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21 Aさん(29歳、初妊婦)。現在、妊娠38週2日。「赤ちゃんの動きが少ないような気がする」と言って外来を受診した。検査の結果を表に示す。
AさんのBiophysical Profile Score<BPS>の点数はどれか。
1. 0 点
2. 2 点
3. 4 点
4. 8 点
5.10点
解答4
解説
【表:Biophysical profile(BPP)の判定基準】
(Manning FA,et al. Am J Obstet Gynecol 1980; 136:787-795より)
したがって、本症例のBiophysical Profile Score<BPS>の点数は選択肢4. 8点である。
Biophysical Profile Score<BPS>とは、胎児仮死の診断に用いられることが多く、NST(Non Stress Test:ノンストレステスト)と超音波断層法により得られる4項目の情報とを合わせた5項目の観察に基づき胎児の状態を判定する。5項目のそれぞれについて正常所見なら2点、異常所見なら0点とし合計点で判定する。合計点が8~10点の場合を正常、4点以下の場合は胎児のアシドーシスが疑われる。
※NST(Non Stress Test:ノンストレステスト)とは、分娩監視装置を用いて子宮収縮や胎児心拍、胎動の状態で調べ、胎児の健康状態を判定するものである。陣痛(子宮収縮)などのストレスがない状態で妊婦に行う検査である。
※ポケット …子宮内膜壁と胎児部分の間に描いた接円のこと。その直径で羊水量を評価する。
22 母体の骨盤と胎児の位置関係を模式図に示す。
整形外科的合併症のない正常産婦で、胎児の軸と母体の脊椎のなす角度(θ)が大きく、母体の仙骨の可動域の制限が少なく、骨盤出口部が広がりやすい分娩体位は( )である。
( )に当てはまるのはどれか。
1.仰臥位
2.膝肘位
3.側臥位
4.蹲踞位
5.半坐位
解答4
解説
整形外科的合併症のない正常産婦で、胎児の軸と母体の脊椎のなす角度(θ)が大きく、母体の仙骨の可動域の制限が少なく、骨盤出口部が広がりやすい分娩体位は(選択肢4.蹲踞位:しゃがんだ姿勢)である。蹲踞位とは、いわゆる和式トイレ時の姿勢である。古代の分娩の多くは蹲踞位で行われていた。蹲踞位には数多くの利点があり、産婦にとっても分娩し易い体位である。その利点部としては、①骨盤入口部では脊椎と仙骨が平坦化して児が下降し易くなること、②骨盤出口部が明らかに開大すること、③会陰部が充分伸展してbearing down effort(※共圧陣痛:胎児が下降してアウエルバッハ神経叢が刺激され不随意に生じるいきみのこと)がかかり易くなること、④児の重力の方向が下方の骨盤出口部に向けられること、⑤アップ・ライトポジションのため下行大動脈への子宮による圧迫が軽減し子宮動脈血流量の減少が起こりにくいことなどが挙げられ、分娩が進行し易く安産となる。しかし、この蹲踞位による分娩は介助が困難であり、助産婦が立ち合う近代の分娩ではほとんど行われていない。
1.× 仰臥位の【利点】①医療処置がしやすい、②足への圧迫が少ない(血栓症の危険性が低下)、③会陰保護が容易である。【欠点】①娩出力の低下、②大動脈への圧迫により子宮動脈血流量の減少があげられる。ちなみに、骨盤腔の状態として、骨盤誘導線の力の方向が上向きになるため、胎児重力が無効になる。
2.× 膝肘位(膝胸位)の【利点】①下大静脈の圧迫の負担が少ない、②臍帯下垂や脱出に対する圧迫が軽減できる、③会陰裂傷が少ない、④過強陣痛の抑制効果がある。【欠点】①疲労しやすい、②出生直後に児を抱きにくい、③手足のけいれんが多い。ちなみに、骨盤腔の状態として、骨盤誘導線の力方向が胎児重力と反対の方向になる。
3.× 側臥位の【利点】①会陰裂傷の防止、②産婦が休息しやすい、③後方後頭位の回転に有効、④子宮胎盤血流量の減少が少ない。【欠点】①娩出力の低下、②産婦の表情がわかりづらい、③分娩時に足を保持する者が必要、④胎児心音が聴取しづらい。ちなみに、骨盤腔の状態として、骨盤誘導線の力方向が上向きになるため、胎児重力が無効になる(側臥位と同じ状態)。
4.〇 正しい。蹲踞位の【利点】①娩出力が有効、②腹部内圧の増加により、胎児と骨盤誘導線が一致し、娩出しやすい。③胎児の下降と回旋を促す。【欠点】①足の疲労、②墜落分娩、③母体血圧が上昇しやすい、④会陰裂傷の危険性の増加、⑤脱肛・子宮脱を生じやすい。ちなみに、骨盤腔の状態として、骨盤出口部の前後径が増加する。
