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31 在胎28週、体重1,200gで出生した女児。日齢2から経管栄養を開始し、便の性状や回数に問題は認められなかった。日齢4に動脈管の再開通を認め、治療を行ったが動脈管は閉鎖しなかった。日齢7から腹部が膨満し、腹壁の皮膚色が淡いピンク色から青色に変化した。
考えられる疾患はどれか。
1.Hirschsprung<ヒルシュスプルング>病
2.肥厚性幽門狭窄症
3.新生児壊死性腸炎
4.胃軸捻転症
5.胆道閉鎖症
解答3
解説
・在胎28週(女児:体重1,200g)
・日齢2:経管栄養開始、便の性状や回数に問題なし。
・日齢4:動脈管の再開通を認め、治療後も動脈管閉鎖せず。
・日齢7:腹部膨満、腹壁が淡いピンク色から青色に。
→1500g未満を「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」と呼ぶ。低体温、低血糖、貧血、黄疸(高ビリルビン血症)などが起こりやすく、感染への抵抗力も弱いため、外的ストレスをできる限り減らす必要がある。
1.× Hirschsprung<ヒルシュスプルング>病とは、消化管の蠕動の役割を果たすために必要な神経細胞が、肛門から連続して欠如するために、その範囲の消化管の運動がおこらず、腸閉塞をきたす病気である。男女比では3:1で男児(男性)に多い。症状として、便秘、嘔吐、腹部膨満などを呈する。治療は手術が選択され、神経細胞がない腸を切除して、神経細胞の存在する腸を肛門のぎりぎりにつなぐ。本症例は、①便の性状や回数に問題ないことから、ヒルシュスプルング病は否定できる。
2.× 肥厚性幽門狭窄症とは、生後約2~3週の頃から幽門(胃の出口)部分の筋層が徐々に厚くなり、胃の出口が狭くなる疾患である。このため徐々にミルクの通過が悪くなり、飲んでも吐いてしまう。生後約3~4週頃に、ミルクを噴水状に勢い良く吐くのが特徴的な症状である。初期治療は、水分補給と電解質異常の是正を行う。根治的な治療法は、手術で術後は通常、1日以内に授乳可能となる。本症例は、日齢7であるため、肥厚性幽門狭窄症と判断することはできない。
3.〇 正しい。新生児壊死性腸炎が考えられる疾患である。壊死性腸炎とは、腸への血液の流れの障害に、細菌感染などの因子が加わることにより腸が壊死してしまう病気である。 ほとんどは生まれてから30日未満(特に1週間以内)の赤ちゃんにみられ、時に生後30日目以降にみられることもある。早産児で生まれたか、重篤な病気がある新生児でみられる場合がほとんどである。症状として、腹部が膨れ、便に血液が混じり、新生児は緑色や黄色、さび色をした液体を吐き、非常に具合が悪くなりぐったりする。原因は完全には分かっていないが、血液中の酸素レベルの低下や腸への血流量の低下に伴い、腸が成熟していないことが部分的に関係している。低出生体重児、早産児の場合、経口摂取に必要な機能が成熟しておらず、消化管機能の未熟性があるため起こりやすい。
4.× 胃軸捻転症とは、胃の異常な回転や捻転によって、げっぷ(排気)がうまくできない状態である。新生児や乳児は胃の固定が不十分であるため、生理的特徴として多く発症する。飲み込んだ空気をうまくげっぷ(排気)できず、腸の方に移動することで、腹部膨満や嘔吐、寝かすと不機嫌などがみられる。児は飲み込んでしまった多量の空気をうまく排気ができないため、排気を促す(上体挙上や側臥位)に必要がある。本症例が胃軸捻転症だった場合、「腹壁が淡いピンク色から青色に」なっている状態を説明できないため否定できる。
5.× 胆道閉鎖症とは、生まれて間もない赤ちゃんに発症する肝臓および胆管の病気で、胆汁の通り道である胆管が、生まれつきまたは生後間もなく完全につまってしまい、胆汁を腸管内へ排泄できない状態である。つまり、胆汁の通り道である胆管が生後間もなく完全に詰まってしまい、胆汁を腸管内へ排泄できない疾患である。症状は生後数か月以内の黄疸、灰白色便、肝腫大、ビタミンK不足による出血傾向などがある。治療には手術療法により詰まった胆管の一部を切除、もしくは肝移植が必要になることもある。本症例は、①便の性状や回数に問題なし、②腹壁が淡いピンク色から青色になっていることから、胆道閉鎖症は否定できる。
32 Aさん(28歳)は、昨年夫を事故で亡くし、実父母と同居していたが、仕事を始めて3歳の子どもと2人で暮らすことになった。子どもは健康で、順調に成長している。
母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき、Aさんが受けられる支援で正しいのはどれか。
1.保育施設の利用に関する特別の配慮
2.特別児童扶養手当
3.乳幼児医療費助成
4.次世代育成支援
5.生活扶助
解答1
解説
・Aさん(28歳、実父母と同居)
