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次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
Aさん(30歳、1回経産婦)。妊娠40週5日。これまでの妊娠経過に異常はなかったが、妊娠37週の妊婦健康診査でB群溶血性レンサ球菌<GBS>陽性であった。午後10時にAさんは電話で「午後4時くらいから不規則に子宮収縮がありましたが、午後7時からは15分間隔になり、今も変わりません。生理痛のような痛みがあります。昨日の妊婦健康診査で、子宮の出口は2cm開いていると言われました。昨日から褐色のおりものがありますが、破水はしていません。いきみたい感じはありません」と落ち着いて話した。
41 Aさんは、分娩開始後9時間で正常分娩した。分娩後、左正中側切開への縫合術が行われた。分娩時出血量は440mLで、子宮収縮は良好であった。分娩5時間後、A さんは尿意を感じ、トイレまで歩行したが尿は出なかった。体温36.8℃、脈拍78/分、血圧138/74mmHg。子宮底の高さは臍高で硬く触れ、流血はない。会陰切開縫合部の腫脹と発赤はない。触診で膀胱充満がみられた。
Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
1.脱水を起こしている。
2.尿路系の炎症を起こしている。
3.子宮復古不全を起こしている。
4.膀胱平滑筋の緊張が亢進している。
5.尿道括約筋が一過性の攣縮をきたしている。
解答5
解説
・分娩開始後9時間:正常分娩。
・分娩後:左正中側切開への縫合術。
・分娩時出血量440mL、子宮収縮良好。
・分娩5時間後:尿意を感じ、トイレまで歩行したが尿なし。
・体温36.8℃、脈拍78/分、血圧138/74mmHg。
・子宮底の高さ:臍高で硬く触れ、流血はない。
・会陰切開縫合部:腫脹と発赤なし。
・触診:膀胱充満あり。
→本症例は、分娩後5時間経過し「尿意を感じ、トイレまで歩行したが排尿はなかった」。分娩後5時間経過していても、交感神経が優位に働いていることが多く、また、分娩時の膀胱過伸展などで一過性の尿閉をきたすことがある。分娩で消耗した体力・発汗による水分を回復するためエネルギー・水分補給を勧め、尿意がなくても3~4時間ごとに排尿を試みて、それでも自然排尿がない場合に導尿を行う。
1.× 脱水を起こしていると断定できる所見は不十分である。脱水症とは、体内の水分が足りない状態のことをいう。自覚症状は、口の渇きや体のだるさ、立ちくらみなどがあげられる。他にも、皮膚や口唇、舌の乾燥、皮膚の弾力性低下、微熱、食欲低下、脱力、意識障害、血圧低下、頻脈なども出現しやすい。
2.× 尿路系の炎症を起こしていると断定できる所見は不十分である。尿路系の炎症として、主に膀胱炎・尿道炎(尿路感染症)があげられる。尿路感染症の症状は、急性単純性膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、急性単純性腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。複雑性尿路感染症では膀胱炎、腎盂腎炎それぞれにおいて、単純性と同様の症状が見られるが、無症状に近いものから、強い症状を呈するものまで幅が広い。上部尿路閉塞に伴う膿腎症では高熱が続くこともある。
3.× 子宮復古不全を起こしているとはいえない。子宮復古不全とは、妊娠によって大きくなった子宮が出産を終えて元に戻る過程である子宮復古に異常が起き、通常の子宮収縮が認められない病態である。 原因は、①子宮内に胎盤の一部が残っている場合(子宮内残留)や、②母体疲労によるもの、③胎盤や卵膜の子宮内感染など原因は多岐に渡る。本症例の子宮底の高さは臍高で硬く触れ、流血はないことから、むしろ子宮復古は良好であると考えられる。
4.× 膀胱平滑筋の緊張が、「亢進」ではなく低下している可能性が高い。膀胱平滑筋は、排尿時に収縮する。排尿時には中枢からの指令で、膀胱に分布する副交感神経が興奮して膀胱平滑筋が収縮し、膀胱内の尿を排泄する。
5.〇 正しい。尿道括約筋が一過性の攣縮をきたしている。攣縮(れんしゅく)とは、痙攣性の収縮を指しうまく機能していないことを指す。難産や分娩所要時間が長い事例において、分娩時の胎児の下降により膀胱などが圧迫され、知覚神経麻痺により一過性の尿閉や尿意減弱などの排尿障害が起こる。
・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)
次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
Aちゃん(生後4か月0日、男児)。在胎37週、身長48cm、体重2,500gで出生した。Aちゃんは4か月児健康診査で身長60cm、体重6,000gであった。腹這いにすると腕で身体を支え、頭を持ち上げた。「がらがら」を両手で持ち、あやすと声を出して笑い、母親をまねてアーアーと声を出した。首を右に向けると左右の手足を屈曲させた。