5.× 半坐位の【利点】①分娩第2期が短縮できる、②新生児との対面がしやすい、③子宮胎盤循環が良好に保たれる、④娩出力が有効、⑤会陰裂傷予防があげられる。【欠点】①背中の支えが必要、②母体血圧が上昇しやすい、③墜落分娩、④外陰部の浮腫が生じやすい、⑤脱肛を生じやすい。ちなみに、骨盤腔の状態として、①骨盤誘導線が水平に向かう、②骨盤径が増加する、③骨盤低筋群の弛緩があげられる。
(※参考:「フリースタイル出産」看護roo!様HPより)
23 新生児マススクリーニング検査で、後日、2回目の採血が必要なのはどれか。
1.過期産児
2.人工栄養児
3.哺乳不良の児
4.光線療法中の児
5.新生児仮死で出生した児
解答3
解説
新生児マススクリーニングとは、生後4~6日目のすべての赤ちゃんを対象にした大切な検査で、赤ちゃんの代謝とホルモンの病気を見つけることを目的としている。赤ちゃんの中には、体に取り入れた栄養を、成長や活動のためのさまざまな物質に変化させる「代謝」に必要な酵素や、体の発育やはたらきを調節する「ホルモン」が生まれつき欠乏していたり、つくる力が弱い子がいる。このような赤ちゃんをそのままにしておくと知能障害や発育障害、ときにはショックや肝機能異常で生命にかかわることもあるが、これらの病気は早期の発見と治療によって障がいの発生を未然に防ぐことができる。
【検査の詳細】
出生体重2,000g未満の低出生体重児は、原則的には目齢4~6で第1回目の採血をし、さらに、
①生後1か月
②体重が2,500gに達した時期
③医療施設を退院する時期
のいずれか早い時期に、第1回目の検査の結果にかかわらず、第2回目の探血を実施することが望ましい。
出生体重2,000g以上の低出生体重児については、通常の方法で実施する。
出生体重2,000g未満の児で2回の採血を推奨する理由は次の通りである。
①低出生体重児であっても、生後早期に先天性代謝異常等の新生児スクリーニング検査を実施し疾患の早期発見に努めることは重要である。
②しかし、低出生体重児では生後早期からの経腸栄義が十分に行われず、一部の疾患では生後早期の検査結果が必ずしも病態を表さない可能性がある。
③さらに、一部の疾患では、生理調節機能の未熟性から、疾患を示峻する異常値を示さない可能性がある。
(※参考「新生児マス・スクリーニングにおける低出生体重児の採血時期に関する指針」日本小児内分泌学会より)
(※図引用:「タンデムマス法の導入にともなう新生児マススクリーニングの新しい体制」小児保健研究より)
1.× 過期産児とは、在胎42週以上経ってから生まれた新生児である。妊娠満期の終わり近くにさしかかると、胎盤の機能が低下し胎児への栄養や酸素の供給が少なくなる。
2.× 人工栄養児とは、生後間もなくから母乳以外の栄養で育つ乳児である。
3.〇 正しい。哺乳不良の児は、新生児マススクリーニング検査で、後日、2回目の採血が必要である。なぜなら、有機酸代謝異常症(疾患の例:メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、イソ吉草酸血症、グルタル酸血症1型など)のよくみられる臨床所見であるため。他にも、多呼吸、ケトーシス発作、急性脳症、突然死、神経退行がみられる。
4.× 光線療法とは、主に新生児黄疸の際に用いられる。光線療法とは、新生児に特殊な光線を当てて治療する方法である。光源は450~470nm付近の波長の青色LEDで、その光の作用で毒性の高い間接型ビリルビンを直接型に変え、体外への排出を促す。早ければ治療開始後2~3日で血中ビリルビン値は正常値に戻り、治療が完了する。
5.× 新生児仮死とは、出生時における新生児の呼吸循環不全を主徴とする症候群である。胎児期および分娩中に生じた低酸素血症に起因することが多く、全分娩の2~9%に発生する。誘因となる基礎疾患は多岐(高齢初産、薬物使用、ショックなど)にわたる。新生児仮死は胎児ジストレスに引き続き発症することが多い。
24 新生児の神経系の診察で、反射を誘発している場面を図に示す。
この反射はどれか。
1.歩行反射
2.交差伸展反射
3.足底把握反射
4.引き起こし反射
5.Landau<ランドー>反射
解答3
解説
1.× 歩行反射(自律歩行、自動歩行、脚踏み反射とも)の【刺激と反応】新生児の腋窩を押えて起立させ、足を床につけ前傾させると数歩、歩行する。【出現と消失時期】胎児期後期から、生後1、2 ヵ月まで。
2.× 交差伸展反射(交叉性伸展反射)の【刺激と反応】検者が一側下肢を伸展させ、同側の足底を刺激すると反対側の下肢が屈曲し、その後に刺激を与えている検者の手を払いのけるように伸展・交差する。【出現と消失時期】胎児期後期から、生後1、2 ヵ月まで。