・昨年:夫を事故で亡くした。
・仕事を始めて、3歳の子どもと2人暮らしに。
・子ども:健康、順調に成長。
→母子及び父子並びに寡婦福祉法とは、母子家庭等や寡婦に対する福祉資金の貸付け・就業支援事業等の実施・自立支援給付金の給付などの支援措置について定める日本の法律である。
1.〇 正しい。保育施設の利用に関する特別の配慮は、Aさんが受けられる支援である。母子及び父子並びに寡婦福祉法の第28条(特定教育・保育施設の利用等に関する特別の配慮)に「市町村は、子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設(次項において「特定教育・保育施設」という。)又は同法第四十三条第二項に規定する特定地域型保育事業(次項において「特定地域型保育事業」という。)の利用について、同法第四十二条第一項若しくは第五十四条第一項の規定により相談、助言若しくはあつせん若しくは要請を行う場合又は児童福祉法第二十四条第三項の規定により調整若しくは要請を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない」と記載されている(※一部引用:「母子及び父子並びに寡婦福祉法」e-GOV法令検索様HPより)
2.× 特別児童扶養手当は、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」に規定されている。特別児童扶養手当等の支給に関する法律とは、精神又は身体に障害を有する児童について特別児童扶養手当を支給し、精神又は身体に重度の障害を有する児童に障害児福祉手当を支給するとともに、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者に特別障害者手当を支給することにより、これらの者の福祉の増進を図ることを目的とする日本の法律である。20歳未満の障害児を監護する父母又は養育者に対して支給される手当で、障害の程度に応じて1級または2級として認定される。手当月額は1級52,400円、2級34,900円である。
3.× 乳幼児医療費助成は、「乳幼児医療費の支給に関する法律」に規定されている。乳幼児医療費助成とは、乳幼児が医療機関で診察や治療を受けた際に、その費用の一部または全額を自治体が助成してくれる制度である。各都道府県が事業を行っており、その実施主体は各市区町村である。したがって、県の基準にさらに各市区町村の判断で対象年齢や助成の範囲を拡充している。
4.× 次世代育成支援は、「次世代育成支援対策推進法」に規定されている。次世代育成支援とは、国や自治体、企業が一体となり、次代を担う子供や、子供を育てる家庭を支援する取り組みのことである。国による行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主による行動計画の策定等により支援対策を推進するために必要な措置が講じられている。
5.× 生活扶助は、「生活保護法」に規定されている。生活扶助とは、日常生活に必要な費用(食費、被服費、光熱費など)がもらえる制度である。世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用される。
生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者
生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用
【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。
【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。
(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)
33 新生児の聴覚障害について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.聴覚スクリーニングは出生後24時間以内に行う。
2.聴覚スクリーニングは全国で公費の助成を受けられる。
3.先天性聴覚障害の発生頻度は出生1,000人に5人である。
4.耳音響放射<OAE>は自動聴性脳幹反応<AABR>より偽陽性率が高い。
5.先天性聴覚障害の児の療育は生後6か月までに開始することが望ましい。
解答4・5
解説
新生児聴覚スクリーニング検査は、聴覚障害を早く発見し、早期に援助することを目的に行うものである。精密検査の必要性を判定し、音刺激を与えて反応を得る検査である。
(※図引用:「新生児聴覚スクリーニングマニュアル」一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会より)
