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21 分娩進行中の子宮口全開大後の経時的な内診所見を図に示す。
この場合の児頭回旋で正しいのはどれか。
1.第1前方後頭位
2.第2前方前頭位
3.低在横定位
4.高在縦定位
5.不正軸進入
解答2
解説
第1頭位とは、胎児の背中が母体の左手側にあることをいう。つまり第1頭位の場合、入口部における小泉門は母体の左方にある。
第2頭位とは、胎児の背中が母体の右手側にあることをいう。
不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。
1~2.× 第1前方後頭位は否定できる。なぜなら、大泉門が母体の左側、小泉門が右側にある(児背は母体の右側にある)ため。「第1胎向」ではなく第2胎向である。また、児頭回旋の前方とは「母体の前(腹側)」、後方とは「母体の後ろ(背側)」である。前頭は大泉門、後頭は小泉門を指す。Station+3の状態は、児の前頭が母体の前方で先進しているため、第2前方前頭位である。したがって、選択肢2.第2前方前頭位である。ちなみに、ドゥリーのステーション法に基づき、左右の坐骨棘間を結んだ線上をStation±0として、それより上方に1cmきざみで−1、−2、−3…、下方に1cmきざみで+1、+2、+3…と表現する。つまり、Station±0は、坐骨棘間を結ぶ位置にあり、ホッジの第3平行平面に一致し、児頭の最大周囲径は骨盤濶部である。
3.× 低在横定位とは、第2回旋が起こらなかったため骨盤底に達しても矢状縫合が横径に一致して分娩が停止した状態である。第2回旋の異常で、児頭は骨盤底にあるが、弓状縫合は骨盤横径に一致している状態である。
4.× 高在縦定位とは、児頭が第1および第2回旋を行うことなく、分娩初期において矢状縫合が骨盤入口の縦径に一致して状態で止まり、 そこから分娩が進行しない状態である。狭い骨盤の場合に起こりやすい。
5.× 不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。①前在頭頂骨侵入:弓状縫合が母体後面に偏位するもの、②後在頭頂骨侵入:弓状縫合が母体前面に偏位するものに分けられる。本症例の内診所見の弓状縫合は中央であるため否定できる。
第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。
第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)
22 Aさん(34歳、初産婦)。陣痛発来して、産婦人科に入院した。Aさんは無痛分娩を希望し、硬膜外カテーテルから局所麻酔薬が投与された。その3分後に、Aさんは手のしびれと気分不快を訴えた。頸部に氷を当てたところAさんはあまり冷たくないという。
この時点で直ちに準備するもので優先度が高いのはどれか。
1.降圧薬
2.輸血用器材
3.吸入ステロイド薬
4.気管挿管のための器材
5.自動体外式除細動器<AED>
解答4
解説
・Aさん(34歳、初産婦)
・陣痛発来、産婦人科:入院
・Aさん:無痛分娩を希望、硬膜外カテーテルから局所麻酔薬が投与。
・3分後:手のしびれと気分不快を訴えた。
・頸部に氷を当てたところ「あまり冷たくない」と。
→無痛分娩に関連して生じる合併症として、麻酔の直接的影響で生じるものと麻酔による子宮収縮や分娩進行への影響により、2次的に生じるものがある。直接的影響による合併症として、高位脊髄くも膜下麻酔、局所麻酔薬中毒、硬膜外血種、硬膜外膿瘍、母体低血圧、一過性の胎児徐脈、硬膜穿刺後の頭痛などがある。一方で無痛分娩では帝王切開率は増加しないが、分娩第 2 期の延長、器械分娩が増加することが指摘されており、それに伴う弛緩出血、産道裂傷および多量出血の発生に備える必要がある。そうした観点から、米国の産科麻酔周産期学会のガイドラインでは、無痛分娩を実施する分娩室には蘇生設備・医療機器・救急用医薬品・母体用生体モニターを常に準備しておくことを推奨している。具体的な物品の例を表1に示す。救急用医薬品として母体低血圧、出血性ショックに対する循環作動薬および輸液、気管挿管に用いる鎮静薬と筋弛緩薬などが含まれる。静注用脂肪乳剤(イントラリポスⓇなど)は局所麻酔薬中毒に対する投与の有効性が指摘されており、準備が望ましい救急医薬品である。(※一部引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P277」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P277」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)