3.〇 正しい。足底把握反射(足趾把握反射)の【刺激と反応】新生児の母趾球を検者の母指で圧迫すると、全趾が屈曲する。【出現と消失時期】3 ヵ月ごろから弱くなり、9 ヵ月ごろには消失。(12 ヵ月とするものもある)
4.× 引き起こし反射の【刺激と反応】背臥位で新生児の両手を検者の両手でもち、ゆっくりと座らせるように引き起こす。両上肢の屈曲緊張が増し、首を屈曲させて起き上がる反応を示す。【出現と消失時期】1~2 ヵ月: 頭部背屈・上肢伸展。3~4 ヵ月:頭と頸は体幹と平行して遅れないようについてくる。四肢屈曲。5~6 ヵ月:頸は体幹と平行し、肘曲して引き起こしに協力する。7~8 ヵ月:肘屈曲、下肢伸展、頸前屈。
5.× Landau<ランドー>反射の【刺激と反応】乳児の腹部を検者の手掌で支えて水平にすると、頭を上げ体幹をまっすぐにし,さらに下肢を伸展する。3つの頭部の立ち直り反応すべての効果が合わさった反応。第1相:頸部、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第2相:頸部水平、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第3相:頸部伸展挙上、体幹伸展、四肢伸展傾向。【出現と消失時期】第1相:0~6週、第2相:7週~3、4 ヵ月、第3相:6 ヵ月から1~2歳で統合される。
25 新生児が百日咳に罹患した場合、重症度を評価するために観察すべき臨床症状はどれか。
1.嘔吐
2.咳嗽
3.下痢
4.心雑音
5.無呼吸
解答5
解説
百日咳とは、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症である。百日咳の原因菌は、百日咳菌である。特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症である。母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6 カ月以下では死に至る危険性も高い。症状として①カタル期(1~2週間)、 ②痙咳期(4~6週間)、 ③回復期(2~3週間)に分類され、痙咳期には、新生児・乳幼児期では無呼吸発作を伴う。百日せきワクチンを含むDPT三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)あるいはDPT-IPV四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)接種はわが国を含めて世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減している。しかし、ワクチン接種を行っていない人や接種後年数が経過し、免疫が減衰した人での発病はわが国でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生している。
1.× 嘔吐の原因として様々である。体内に入り込んだ異物や、毒性のあるものを体外に排出するための防御反応として起こる場合もあるが、急性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸閉塞症(イレウス)のほか、片頭痛やメニエール病、脳腫瘍などの病気が原因で起こる場合もある。
2.× 咳嗽の原因として様々である。アトピー咳そう、咳喘息(せきぜんそく)、ACE阻害剤による咳そう、胃食道逆流症、喉頭アレルギー、間質性肺炎、心因性、気管支結核などがあげられる。
3.× 下痢の原因として様々である。食中毒など感染を起こしたとき(分泌性下痢)、腸の水分吸収が不十分なとき(浸透圧性下痢)、暴飲暴食やストレスなどで腸が動き過ぎるとき(運動亢進性下痢)などがあげられる。
4.× 心雑音とは、①心臓内で生じるものと②心臓外で生じるものがあげられる。心臓内で生じるものは主に血液や心臓の弁が音源になっている。また、心臓外で生じるものは心臓を包む心膜という薄い膜が原因でおこる。血液の流れが速くなったとき、心臓の弁の開閉が悪いとき、心臓の壁や血管に穴があいている時などに生じる。
5.〇 正しい。無呼吸は新生児が百日咳に罹患した場合、重症度を評価するために観察すべき臨床症状である。母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6 カ月以下では死に至る危険性も高い。症状として①カタル期(1~2週間)、 ②痙咳期(4~6週間)、 ③回復期(2~3週間)に分類され、痙咳期には、新生児・乳幼児期では無呼吸発作を伴う。