1.× 聴覚スクリーニングは、出生後「24時間以内」ではなく3日以内に行う。24時間以内では、新生児の中耳にまだ液体が貯留していることが多いため実施に適さない。
2.× 聴覚スクリーニングは、「全国」ではなく「一部市町村」で公費の助成を受けられる。公費負担を実施している市区町村は、令和元年度は52.6%(916市区町村/1741市区町村)である(※データ参照:「令和元年度「新生児聴覚検査の実施状況等について」の調査結果を公表します」厚生労働省HPより)。
3.× 先天性聴覚障害の発生頻度は、出生1,000人に「5人」ではなく1人である。新生児聴覚スクリーニング検査によって難聴児を早期発見し、早期療養を開始することにより、難聴児の生活の質が大幅に改善につながる。 (※データ参照:「すべての新生児が聴覚スクリーニング検査を受けて」厚生労働省HPより)
4.〇 正しい。耳音響放射<OAE>は、自動聴性脳幹反応<AABR>より偽陽性率が高い。 耳音響放射検査(Otoacoustic Emission:OAE)とは、外耳道に挿入した音響プローブにより、内耳からの微弱音を検出する内耳有毛細胞機能の他覚的検査である。診断用の専用機器を用いてスクリーニングよりも細かく評価できる。ただし、内耳蝸牛の外有毛細胞の機能を検査するもので、耳垢や羊水の貯留等の影響を受けやすい。また、内耳は正常でも内耳から中枢に異常がある場合、耳音響放射<OAE>では正常な反応を示すことから、偽陽性率が高いといえる。ちなみに、偽陽性率とは、疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合のことである。
5.〇 正しい。先天性聴覚障害の児の療育は、生後6か月までに開始することが望ましい。2000年に米国小児科学会、聴覚学会などの関連学会からなる乳児聴覚に関する連合委員会は、生後入院中に最初にスクリーニングを行い、生後1か月後までにはスクリーニングの過程を終え、生後3か月までに精密聴力検査を実施し、生後6か月までに支援を開始する(1-3-6 ルール)という聴覚障害の早期発見・早期療育(Early Hearing Detection and Intervention:EHDI)のガイドラインを出した。
・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。
・検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
・検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率)」という。
・疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合を「偽陽性率」という。
・疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合を「偽陰性率」という。
34 妊娠35週の頭位における正常所見はどれか。2つ選べ。
1.子宮頸管長が32mmである。
2.不規則な腹部緊満感の訴えがある。
3.胎児心拍数基線が165bpmである。
4.右臍棘線延長上で胎児心音が聴取できる。
5.子宮底の高さが臍上2〜3横指の位置である。
解答1・2
解説
①胎児心拍数基線が110~160bpmの正常範囲内。
②胎児心拍基線細変動がある。
③一過性頻脈がある。
④一過性徐脈がない。
の4条件が挙げられる。
また、一過性頻脈が20分間に2回以上認められる場合は、胎児状態良好と判断する。
1.〇 正しい。子宮頸管長が32mmである。子宮頸管長とは、子宮の入り口の長さをいう。子宮頸管長がなぜ短くなるかはわかっていないが、子宮頸管長が短いと早産のリスクが高いことが報告されている。正常妊婦の頸管長は、妊娠初期から中期で約40mm、徐々に短縮し妊娠32週で約30mmである。25mm未満の場合早産となるリスクは約6倍、13mm以下では約14倍といわれている。
2.〇 正しい。不規則な腹部緊満感の訴えがある。妊娠35週になると、NICU管理がなくても胎外生活が可能となる。また、睡眠と覚醒を20分おきに繰り返すようになり、胎児心拍数が二相性となる。一定の周期や疼痛を伴わない場合は正常範囲とされている。
3.× 胎児心拍数基線が「165bpm」は正常範囲外である。正常範囲は「110~160bpm」とされている。体動により一過性頻脈を認める。胎児心拍数基線とは、一過性変動部分を除く、10分間の平均心拍数である。
4.× 胎児心音が聴取できるのは、一律に「右臍棘線延長上(第1骨盤位のみ)」ではなく、頭位によって異なる。第1頭位では左臍棘線中央、第2頭位では右臍棘線中央で聴取される。つまり、右臍棘線延長上での聴取は第1骨盤位である。
