシウムは、日本人の食事摂取基準(2015年版)で、妊娠中の女性が非妊時と同量の摂取で良いとされる栄養素である。なぜなら、妊娠期にはカルシウムの吸収率が上がるため。
2.× タンパク質は、筋肉や臓器など身体を造るために非常に重要な栄養素である。妊娠中:妊娠初期は+0g、妊娠中期では+10g、妊娠後期では+25gを追加することが推進されている。
3.× 鉄は、①DNA合成、②赤血球生成、③基礎エネルギー代謝、④脳神経形成、⑤脳ホルモン生成、⑥コラーゲン生成などを行い、胎児にも必要で妊娠中に不足しがちな栄養素である。妊娠中に必要な鉄分の量は19.5mと妊娠前の約2倍近く必要とされている。
4.× ビタミンCは、皮膚や血管などからだの主要なタンパク質であるコラーゲンをつくるのに必要な栄養素である。妊娠中は110mg、授乳中は145mgの摂取が推奨されている。
5.× 葉酸は、赤血球を作るために必要な栄養素である。妊娠活動期~妊娠初期には通常の240μgに加えて400μg/日の摂取が必要とされている。
30 出生直後の新生児の血糖維持の機序において、最も早期に効果が発現するホルモンはどれか。
1.グルカゴン
2.カテコラミン
3.コルチゾール
4.成長ホルモン
5.甲状腺ホルモン
解答1
解説
1.〇 正しい。グルカゴンは、出生直後の新生児の血糖維持の機序において、最も早期に効果が発現するホルモンである。出生直後の血糖値は、生後1時間で最低値となる。その結果、インスリン(血糖値を下げる働き)の分泌が抑制され、グルカゴンの分泌が促進される。グルカゴンは、肝臓でグリコーゲンとして蓄えられたグルコースを血液中に放出するよう働きかけ、血糖値を上昇させる。
2.× カテコラミン(カテコールアミン)は、脳、副腎髄質や交感神経に存在する神経伝達物質の総称で、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つがある。カテコールアミンが過剰に分泌すると、重度の高血圧や過度の発汗、動悸、頭痛などが起こる。逆に不足すると心身の脱力感や意欲の低下が起こり抑うつ状態を招きやすくなる。血糖維持の機能とは関係ない。
3.× コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの1つであり、肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織での脂肪の分解などの代謝の促進、抗炎症および免疫抑制などを行う。血糖維持の機能とは関係ない。
4.× 成長ホルモンは、脳下垂体から分泌され、小児期には背を伸ばす作用があり、成人になってからは筋肉や骨や皮膚を強くする作用がある。血糖維持の機能とは関係ない。
5.× 甲状腺ホルモンは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。血糖維持の機能とは関係ない。