42 Aちゃんの成長・発達評価で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.Kaup<カウプ>指数による評価は太り気味である。
2.微細運動の発達遅滞が認められる。
3.喃語の表出に遅滞が認められる。
4.緊張性頸反射は消失している。
5.定頸している。
解答4・5
解説
・Aちゃん(生後4か月0日、男児)。
・出生:在胎37週、身長48cm、体重2,500g。
・4か月:身長60cm、体重6,000g。
・腹這いにすると腕で身体を支え、頭を持ち上げた(定頸)。
・「がらがら」を両手で持ち、あやすと声を出して笑い、母親をまねてアーアーと声を出した。
・首を右に向けると左右の手足を屈曲させた(緊張性頸反射の消失)。
1.× Kaup<カウプ>指数による評価は「太り気味」ではなく「標準値」である。カウプ指数とは、生後3か月から5歳までの乳幼児に対して、肥満や、やせなど発育の程度を表す指数である。 成人で使用されるBMIと同じ計算法であるが判定基準が異なる。 カウプ指数の正常値はおおよそ15~19とされており、それ以上を肥満、以下をやせと判定する。「体重(g)÷【身長(cm)の二乗】× 10」で求められる。本症例のカウプ指数は6000÷3600×10=16.7となる。「15≦標準値<19」で標準値といえる。
2.× 微細運動の発達遅滞は認められない。本症例の微細運動は「がらがら」を両手で持つことができている。デンバー発達判定法には、4ヶ月の項目で、①手をみつめる、②ガラガラを握る、180°追視、両手を合わす、③キャアキャア喜ぶ 90°頭を上げる、両足で体を支えるなどがあげられる。
3.× 喃語の表出に関して、遅滞は認められない。クーイングは「あー」「うー」というような母音を中心とした音のことをいい、喃語の前の準備段階ともいえる。クーイングは生後2〜3か月頃に出る。一方、喃語は一音一音明確に発音できるまでになった音のことで「アーウー」や、「バ・バ・バ」などである。クーイングは成長とともに喃語へと移行すると考えられている。本症例の表出に関して、「母親をまねてアーアーと声を出す」こと(クーイング)ができているため、正常に成長していると考えられる。
4.〇 正しい。緊張性頸反射は消失している。非対称性緊張性頚反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後から生後4~6ヵ月までみられる。本症例は、「首を右に向けると左右の手足を屈曲」しているため、非対称性緊張性頚反射は消失している。
5.〇 正しい。定頸している。なぜなら、本症例を「腹這いにすると腕で身体を支え、頭を持ち上げた」ため。重力に抗して、頭を持ち上げられる力を持っていれば、定頸しているといえる。
(日本版デンバー式発達スクリーニング検査)
次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
Aちゃん(生後4か月0日、男児)。在胎37週、身長48cm、体重2,500gで出生した。Aちゃんは4か月児健康診査で身長60cm、体重6,000gであった。腹這いにすると腕で身体を支え、頭を持ち上げた。「がらがら」を両手で持ち、あやすと声を出して笑い、母親をまねてアーアーと声を出した。首を右に向けると左右の手足を屈曲させた。
43 2か月後、母親がAちゃんの体温を測ると38.0℃であった。すぐにかかりつけ医を受診したところ、処方はされず、自宅で様子をみることになった。発熱以外に感冒様症状や嘔吐はなく、機嫌よく過ごしていた。受診後3日で解熱し、体幹に淡紅色の細かい発疹を認めた。
考えられる疾患はどれか。
1.麻疹
2.突発性発疹
3.インフルエンザ
4.RSウイルス感染症
5.A群β溶血性レンサ球菌感染症
解答2
解説
・2か月後:Aちゃんの体温38.0℃。
・受診自宅で様子をみることになった。
・発熱以外に感冒様症状や嘔吐はなく、機嫌よく過ごしていた。
・受診後3日:解熱、体幹に淡紅色の細かい発疹を認めた。
→本症例は、「突発性発疹」が疑われる。受診後3日に解熱し、体幹に淡紅色の細かい発疹を認めたことがポイントである。突発性発疹とは、乳児期に罹患することが多く、突然の高熱と解熱前後の発疹を特徴とするウイルス感染症(ヒトヘルペスウイルス)である。一般的に、予後は一般に良好である。本疾患の原因ウイルスは、症状として、乳児期に発症する熱性発疹性疾患である。
1.× 麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。