5.× 子宮底の高さが「臍上2〜3横指」ではなく、剣状突起下2~3横指の位置である。身長は45cm、体重は2000gになり、また子宮底長は30cmとなる。ちなみに、34週以降の早産児は、生存率は正期産児とほとんど変わらないが、合併症率などはやや高い。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)
35 正常分娩の介助技術について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.児頭娩出時の会陰保護は産婦の肛門方向に押し下げる。
2.第3回旋では児頭娩出の速度を調整する。
3.第4回旋誘導時は産瘤のある側を産婦の尾骨方向へ回旋させる。
4.肩甲娩出前に臍帯巻絡の有無を確認する。
5.肩甲娩出後は骨盤誘導線と反対方向に躯幹を娩出させる。
解答2・4
解説
第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。
第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。
1.× 児頭娩出時の会陰保護は、産婦の「肛門方向に押し下げる」のではなく「恥骨方面に軽く押し上げる」。なぜなら、児頭の娩出がしやすくなるため。また、児頭娩出時に会陰部が裂傷しないように、緊張を除去するように会陰を左右から寄せ
て緩みを作ることも大切である。ただし、近年、会陰保護の有り・無しにおいて、会陰裂傷の発生に差がないというエビデンスが提示された。近年は、会陰保護を行う意義について疑問視されている。
2.〇 正しい。第3回旋では、児頭娩出の速度を調整する。なぜなら、後頭結節が外れると児頭は急激に反屈位で飛び出してくるため。したがって、児頭の急激な娩出を防ぎながら第3回旋を助けるようにする。産婦に短息呼吸を促す。短息呼吸とは、赤ちゃんの頭が出る瞬間に会陰部を傷つけないよう、お腹の力をゆるめて自然に産道を通過させるために行う。いきみから短息呼吸への切り替えは、助産師がリードする。〈方法〉①両手を胸に置き、体中の筋肉をゆるめ、口を開けハッハッハッと息を早く吐く呼吸をする。②息が続かなくなったら、息つぎをする。第1・第3回旋は胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)であるのに対し、第2・第4回旋は体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。
3.× 第4回旋誘導時は、産瘤のある側を産婦の「尾骨方向」ではなく恥骨結合方向へ回旋させる。産瘤とは、赤ちゃんが産道を通過する際に、周囲から圧迫を受けて、頭や足などの皮下にこぶができることである。主に頭に数cmのこぶができることが多く、似た病気に頭血腫と帽状腱膜下血腫があり、見分けることが必要である。産瘤は病的なものではないため、治療の必要はなく、1日から3日で消失する。ちなみに、原因として、分娩の際に、先進部分の頭位であったり、逆子の場合だと、臀部であったり、子宮から出ている部分の圧迫感がなくなるために、体液が貯まりやすく、浮腫が起きやすい。更にお産に時間がかかると、この皮下浮腫が大きくなって、暗赤色の瘤のように見えることがある。また、第4回旋は縦軸回旋(外回旋)である。 児頭の娩出に続き肩甲が回旋し、下降する。これは、胎児の方は横に長いため体を90°回転して出てくる必要がある。児頭娩出直後、胎児の顔面は母体の後方を向いているが、肩甲の回旋に伴って母体大腿の内面を向く。これは児頭娩出後、母体の股間で行われる外回旋である。自然な力で回旋が起きるため、介助の力加減には十分配慮する必要がある。
4.〇 正しい。肩甲娩出前に臍帯巻絡の有無を確認する。臍帯巻絡(読み:さいたいけんらく)とは、へその緒(臍帯)が赤ちゃんの体のどこかに巻きついている状態のことをいう。全ての赤ちゃんに起こりうることであり、巻絡は首に巻きつくことが多い。変動一過性徐脈の原因の一つとされており、急な心拍の低下と速やかな回復を特徴とし、通常臍帯血管の血流障害によって生じる。肩甲の娩出に移る前に、会陰に当てていない側の手で臍帯巻絡の有無を確認する。
5.× 肩甲娩出後は、骨盤誘導線と「反対方向」ではなく同方向に躯幹を娩出させる。肩甲娩出後(体幹の娩出)は、なるべく骨盤誘導線を小回りで通過させる。なぜなら、盤誘導線に反対方向や大回りをとると産道を痛めやすいため。
変動一過性徐脈は急な心拍の低下と速やかな回復を特徴とし、通常臍帯血管の血流障害によって生じる。
血流障害は、
①臍帯巻絡や短い臍帯などが原因で臍帯が伸張される。
②冷たい人工羊水を急速に注入することによる。
③子宮収縮や体動に伴い、臍帯が圧迫される。
などによって生じる。臍帯血流障害は子宮収縮ごとに異なるため、一過性徐脈の深さや長さも収縮ごとに異なる。