第102回(H31) 助産師国家試験 解説【午前41~45】

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次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
 Aさん(21歳、専門学校生)。月経不順であった。性器出血と腹部膨満感を主訴に産婦人科を初めて受診した。「突然に出血して、止まったと思ったらまた出血した。これまでこんな出血はなかった」と言う。出血は鮮血で、強い腹痛の自覚はない。身長155cm、体重57.5kg (非妊時体重50kg)。体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±) 、尿糖(-)。血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/μL、血小板24万/μL。超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。子宮口は閉鎖、展退度30%以下である。

41 経腟超音波検査の写真を下図に示す。
 この時点で、考えられるのはどれか。

1.切迫早産
2.前置胎盤
3.羊水過多症
4.妊娠高血圧症候群
5.臨床的絨毛膜羊膜炎

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(21歳、専門学校生、月経不順)
・主訴:性器出血、腹部膨満感。
・出血:鮮血(繰り返しの出血)、強い腹痛の自覚はない。
・身長155cm、体重57.5kg (非妊時体重50kg)。
体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±) 、尿糖(-)。
・血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/μL、血小板24万/μL。
・超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。
・子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。
・超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。
子宮口は閉鎖展退度30%以下である。

1.× 切迫早産と判断できる所見はない。切迫早産とは、早産となる危険性が高いと考えられる状態、つまり早産の一歩手前の状態のことをいう。子宮収縮(お腹のはりや痛み)が規則的かつ頻回におこり、子宮の出口(子宮口)が開き、赤ちゃんが出てきそうな状態のことである。破水が先に起きたり、同時に起きたりすることもある。切迫早産の主な症状は、下腹部の張り、生理痛のような下腹部や腰の痛みである。このような症状がある場合には、まず横になって安静に促す。本症例の場合、「子宮口は閉鎖、展退度30%以下」していることから切迫早産は考えにくい。
2.〇 正しい。前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置(腟に近い側)に付着してしまい、そのために胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部もしくは全部を覆っている状態のことをいう。頻度として、全分娩の約1%弱を占めている。一般的に前置胎盤は無症状であるが、典型的な症状として①腹痛を伴わない突然の性器出血(警告出血)や大量性器出血があげられる。これらの症状は、お腹が大きくなり張りやすくなる妊娠28週以降に増加するといわれている。また、経腟超音波検査の写真からも内子宮口を胎盤が覆っていることから、前置胎盤が考えられる。
3.× 羊水過多症と判断できる所見はない。羊水過多症とは、生理的な羊水量の範囲を大きく超え、これにより子宮が大きくなって圧迫感や子宮収縮、子宮頸管長の短縮などの症状が出現している状態をいう。羊水過多は胎児奇形、多胎妊娠、母体糖尿病、および様々な胎児疾患により起こりうる。 羊水過多は早期子宮収縮、前期破水、母体の呼吸障害、胎位異常または胎児死亡、ならびに陣痛および分娩時の様々な問題のリスクの上昇と関連する。羊水量に問題はないかを判断する目安として、子宮底長を用いられることがあるが、産婦人科ガイドラインでは子宮底長、腹囲の測定の有用性は認められないと報告されている。羊水過多の基準として、AFI24以上のことをいう。ちなみに、羊水過少はAFI5以下をいう。AFI(amniotic fluid index)とは、子宮の各4分の1について羊水深度を垂直に計測した値の合計である。
4.× 妊娠高血圧症候群と判断できる所見はない。妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠と呼ぶ。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。妊娠高血圧症候群は自覚症状のほとんどない病気で、妊婦検診で診断を受けるケースが多い。 稀に症状として、重度のむくみ、頭痛、目の前がチカチカする、お腹の上部が痛み吐き気や嘔吐がある、1週間で1kg以上体重が増えるなど現れる。診断基準としては、6時間以上の間隔をおいて測定し、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上、またはその両方の場合である。本症例の血圧は、血圧128/82mmHgである。
5.× 臨床的絨毛膜羊膜炎と判断できる所見はない。絨毛膜羊膜炎とは、腟からの上行性感染により細菌が絨毛膜羊膜に至り、そこに止まっている状態を指す。この細菌が、破水などにより子宮腔内へ波及した状態が子宮内感染症である。したがって、子宮内感染症では、胎児感染も引き起こされている可能性がある。症状としては、発熱、子宮圧痛、悪臭のある羊水、膿性の頸管分泌物、母体または胎児の頻脈などがある。診断には母体の発熱、頻脈や白血球 15000/μL以上などがあげられる。本症例の体温は、36.5℃である。

 

 

 

 

