第100回(H29) 助産師国家試験 解説【午後41~45】

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次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 A病院の産科病棟は院内助産を行っており、分娩が終了するまで家族も産婦と個室で過ごせるようにしている。院内助産で分娩し、退院7日後に母乳外来を訪れたBさんから、夫が麻疹と診断されたとの情報を得た。夫は退院日の2日前から咳および鼻汁の症状がみられ、退院日の夜から38.0℃の発熱があった。退院後2日目から発疹が出現した。Bさんの夫の来院状況は以下のとおりであった。
 3月3日39週0日、陣痛発来による入院に夫が付き添う
    4日分娩に夫が立ち会う
    5日以降退院まで毎日来院
    9日退院の迎えで来院

41 3月26日、産科病棟では新たな感染者は認められていない。
 今後の感染予防対策として最も適切なのはどれか。

1.病棟内での家族の面会を中止する。
2.周産期の感染予防策の研修を定期的に行う。
3.産科病棟に入院する者の予防接種歴を確認する。
4.今後3週間、患者およびスタッフの症状の観察を行う。

解答

解説

ポイント

3月7日〜3月9日:感染が考えられる時期
3月16 日:麻疹症状のある者を確認したところ発症者はいなかった。
3月26日:産科病棟では新たな感染者は認められていない。
→感染が考えられる時期から2週間以上(15日)経過している。つまり、潜伏期が過ぎたことが示唆される。

→麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。麻疹の合併症として、①中耳炎、②肺炎、③脳炎があげられる。特に脳炎と肺炎は死亡例が多い。

1.3.× 病棟内での家族の面会を中止する/産科病棟に入院する者の予防接種歴を確認する必要はない。なぜなら、現在3月26日の時点で、新たな感染者は認められていないため。

2.〇 正しい。周産期の感染予防策の研修を定期的に行う。なぜなら、周産期の感染予防策の研修を定期的に行うことは、スタッフの知識と意識を高め、将来的な感染予防に非常に効果的であるため。また、麻疹の感染対策は、一般的な感染症と異なる対応が必要となることが多い。

4.× 今後3週間、患者およびスタッフの症状の観察を行う必要はない。なぜなら、現在3月26日の時点で、感染が考えられる時期から2週間以上(15日)経過しているため。今後「3週間」ではなく、長くても2週間でよい。「麻疹の潜伏期間が約10~12日であること、麻疹の初発症状は発熱、カタル症状で発症日が明確にわからない場合があること、修飾麻疹の場合は、潜伏期が延びる傾向にあること等から、麻疹患者と接触した場合は、接触後5日から3週間(免疫グロブリン製剤を投与した場合は4週間まで)は発症する可能性があると考えて対応すべきである(※引用:「医療機関での麻疹対応ガイドライン 第七版」)」。

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠39週4日に規則的な陣痛を自覚して、かかりつけの産婦人科病院に来院し、14時に入院した。これまでの妊娠経過は順調であった。
 既往歴: 緑内障に対して点眼治療を継続中。
 生活歴: 妊娠前から喫煙、妊娠中3本/日。
 家族歴: 実母が高血圧症。
 身体所見: 身長155cm、入院時体重62kg(非妊時体重53kg)。体温36.7℃、血圧120/77 mmHg。陣痛間欠4分、陣痛発作50秒、陣痛発作時は会話が困難な程度の痛みを感じている。胎児心拍数陣痛図は正常である。子宮口4cm開大、展退度50%、Station -1、未破水。

42 硬膜外麻酔による陣痛の疼痛緩和を予定していたため、硬膜外麻酔カテーテルが挿入され、局所麻酔薬の注入が開始された。麻酔開始1時間後、子宮収縮時にわずかな痛みを感じる程度の疼痛コントロールの状態となった。両下肢の運動に問題はないが軽度のしびれを感じていた。定期的に尿道カテーテル挿入による導尿が行われた。
 Aさんの麻酔施行中の副作用(有害事象)に関係した観察項目で最も重要なのはどれか。