2.〇 正しい。突発性発疹が考えられる疾患である。突発性発疹とは、乳児期に罹患することが多く、突然の高熱と解熱前後の発疹を特徴とするウイルス感染症(ヒトヘルペスウイルス)である。一般的に、予後は一般に良好である。本疾患の原因ウイルスは、症状として、乳児期に発症する熱性発疹性疾患である。38℃以上の発熱が3日間ほど続いた後、解熱とともに鮮紅色の斑丘疹が体幹を中心に顔面、四肢に 数日間出現する。随伴症状としては、下痢、眼瞼浮腫、大泉門膨隆、リンパ節腫脹などがあげられるが、多くは発熱と発疹のみで経過する。発熱初期に熱性痙攣を合併することがあるが、一般に予後は良好である。まれに脳炎、脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病など重篤な合併症をおこすことがある。
3.× インフルエンザとは、インフルエンザウイルスへの感染を原因に発症する。A型、B型、C型の3種類があり、このうち冬季に流行する「季節性インフルエンザ」はA型とB型によるものである。症状として、38℃以上の発熱や寒気、関節痛、全身のだるさなどの全身症状と、喉の痛みや咳などの風邪のような症状が現れる。上気道症状が1週間程度続くのが典型的である。
4.× RSウイルス感染症とは、年齢を問わず感染を起こすが、特に乳幼児期において重要な病原体である。初感染は、軽症の感冒様症状から重症の細気管支炎や肺炎などの下気道疾患に至るまで様々である。しかしながら、初感染においては下気道疾患を起こす危険性は高い。1/3 が下気道疾患を起こすと報告されている。発熱・鼻汁などの上気道炎症症状が数日続き、そのあと下気道症状が出現する。
5.× A群β溶血性レンサ球菌感染症とは、発熱が起こり、その12〜24時間後、点状紅斑様、日焼け様の皮疹が出現する。他の症状として、腋窩や鼠径部など、皮膚のしわの部分に紙やすり様の手触りが感じられる、顔と頬の紅潮、 口の周りのみ蒼白に見えることが特徴である。ちなみに、A群溶血性レンサ球菌とは、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす。日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がある。これら以外にも中耳炎、肺炎、 膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こす。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことが知られている。 さらに、発症機序、病態生理は不明であるが、軟部組織壊死を伴い、敗血症性ショックを来たす劇症型溶血性レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群)は重篤な病態として問題である。
次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
Aちゃん(生後4か月0日、男児)。在胎37週、身長48cm、体重2,500gで出生した。Aちゃんは4か月児健康診査で身長60cm、体重6,000gであった。腹這いにすると腕で身体を支え、頭を持ち上げた。「がらがら」を両手で持ち、あやすと声を出して笑い、母親をまねてアーアーと声を出した。首を右に向けると左右の手足を屈曲させた。
44 解熱後1週、Aちゃんの症状は軽快し、6か月児健康診査のためかかりつけ医を受診した。身長66cm、体重7,200g。母親は「母乳はよく飲んでいます。夜間は2、3時間おきに授乳が必要です」と話し、母親はやや疲労した様子である。
このときの栄養指導で正しいのはどれか。
1.人工乳の追加を勧める。
2.断乳の準備をするよう勧める。
3.離乳食を開始するよう勧める。
4.夜間は泣いても授乳しないよう勧める。
解答3
解説
・解熱後1週:症状軽快。
・6か月児健康診査:身長66cm、体重7,200g。
・母親「母乳はよく飲んでいます。夜間は2、3時間おきに授乳が必要です」と。
・母親:やや疲労した様子である。
→本症例は、「6か月児」であり、①体重増加量は1日20g(正常範囲内)、②母乳はよく飲む様子がある。
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1.× 人工乳の追加を勧める必要はない。なぜなら、母親は「母乳はよく飲んでいます」と言い、体重増加量は1日20g(正常範囲内)であるため。人工乳とは、何らかの理由で母乳が与えられない場合、調製粉乳による人工乳が使用されることが多い。現在では母乳の代用品としての調製粉乳の品質も向上し、母乳の場合と比べても大差なく育児ができるようになっている。
2.× 断乳の準備をするよう勧める必要はない。なぜなら、本症例は生後6ヶ月であるため。平均1歳4か月で母乳育児を終えることが多い。ちなみに、断乳とは、お母さんの意思や計画によって母乳を与えるのをやめることをいう。徐々に授乳回数を減らしていったり、ある日突然に母乳を与えるのをやめたりする方法がとられている。一方、卒乳は、赤ちゃんの意思で自然に母乳を飲まなくなることをいう。 元来の意味では、赤ちゃんが母乳を欲しがらなくなるまで与え続けることをさす。