1.× 降圧薬は優先度が低い。なぜなら、硬膜外麻酔の頻度の高い副作用として血圧低下がある。降圧剤ではなく、昇圧剤で血圧を上げる必要がある。
2.× 輸血用器材は優先度が低い。なぜなら、米国の産科麻酔周産期学会のガイドラインでは、無痛分娩を実施する分娩室には蘇生設備・医療機器・救急用医薬品・母体用生体モニターを常に準備しておくことを推奨している。本症例は、出血の疑いや止血困難な状況ではない。したがって、分娩後出血の際などに輸血が必要となる。
3.× 吸入ステロイド薬は優先度が低い。なぜなら、吸入ステロイド薬は、気道の炎症などを抑え、発作を起こさないようにする毎日の長期管理薬であるため。喘息などの基本治療の中心薬剤である。
4.〇 正しい。気管挿管のための器材は、直ちに準備するもので優先度が高い。無痛分娩に関連して生じる合併症として、麻酔の直接的影響で生じるものと麻酔による子宮収縮や分娩進行への影響により、2次的に生じるものがある。直接的影響による合併症として、高位脊髄くも膜下麻酔、局所麻酔薬中毒、硬膜外血種、硬膜外膿瘍、母体低血圧、一過性の胎児徐脈、硬膜穿刺後の頭痛などがある。一方で無痛分娩では帝王切開率は増加しないが、分娩第 2 期の延長、器械分娩が増加することが指摘されており、それに伴う弛緩出血、産道裂傷および多量出血の発生に備える必要がある。そうした観点から、米国の産科麻酔周産期学会のガイドラインでは、無痛分娩を実施する分娩室には蘇生設備・医療機器・救急用医薬品・母体用生体モニターを常に準備しておくことを推奨している。具体的な物品の例を表1に示す。救急用医薬品として母体低血圧、出血性ショックに対する循環作動薬および輸液、気管挿管に用いる鎮静薬と筋弛緩薬などが含まれる。静注用脂肪乳剤(イントラリポスⓇなど)は局所麻酔薬中毒に対する投与の有効性が指摘されており、準備が望ましい救急医薬品である。(※一部引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P277」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)
5.× 自動体外式除細動器<AED>は優先度が低い。なぜなら、自動体外式除細動器<AED>は心室細動に適応となるため。AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。
23 42歳の経産婦。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。前置胎盤に伴う出血があり、2週間の安静入院後、妊娠37週で帝王切開術となった。手術翌日の子宮底の高さは臍下1横指で、収縮は良好である。術後の初回歩行前に左下腿に浮腫と発赤を認め、その部位に痛みを訴えている。バイタルサインは体温37.0℃、脈拍80/分、血圧120/75mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>98%(room air)。
優先的に行うのはどれか。
1.心電図検査
2.尿定性検査
3.凝固機能検査
4.呼吸機能検査
5.造影CT検査
解答5
解説
・42歳、経産婦。
・既往歴、家族歴:特記なし。
・前置胎盤に伴う出血があり、2週間の安静入院後、妊娠37週で帝王切開術。
・手術翌日:子宮底の高さ臍下1横指、収縮良好。
・術後の初回歩行前:左下腿に浮腫と発赤、痛みあり。
・バイタルサイン:体温37.0℃、脈拍80/分、血圧120/75mmHg、SPO2:98%。
→本症例は、2週間の安静入院後の帝王切開をしており、浮腫と発赤、疼痛みられていることから深部静脈血栓症が疑われる。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。Dダイマーを測定する血液検査や血管造影CT検査で診断する。造影CT検査は、動脈瘤・解離・出血・血栓症などの血管性病変の描出に有用である。
1.× 心電図検査とは、心疾患の診断に使用される。心臓の動きを電気的な波形に現して記録し、それによって心臓の状況を把握できる。特に、心臓の活動の異常によってあらわれる不整脈の診断には不可欠の検査である。