1.食事量
2.血圧
3.体温
4.浮腫
5.胎向

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、初産婦、妊娠経過は順調)。
・予定:硬膜外麻酔による陣痛の疼痛緩和。
・硬膜外麻酔カテーテルが挿入、局所麻酔薬の注入が開始。
・麻酔開始1時間後:子宮収縮時にわずかな痛みを感じる程度の疼痛コントロールの状態。
・両下肢の運動:可、軽度のしびれ:あり。
・定期的に尿道カテーテル挿入による導尿が行われた。
→本症例は、硬膜外無痛分娩を実施している。合併症を把握していおこう。
→無痛分娩に関連して生じる合併症として、麻酔の直接的影響で生じるものと麻酔による子宮収縮や分娩進行への影響により、2次的に生じるものがある。直接的影響による合併症として、高位脊髄くも膜下麻酔、局所麻酔薬中毒、硬膜外血種、硬膜外膿瘍、母体低血圧、一過性の胎児徐脈、硬膜穿刺後の頭痛などがある。一方で無痛分娩では帝王切開率は増加しないが、分娩第 2 期の延長、器械分娩が増加することが指摘されており、それに伴う弛緩出血、産道裂傷および多量出血の発生に備える必要がある。そうした観点から、米国の産科麻酔周産期学会のガイドラインでは、無痛分娩を実施する分娩室には蘇生設備・医療機器・救急用医薬品・母体用生体モニターを常に準備しておくことを推奨している。具体的な物品の例を表1に示す。救急用医薬品として母体低血圧、出血性ショックに対する循環作動薬および輸液、気管挿管に用いる鎮静薬と筋弛緩薬などが含まれる。静注用脂肪乳剤(イントラリポスⓇなど)は局所麻酔薬中毒に対する投与の有効性が指摘されており、準備が望ましい救急医薬品である。(※一部引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P277」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P277」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)

1.× 食事量は優先度が低い。なぜなら、食事量と麻酔施行中の副作用との関連性は低いため。硬膜外麻酔とは、脊髄を覆っている硬膜の外側の空間(硬膜外腔)に局所麻酔薬を注入して、末梢神経からの刺激伝達を遮断し、痛みを緩和する麻酔法である。

2.〇 正しい。血圧は、Aさんの麻酔施行中の副作用に関係した最も重要な観察項目である。なぜなら、無痛分娩に関連して生じる合併症として、母体低血圧があげられるため。母体の低血圧は、母体だけでなく胎児の健康に影響を与える可能性がある。

3.× 体温は優先度が低い。なぜなら、体温と麻酔施行中の副作用との関連性は低いため。体温(発熱)は、感染や炎症が疑われる場合に優先的に測定される。

4.× 浮腫は優先度が低い。なぜなら、浮腫と麻酔施行中の副作用との関連性は低いため。病的な浮腫の原因はさまざまである(下の説明参照)。

5.× 胎向は優先度が低い。なぜなら、胎向と麻酔施行中の副作用との関連性は低いため。胎向(胎児の位置)は、麻酔施行にかかわらず分娩において重要である。

浮腫とは?

浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
【低アルブミン血症の原因】①栄養摂取の不足(低栄養状態)、②肝臓における蛋白質合成能の低下、③腎臓から尿への蛋白質の大量喪失(ネフローゼ症候群)など。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠39 週4日に規則的な陣痛を自覚して、かかりつけの産婦人科病院に来院し、14 時に入院した。これまでの妊娠経過は順調であった。
 既往歴: 緑内障に対して点眼治療を継続中。
 生活歴: 妊娠前から喫煙、妊娠中3本/日。
 家族歴: 実母が高血圧症。
 身体所見: 身長155 cm、入院時体重62 kg(非妊時体重53 kg)。体温36.7 ℃、血圧120/77 mmHg。陣痛間欠4分、陣痛発作50秒、陣痛発作時は会話が困難な程度の痛みを感じている。胎児心拍数陣痛図は正常である。子宮口4cm開大、展退度50 %、Station -1、未破水。

43 16時に自然破水した。18時の内診所見は子宮口6cm開大、展退度70%、Station +1で、破水後から所見の変化を認めていない。助産師は続発性微弱陣痛と判断して医師に報告し、子宮収縮薬の点滴静脈内注射を開始することとなった。
 Aさんに投与する子宮収縮薬の種類を選択するために重要な情報はどれか。