3.〇 正しい。離乳食を開始するよう勧める。なぜなら、離乳食開始の目安時期は5〜6か月であるため。離乳食とは、母乳(ミルク)をやめることではなく、母乳(ミルク)以外の食品からも栄養を取り入れ、幼児食へと移行する過程の食事のことをいう。
4.× 夜間は泣いても授乳しないよう勧める必要はない。授乳のタイミングは、児が「泣く前(自律授乳)」が基本となる。自律授乳とは、児が欲しがるときに欲しがるだけ飲ませる授乳方法のことである。児に吸われる刺激によって母乳分泌が促されて母乳育児がスムーズになることから、とくに生後1~2か月ぐらいまでの間は自律授乳が推奨されている。自律授乳の場合、新生児期の授乳回数は1日10回以上になることもあるが、たくさん吸うことで飲むことに慣れ、上手に飲めるようになっていく。赤ちゃんの口の動きなどからほしがるサインに早期に気づき、授乳できるよう指導する。
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g
次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
望まない妊娠の防止と対応を目的として、助産師6人で「妊娠に関する電話相談」事業を立ち上げた。週に2日、9時から17時の間、電話相談を受けることになった。Aさんは「妊娠に関する電話相談」に匿名で電話をかけた。「今、大学2年生。交際し始めた男性と2週前に避妊せずに性交渉をした。昨日から出血があり、下腹部痛がある。今朝、妊娠検査薬で調べたところ妊娠反応は陰性であったが、本当に妊娠していないか不安になった」と話した。
45 Aさんの電話相談を受けたB助産師の対応で適切なのはどれか。
1.Aさんの連絡先を聞く。
2.B助産師の名前を伝える。
3.受診の必要性を判断する。
4.あらかじめ相談に要する時間を決めておく。
解答3
解説
・目的:望まない妊娠の防止と対応
・助産師6人で「妊娠に関する電話相談」事業を立ち上げた。
・週に2日、9時から17時の間、電話相談を受ける。
・Aさんは、匿名で電話をかけた。
・「今、大学2年生。交際し始めた男性と2週前に避妊せずに性交渉をした。昨日から出血があり、下腹部痛がある。今朝、妊娠検査薬で調べたところ妊娠反応は陰性であったが、本当に妊娠していないか不安になった」と話した。
→検査薬は、生理予定日を過ぎて1週間以上経ってからの検査で正しい判断ができる。あまりに早い時期に検査をしても検査に必要なhCGホルモンが分泌されていない・足りないことで陰性と反応が出る。Aさんは、「昨日から出血があり、下腹部痛がある」ため、念のため病気の可能性も視野に入れて受診を勧めるのが望ましい。
1.× Aさんの連絡先を聞く必要はない。なぜなら、Aさんは匿名で電話をかけているため。匿名であるため、相談者は安心して相談することができる。相談の状況から、生命の危機等の切迫した状態であることが予想される場合や、事態の改善が図られる期待がかなり高いなどの場合を除き、相談者が名を希望する場合は、個人が特定されるような情報を無理に求めることにならないよう配慮する。
2.× B助産師の名前を伝える必要はない。なぜなら、今回助産師6人で事業を立ち上げているため。電話相談のメリットとして、「いつでも自分の好きな時に相談できる」ことがあげられる。B助産師だけでなく、他の助産師にもアドバイスを聞いてみたいと思うかもしれない。
3.〇 正しい。受診の必要性を判断する。検査薬は、生理予定日を過ぎて1週間以上経ってからの検査で正しい判断ができる。あまりに早い時期に検査をしても検査に必要なヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)が分泌されていない・足りないことで陰性と反応が出る。Aさんは、「昨日から出血があり、下腹部痛がある」ため、念のため病気の可能性も視野に入れて受診を勧めるのが望ましい。ちなみに、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)とは、妊娠中にのみ測定可能量が著しく産生されるホルモンであり、妊娠の早期発見や自然流産や子宮外妊娠といった妊娠初期によくみられる異常妊娠の診断と管理のために使用される。主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしている。また、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用がある。
4.× あらかじめ相談に要する時間を決めておく必要はない。電話相談のメリットとして、「いつでも自分の好きな時に相談できる」ことがあげられる。電話をかけてきたこと自体で相当の勇気や葛藤があることに配慮し気持ちを真に受け止め、①積極的傾聴、②受容的態度、③共感的理解に基づく姿勢で臨む。