2.× 尿定性検査とは、尿中に排泄される糖やタンパクの量あるいは潜血の有無などを短時間に調べることのできる検査である。尿蛋白と尿潜血により、腎臓や尿路系疾患を調べることができる。また、尿糖により糖尿病や内分泌疾患を調べられる。
3.× 凝固機能検査とは、出血時の止血機能がきちんと働くかどうかを調べる検査である。凝固反応とは、血管の損傷により、血液が血管内皮組織と接触することで始まり、損傷部に血栓が作られ、出血を防ぐ反応のことを指す。出産や手術前に行う検査である。
4.× 呼吸機能検査とは、肺の能力を評価する検査であり、肺活量、1秒量、肺拡散能などを測定する。喘息、慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎(肺線維症)など、呼吸の機能が異常になる病気の診断や評価に使用される。深部静脈血栓症の合併症に肺塞栓症があるが、主な症状は突然発生する胸部痛、呼吸困難、軽い胸痛からのショックなどである。本症例のSPO298%であり、そのほかの症状が見られないため優先度は低い。
5.〇 正しい。造影CT検査を優先的に行う。2週間の安静入院後の帝王切開をしており、浮腫と発赤、疼痛みられていることから深部静脈血栓症の疑いがある。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。Dダイマーを測定する血液検査や血管造影CT検査で診断する。造影CT検査は、動脈瘤・解離・出血・血栓症などの血管性病変の描出に有用である。
24 日齢3の正期産児。出生体重3,100g。混合栄養で哺乳は良好だが、哺乳後の非胆汁性嘔吐を1日4、5回認めている。排尿、排便は良好である。本日の体重は2,850gで腹部膨満を認め、医師の診察の結果、胃軸捻転の疑いと診断されている。
児の日常のケアの際の助産師の対応で適切なのはどれか。
1.上体の挙上
2.糖水の投与
3.人工乳の増量
4.腹部マッサージ
5.おしゃぶりの使用
解答1
解説
・日齢3の正期産児(出生体重3,100g)
・混合栄養:哺乳良好
・哺乳後の非胆汁性嘔吐:1日4~5回
・排尿、排便:良好
・体重:2,850g(腹部膨満)
・診断:胃軸捻転の疑い。
→本症例は、胃軸捻転が疑われている。胃軸捻転とは、胃の異常な回転や捻転によって、げっぷ(排気)がうまくできない状態である。新生児や乳児は胃の固定が不十分であるため、生理的特徴として多く発症する。飲み込んだ空気をうまくげっぷ(排気)できず、腸の方に移動することで、腹部膨満や嘔吐、寝かすと不機嫌などがみられる。児は飲み込んでしまった多量の空気をうまく排気ができないため、排気を促す(上体挙上や側臥位)に必要がある。
1.〇 正しい。上体の挙上を児の日常のケアの際に行う。上体挙上の他にも腹臥位を取ると排気を促すことができる。ちなみに、胃軸捻転とは、胃の異常な回転や捻転によって、げっぷ(排気)がうまくできない状態である。新生児や乳児は胃の固定が不十分であるため、生理的特徴として多く発症する。飲み込んだ空気をうまくげっぷ(排気)できず、腸の方に移動することで、腹部膨満や嘔吐、寝かすと不機嫌などがみられる。児は飲み込んでしまった多量の空気をうまく排気ができないため、排気を促す(上体挙上や側臥位)に必要がある。
2.× 糖水の投与は必要ない。糖水の投与は、主に低血糖時や哺乳量不足を補う目的で行う。本症例は、混合栄養にて哺乳良好で、体重も2,850gと正常範囲内である。
3.× 人工乳の増量は必要ない。人工乳の増量は、主に哺乳量不足を補う目的で行う。本症例は、混合栄養にて哺乳良好で、体重も2,850gと正常範囲内である。また、哺乳量の工夫としては少量ずつ回数を多くするのがふさわしい。
4.× 腹部マッサージは優先度は低い。なぜなら、本症例は胃軸捻転が疑われ、排尿・便は良好であるため。腹部マッサージの効果は、主に排便を促すために行う。腸管を刺激したり血流を良くしたりすることで腸嬬動を亢進させ、便秘やガス貯留などによる腹部膨満を軽減するために行う。もちろん、本症例の腹部膨満に対して実施してもよいが、他の選択肢により優先度が高いものが他にある。
5.× おしゃぶりの使用は必要ない。なぜなら、おしゃぶりは寝かしつけや泣き止ませる目的で使用されるため。また、生後1週間以降の使用が望ましい。おしゃぶりの使用は、本症例の胃軸捻転に対して特別に行われることではない。
25 正期産児に発症した胎便吸引症候群の合併症で注意するのはどれか。
1.壊死性腸炎
2.動脈管開存症
3.気管支肺異形成