 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
 Aさん(21歳、専門学校生)。月経不順であった。性器出血と腹部膨満感を主訴に産婦人科を初めて受診した。「突然に出血して、止まったと思ったらまた出血した。これまでこんな出血はなかった」と言う。出血は鮮血で、強い腹痛の自覚はない。身長155cm、体重57.5kg (非妊時体重50kg)。体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±) 、尿糖(-)。血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/μL、血小板24万/μL。超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。子宮口は閉鎖、展退度30%以下である。

42 Aさんは入院となった。入院後2日、再度性器出血が生じ、30分間で200mLに達して持続している。胎児心拍数陣痛図は、基線細変動が減少していた。その後の20分間の観察で、一過性頻脈は認めない。超音波検査で、羊水ポケットは35mm、胎動は乏しい。
 この時点のアセスメントで正しいのはどれか。

1.内診による子宮口開大の確認が必要である。
2.臍帯動脈からの出血がある。
3.前期破水の可能性が高い。
4.胎児機能不全が疑われる。

解答

解説

本症例のポイント

・入院後2日:再度性器出血が生じ、30分間で200mLに達して持続。
・胎児心拍数陣痛図:基線細変動減少。
・その後の20分間の観察:一過性頻脈は認めない。
・超音波検査:羊水ポケットは35mm、胎動は乏しい。
→Aさんは「前置胎盤」が疑われる。前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置(腟に近い側)に付着してしまい、そのために胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部もしくは全部を覆っている状態のことをいう。頻度として、全分娩の約1%弱を占めている。一般的に前置胎盤は無症状であるが、典型的な症状として①腹痛を伴わない突然の性器出血(警告出血)や大量性器出血があげられる。これらの症状は、お腹が大きくなり張りやすくなる妊娠28週以降に増加するといわれている。

1.× 内診による子宮口開大の確認が「必要」ではなく禁忌である。なぜなら、前置胎盤がある場合、指による内診によって出血が増加し、ときに突然の大量出血を引き起こすため。したがって,性器出血が妊娠20週以降に生じた場合、超音波検査によって前置胎盤の可能性をまず除外しない限り内診は禁忌である。また、お母さんの指導として、おなかの張りや出血が起こると早産になる可能性も高いため、前置胎盤の疑いがある場合はできるだけ安静に、無理をしないで過ごしてもらい、マタニティスポーツや、体の負担になる仕事、性交渉は控える。
2.× 臍帯動脈からの出血があると断定することはできない。なぜなら、設問文からの情報だけでは不足しているため。臍帯動脈とは、胎児期に、胎児から胎盤に血液を送る動脈である。胎児の左右の内腸骨動脈から1本ずつ分岐し、胎児の体内で生じた二酸化炭素や老廃物を含む静脈血が流れている。
3.× 前期破水の可能性が「高い」とはいいにくい。前期破水とは、陣痛開始前のいずれかの時点で胎児の周りの羊水が流れ出ることである。多くの場合、破水後まもなく陣痛が始まる。破水して6~12時間以内に陣痛が始まらない場合には、妊婦と胎児の感染リスクが上昇する。
4.〇 正しい。胎児機能不全が疑われる。胎児機能不全(胎児仮死、胎児ジストレスとも)とは、お産の途中でさまざまな原因によって胎児が低酸素状態になることをいう。 原因としては母体の妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、臍帯の圧迫などである。本症例は、基線再変動減少、一過性頻脈なし/20分、性器出血の持続より胎盤の一部剥離による胎児機能不全が疑われる。

 

 

 

 

 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
 Aさん(21歳、専門学校生)。月経不順であった。性器出血と腹部膨満感を主訴に産婦人科を初めて受診した。「突然に出血して、止まったと思ったらまた出血した。これまでこんな出血はなかった」と言う。出血は鮮血で、強い腹痛の自覚はない。身長155cm、体重57.5kg (非妊時体重50kg)。体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±) 、尿糖(-)。血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/μL、血小板24万/μL。超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。子宮口は閉鎖、展退度30%以下である。

43 Aさんは緊急帝王切開術となった。術中出血量2,300mL(羊水込み)、出生体重1,750gの女児、Apgar<アプガー>スコア1分後1点、5分後5点。児は呼吸窮迫症候群のためNICU入院となった。Aさんの術後経過は良好であった。Aさんの両親にはAさんから連絡を入れるということであった。
 産褥2日。「彼とは連絡が取れない。怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している。NICUに入院するような子どもを育てる自信がない」と児の面会に行こうとしない。
 Aさんに対する助産師の対応で最も優先されるのはどれか。