1.喫煙状況
2.緑内障の合併
3.胎児推定体重
4.妊娠中の体重増加
5.実母の高血圧症の有無

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、初産婦、妊娠経過は順調)。
・妊娠39週4日:規則的な陣痛を自覚、14時に入院。
・既往歴:緑内障に対して点眼治療を継続中。
・生活歴:妊娠前から喫煙、妊娠中3本/日。
・家族歴:実母が高血圧症
・16時:自然破水。
・18時:子宮口6cm開大、展退度70%、Station +1、破水後から所見の変化を認めていない。
・続発性微弱陣痛と判断:子宮収縮薬の点滴静脈内注射を開始する。
→子宮収縮薬の禁忌と慎重投与をおさえておこう。緑内障は慎重投与に該当する。

(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P247」)

1.× 喫煙状況より優先されるものが他にある。妊娠中の喫煙は、早産のリスクが高くなる報告がある。また、妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剥離など、妊娠中・分娩時の合併症、低出生体重児・胎児発育遅延を引き起こす可能性がある

2.〇 正しい。緑内障の合併が重要な情報である。なぜなら、緑内障は子宮収縮薬(PGF2αやPGE2)の慎重投与に該当するため。ちなみに、緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患である。一般的な症状として、①見える範囲が狭くなる、②一部が見えにくくなる、③見えない部分が出現するなどが生じる。一度悪くなった視界・視野の症状は改善されることはないため、病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。

3.× 胎児推定体重より優先されるものが他にある。なぜなら、Aさんの妊娠経過は順調であるため。ちなみに、胎児推定体重とは、妊婦健診の超音波検査(エコー検査)で測定した赤ちゃんの体の特定の部位のサイズを基に、計算式に当てはめて算出された赤ちゃんの体重の推定値である。

4.× 妊娠中の体重増加より優先されるものが他にある。なぜなら、Aさんの妊娠経過は順調であるため。

5.× 実母の高血圧症の有無より優先されるものが他にある。なぜなら、設問文の家族歴に「実母は高血圧症がある」と記載されているため。Aさんに投与する子宮収縮薬の種類を選択するために、再び実母の高血圧症の有無を確認する必要性は低い。

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠39 週4日に規則的な陣痛を自覚して、かかりつけの産婦人科病院に来院し、14 時に入院した。これまでの妊娠経過は順調であった。
 既往歴:緑内障に対して点眼治療を継続中。
 生活歴:妊娠前から喫煙、妊娠中3本/日。
 家族歴:実母が高血圧症。
 身体所見: 身長155 cm、入院時体重62 kg(非妊時体重53 kg)。体温36.7 ℃、血圧120/77 mmHg。陣痛間欠4分、陣痛発作50秒、陣痛発作時は会話が困難な程度の痛みを感じている。胎児心拍数陣痛図は正常である。子宮口4cm開大、展退度50 %、Station -1、未破水。

44 子宮収縮薬の投与開始後に陣痛が増強して、20時に子宮口8cm開大、Station+2となった。23時に子宮口全開大、Station +4まで下降したが娩出には至っていない。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍の異常はない。Aさんは陣痛発作時に子宮収縮の自覚はあるが硬膜外麻酔によって痛みは緩和されている。分娩までの時間がかかっていることについてAさんは心配している。
 児の娩出までの時間を短縮する目的でAさんに提案する内容として正しいのはどれか。

1.子宮収縮に合わせた努責
2.麻酔量の増加
3.室内の歩行
4.飲水
5.浣腸

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、初産婦、妊娠経過は順調)。
・妊娠39週4日:規則的な陣痛を自覚、14時に入院。
・子宮収縮薬の投与開始:陣痛増強。
・20時:子宮口8cm開大、Station+2。
・23時:子宮口全開大Station+4まで下降したが娩出には至っていない。
・胎児心拍数陣痛図:胎児心拍の異常はない。
・陣痛発作時:子宮収縮の自覚はあるが硬膜外麻酔によって痛みは緩和。
・分娩までの時間がかかっていることについてAさんは心配している。
→本症例は、現在、子宮口全開大であることから、分娩第2期である。分娩第2期の対応をおさえておこう。

1.〇 正しい。子宮収縮に合わせた努責は、児の娩出までの時間を短縮する目的でAさんに提案する。努責は、分娩第2期以降が望ましい。児の娩出が促進する効果が期待できる。早いタイミングで努責(いきみ)を行うと産道に傷がついたり赤ちゃんの頭に無理がかかったりする。したがって、分娩第1期は呼吸法や肛門圧迫で努責(いきみ)を逃すように支援する。

2.× 麻酔量の増加は必要ない。なぜなら、現時点で、子宮収縮の自覚はあるが硬膜外麻酔によって痛みは緩和しているため。過度の麻酔は、努責の感覚を鈍らせる可能性だけでなく、副作用を起こしかねない。