4.胎便関連性腸閉塞
5.新生児遷延性肺高血圧症
解答5
解説
胎便吸引症候群とは、出生前または周産期に肺に胎便(暗緑色の、無菌の便)を吸い込んだ新生児にチアノーゼや呼吸困難(呼吸窮迫)がみられることである。酸素不足などのストレスによって反射的にあえぎ、胎便を含む羊水を肺に吸い込んでしまうことなどで起こる。
1.× 壊死性腸炎とは、腸への血液の流れの障害に、細菌感染などの因子が加わることにより腸が壊死してしまう病気である。 ほとんどは生まれてから30日未満(特に1週間以内)の赤ちゃんにみられ、時に生後30日目以降にみられることもある。壊死性腸炎の原因は完全には分かっていないが、血液中の酸素レベルの低下や腸への血流量の低下に伴い、腸が成熟していないことが部分的に関係している。腸内部の表面が損傷を受ける病気で未熟児に多い。症状は腹部膨満、血便、緑色や黄色、さび色の嘔吐などが現れ、非常に具合が悪く眠りがちな状態に陥る。また体温が低下し、呼吸の一時的な停止を繰り返す。
2.× 動脈管開存症とは、胎児期に開存している大動脈と肺動脈間に存在する動脈管が出生後も自然閉鎖せず開存状態を維持した疾患である。つまり、出生後に動脈管が自然閉鎖しない病気である。大動脈から肺動脈への短絡が生じ、管が大きいと左心系の容量負荷になる。出生後は肺動脈圧が下がるため、胎児期とは逆に大動脈から肺動脈へ血液が流れるようになり、肺の血流が増加する。したがって、典型例では、ピークがⅡ音に一致した漸増・漸減型で、高調・低調両成分に富む荒々しい雑音(machinery murmur)が左第2肋間を中心に聴取される。治療が必要な症状として、動脈管が太く、たくさん血液が肺に流れて肺うっ血による心不全症状(哺乳不良、嘔吐、体重増加不良、頻脈、頻呼吸など)を引き起こした場合である。
3.× 気管支肺異形成症とは、低出生体重児や早産児に生じる呼吸窮迫症候群に続発する慢性的な肺疾患で、長期的に人工呼吸器や酸素投与によって引き起こされる。生後28日を超えても呼吸障害が続き、酸素の使用が必要な状態を指す。気管支肺異形成症を発症すると、長期間に渡って酸素や人工呼吸器に頼る必要があり風邪にかかるだけでも呼吸状態が悪くなりやすい傾向があるため注意が必要である。症状として、頻呼吸、鼻翼呼吸(鼻の孔を膨らませる呼吸)、陥没呼吸(肩で大きく呼吸する肩呼吸や肋骨の間がへこむ呼吸)、喘鳴が見られる。
4.× 胎便関連性腸閉塞とは、胎便が小腸や大腸につまり、腸が閉塞した状態になる病態である。1000g以下の超低出生体重児に多く発症し、子宮内胎児発育遅延の児にも起こりやすい。腸管の機能が未熟なために胎便をおくりだすことができず、腸管内に停滞する時間が長くなって胎便から水分が吸収され、さらに粘稠度が増して詰まってしまうことが原因で起こる。症状としては,胆汁性嘔吐,腹部膨隆,出生後数日間の胎便の排泄不全などがある。
5.〇 正しい。胎便吸引症候群は、胎便吸引症候群の合併症で注意する。胎便吸引症候群とは、出生前または周産期に肺に胎便(暗緑色の、無菌の便)を吸い込んだ新生児にチアノーゼや呼吸困難(呼吸窮迫)がみられることである。酸素不足などのストレスによって反射的にあえぎ、胎便を含む羊水を肺に吸い込んでしまうことなどで起こる。一方、新生児遷延性肺高血圧症とは、肺につながる動脈が出生後も収縮した状態が続くことが原因で肺に十分な量の血流が行きわたらず、結果的に血流中の酸素量が不足する病気である。原因として、出生後も肺血管抵抗が低下せずに肺高血圧が持続すると起こり、主な原因疾患として①周産期の仮死または低酸素症、②呼吸窮迫症候群、③動脈管または卵円孔の早期閉鎖、④肺低形成、⑤先天性横隔膜ヘルニア、⑥新生児敗血症または新生児肺炎があげられる。
新生児遷延性肺高血圧症は、肺細動脈収縮状態の遷延またはその状態への逆転であり、肺血流量の極端な減少と心房および/または動脈管レベルでの右左短絡を引き起こす。【症状および徴候】頻呼吸・陥没呼吸・酸素投与に反応しない重度のチアノーゼまたは酸素飽和度低下など。【診断】病歴、診察、胸部X線、および酸素への反応など。【治療法】酸素投与、高頻度換気、一酸化窒素、昇圧薬および/または強心薬など、他の治療が無効に終わった場合は体外式膜型人工肺を使用する。【病因】①周産期の仮死または低酸素症、②呼吸窮迫症候群、③動脈管または卵円孔の早期閉鎖、④肺低形成、⑤先天性横隔膜ヘルニア、⑥新生児敗血症または新生児肺炎があげられる。
(※参考:「新生児遷延性肺高血圧症」MSDマニュアルプロフェッショナル版より)