1.地域の育児サポート情報を提供する。
2.養子縁組の手続きを勧める。
3.両親へ連絡をとるよう促す。
4.避妊指導を行う。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(21歳専門学校生):緊急帝王切開術。
・術中出血量2,300mL(羊水込み)、出生体重1,750gの女児
・Apgarスコア:1分後1点、5分後5点。
・児:呼吸窮迫症候群のためNICU入院。
・Aさんの術後経過:良好。
・Aさんの両親には「Aさんから連絡を入れる」ということであった。
・産褥2日「彼とは連絡が取れない。怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している。NICUに入院するような子どもを育てる自信がない」と児の面会に行こうとしない。
→Aさんは、21歳専門学校生で、「怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している」と言っていることからも計画的な出産ではなく、また経済的自立もしていないことがわかる。児童虐待は、①貧困、②孤立などが原因で起こりやすい。まずは、Aさんの両親には「Aさんから連絡を入れる」ということであることからも、両親と連絡を取り、母子の今後について家族で相談をすることがまず必要である。

1.× 地域の育児サポート情報を提供する優先度は低い。なぜなら、Aさんの育児に対する不安が「地域の育児サポート」で解決するとは限らないため。設問から「NICUに入院するような子どもを育てる自信がない」というのは、経済面からなのか児の健康面からなのか一方的に決めつけるのではなく傾聴しながら評価が必要である。ちなみに、地域の育児サポートとは、子育て世代(乳幼児・小学生等の保護者)を会員として、会員同士で相互に子どもを預けたり、援助し合ったりする活動を支援・調整するサービスのことである。
2.× 養子縁組の手続きを勧める優先度は低い。なぜなら、育児を放棄しているわけではないため。養子縁組は、具体的な血縁関係とは無関係に人為的に親子関係を発生させることをいう。
3.〇 正しい。両親へ連絡をとるよう促す。Aさんは、21歳専門学校生で、「怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している」と言っていることからも計画的な出産ではなく、また経済的自立もしていないことがわかる。児童虐待は、①貧困、②孤立などが原因で起こりやすい。まずは、Aさんの両親には「Aさんから連絡を入れる」ということであることからも、両親と連絡を取り、母子の今後について家族で相談をすることがまず必要である。
4.× 避妊指導を行う優先度は低い。なぜなら、避妊指導がAさんの現在の不安を解決するとは限らないため。

(※画像引用:ナース専科様HPより)

 

 

 

 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。これまでの妊娠経過に異常はなかった。妊娠35週5日。「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」との訴えで、夫とともに外来受診した。パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。子宮の圧痛はない。胎児心拍数は180bpmであった。胎児は頭位で胎児推定体重2,400g、AFI 1.5。腟鏡診では少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでなかった。子宮口は閉鎖であった。

44 破水の診断のため追加して行う検査はどれか。

1.血中CRPの測定
2.マイクロバブルテスト
3.腟内分泌物顕微鏡検査
4.癌胎児性フィブロネクチンの測定

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(32歳、初産婦、妊娠35週5日)。
・これまでの妊娠経過に異常はなかった。
・外来受診:「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」と。
・パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。
・体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。
・子宮の圧痛:なし。胎児心拍数:180bpm。
・胎児:頭位、胎児推定体重2,400g、AFI 1.5。
・腟鏡診:少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでない。
・子宮口:閉鎖。

1.× 血中CRPの測定は、破水後の感染(炎症)に対し行う検査である。血中CRPとは、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に蛋白質の一種であるC-リアクディブ・プロテイン(CRP)をさす。 正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われる。
2.× マイクロバブルテストにより、肺胞表面の肺サーファクタントが少ない場合は新生児特発性呼吸切迫症候群(IRDS)のリスクが高いと判断される。マイクロバブルテストは、肺サーファクタントが直径15μm以下のマイクロバブルを安定させることを利用した検査である。母体羊水、新生児胃液などをピペットで吸排して泡立て、4分間静置後のバブルを観察する。肺サーファクタントとは、肺胞の空気が入る側へと分泌されている界面活性剤である。なお、肺サーファクタントは単一の成分ではなく、リン脂質を主成分とした混合物である。出生して肺呼吸が始まったときに肺サーファクタントが欠乏していると、肺胞内壁の水分が作り出す表面張力による肺を押しつぶすような力に対抗できない。肺がつぶれて伸展できず呼吸が障害される(新生児呼吸窮迫症候群の原因)。
3.× 腟内分泌物顕微鏡検査により、主に腟トリコモナス症に対し行う検査である。腟内分泌物顕微鏡検査とは、腟からの分泌物を採取し、顕微鏡で病原体となる原虫、トリコモナスがいるかどうかを判定する検査である。腟トリコモナス症とは、トリコモナスという原虫が病原体となって発症する性感染症である。トリコモナスが腟や膀胱などの粘膜にすみついて炎症を起こす。主な症状として、①黄色で泡立ったようなおりもの、②おりものに悪臭、③性器にかゆみや痛み、④排尿や性行為のとき、不快感や痛みなどである。
4.〇 正しい。癌胎児性フィブロネクチンの測定は、破水の診断のため追加して行う検査である。(ヒト)癌胎児性フィブロネクチンとは、絨毛膜で産生される胎児蛋白由来の糖蛋白で、胎盤・卵膜と脱落膜との接着に働き、母体血中や羊水中にも高濃度で認められる。妊娠22週以降の正常妊婦の腟分泌物中には検出されないが、炎症や物理的要因による卵膜の損傷や脆弱化、子宮収縮があるときに腟分泌液中で検出される。つまり、腟分泌には含まれないため破水の診断には信頼性が高い。

新生児特発性呼吸切迫症候群とは?

新生児特発性呼吸切迫症候群とは、出生後にうまく自分自身の肺を膨らませることができていない状況である。肺がうまく膨らんでいないということは、二酸化炭素や酸素をうまく取り込むだけのスペースが存在していないことを意味する。 そのため、特発性呼吸窮迫症候群では出生後間もなくから呼吸障害を現しやすくなる。

 

 

 

 

 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。これまでの妊娠経過に異常はなかった。妊娠35週5日。「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」との訴えで、夫とともに外来受診した。パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。子宮の圧痛はない。胎児心拍数は180bpmであった。胎児は頭位で胎児推定体重2,400g、AFI 1.5。腟鏡診では少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでなかった。子宮口は閉鎖であった。

45 Aさんは前期破水と診断され、抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。直ちに分娩監視装置が装着された。分娩監視装置装着後20分間の胎児心拍数陣痛図を下図に示す。
 胎児心拍数陣痛図のアセスメントで正しいのはどれか。

1.基線細変動は増加している。
2.遷延一過性徐脈がみられる。
3.胎児心拍数の基線は頻脈である。
4.胎児のwell – beingに問題はない。
5.サイナソイダルパターンがみられる。

解答

解説

本症例のポイント

・基線:頻脈(160bpm以上)
・一過性頻脈、基線細変動が減少している。
・サイナソイダルパターンは見られない。
→設問は、上記のことから「well-being」とはいえない。well-beingとは、妊娠中、20分間のNSTをしている間に、心拍数15bpm以上15秒以上の一過性頻脈が2回以上あれば、胎児の状態は良好と判断される。また、サイナソイダルパターンとは、心拍数曲線が規則的でなめらかなサイン曲線を示すものをいう。持続時間は問わず、1分間に2~6サイクルで振幅は平均5~15bpmで あり、大きくても35bpm以下の波形を称する。

1.× 基線細変動は、「増加」ではなく減少している。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かい変動で、定義上、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅、周波数とも規則性がないものを指す。胎児心拍数基線細変動は4段階に分けることができ、①細変動消失(肉眼的に認められない)、②細変動減少(5bpm以下)、③細変動中等度(6~25bpm)、④細変動増加(26bpm以上)である。
2.× 遷延一過性徐脈がみられない。遷延一過性徐脈とは、心拍数減少が15bpm以上で、開始から回復まで2分以上10分未満の波形をいう。その心拍数減少は直前の心拍数より算出される。10分以上の心拍数減少の持続は基線の変化とみなす。最下点が80bpm未満のものは高度遷延一過性徐脈と呼ばれる。
3.〇 正しい。胎児心拍数の基線は頻脈である。胎児心拍数基線は、10分間の区間の平均心拍数で5の倍数で表現する。基線は一過性変動部分や基線細変動増加の部分は除外し、2分間以上持続している部分で判断する。胎児心拍数基線は3段階に分けることができ、①頻脈(160bpm以上)、②正常脈(110bpm~160bpm)、③徐脈(110bpm未満)である。
4.× 胎児のwell – beingに問題はないとはいえない。well-beingとは、妊娠中、20分間のNSTをしている間に、心拍数15bpm以上15秒以上の一過性頻脈が2回以上あれば、胎児の状態は良好と判断される。
5.× サイナソイダルパターンがみられない。サイナソイダルパターンとは、心拍数曲線が規則的でなめらかなサイン曲線を示すものをいう。持続時間は問わず、1分間に2~6サイクルで振幅は平均5~15bpmで あり、大きくても35bpm以下の波形を称する。

胎児心拍数陣痛図の基準値

胎児心拍数基線は、10分間の区間の平均心拍数で5の倍数で表現する。基線は一過性変動部分や基線細変動増加の部分は除外し、2分間以上持続している部分で判断する。胎児心拍数基線細変動は、胎児心拍数基線が判読可能な部分で判読する。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かい変動で、定義上、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅、周波数とも規則性がないものを指す。

①胎児心拍数基線
・頻脈:160bpm以上
・正常脈:110bpm~160bpm
・徐脈:110bpm未満

②胎児心拍数基線細変動
・細変動消失:肉眼的に認められない
・細変動減少:5bpm以下
・細変動中等度:6~25bpm
・細変動増加:26bpm以上

 

 

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