3.5.× 室内の歩行/浣腸は必要ない。なぜなら、現在、分娩第2期であるため。

4.× 飲水より優先されるものが他にある。なぜなら、飲水自体が、児の娩出までの時間を短縮する目的とはいえないため。ただし、食事摂取(エネルギー摂取・水分摂取)は、子宮筋の収縮運動である陣痛を促し、分娩中の代謝を補う効果が期待できる。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、初産婦)は、妊娠41週3日、予定日超過のため子宮収縮薬を使用しての分娩誘発が開始された。無痛分娩を希望し、硬膜外麻酔による疼痛緩和が開始された。分娩第1期15時間、分娩第2期15時間、分娩遷延のため会陰切開し、吸引分娩となった。児は体重3,280g、Apgar<アプガー>スコアは1分後7点、5分後9点であった。出血量は550mL、分娩第4期の経過は正常。バイタルサインは問題なく、硬膜外カテーテルを抜去し帰室した。

45 産褥1日。分娩後から尿意がなく、自然排尿できない状態が続いており、導尿で300〜400mL/回を採取している。会陰の創部痛は鎮痛薬でコントロールしている。
 この時点でのアセスメントで最も適切なのはどれか。

1.脱水状態による尿量減少
2.分娩第2期遷延による尿閉
3.硬膜外麻酔による膀胱筋の麻痺
4.創部痛による膀胱括約筋のけいれん

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(37歳、初産婦)
・妊娠41週3日:予定日超過のため子宮収縮薬を使用しての分娩誘発が開始された。
・希望:無痛分娩(硬膜外麻酔による疼痛緩和)。
・分娩第1期15時間、分娩第2期15時間(分娩遷延のため会陰切開、吸引分娩)。
・児:体重3,280g、アプガースコア1分後7点、5分後9点。
・出血量:550mL、分娩第4期の経過:正常。
バイタルサイン問題なし、硬膜外カテーテルを抜去し帰室。

産褥1日:分娩後から尿意がなく、自然排尿できない状態
・導尿で300〜400mL/回を採取。
・会陰の創部痛:鎮痛薬でコントロール
→評価項目から各選択肢の消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 脱水状態による尿量減少は考えにくい。なぜなら、脱水であれば、自然排尿できない状態とはなりにくいため。また、バイタルサインに問題がないことや、導尿で300〜400mL/回を採取できたことから、脱水状態とは考えにくい。

2.〇 正しい。分娩第2期遷延による尿閉と判断できる。なぜなら、Aさんは分娩第2期が15時間と長く、分娩が遷延しているため。第2期遷延とは、子宮口全開大後に標準の第2期所要時間(初産婦では2時間,経産婦では1時間)を超えて、分娩に至らない状態を指す。分娩第2期の遷延や吸引分娩などは、膀胱や尿道に対する圧迫や損傷のリスクを高め、尿閉を引き起こす可能性がある。したがって、産後の尿閉のリスクファクターは、尿閉硬膜外麻酔による無痛分娩、分娩第2期遷延、鉗子分娩などがあげられる。数日で軽快することがほとんどであるが、まれに自己導尿が必要となることもある。

3.× 硬膜外麻酔による膀胱筋の麻痺より優先されるものが他にある。なぜなら、硬膜外麻酔の副作用に、膀胱筋の麻痺自体が起こりにくいため。主に、硬膜外麻酔による副作用は、頭痛、低血圧、分娩時間の延長などである。ちなみに、硬膜外麻酔では、局所麻酔薬による骨盤神経や陰部神経の麻痺によって、膀胱の知覚低下や尿道括約筋の緊張、排尿筋の弛緩が起こり、排尿障害を引き起こすこともある。

4.× 創部痛による膀胱括約筋のけいれんは考えにくい。なぜなら、会陰の創部痛は、鎮痛薬でコントロールできているため。また、創部痛が、自然排尿できない状態になることは少ない。ちなみに、膀胱括約筋(内尿道括約筋)はノルアドレナリンの作用で収縮する。蓄尿に関わる。

脱水とは?

脱水とは、生体において体液量が減少した状態をいう。水やナトリウムの喪失が原因で起こる。この際、ナトリウムの喪失を伴わず水欠乏を起こす病態を高張性脱水(水欠乏性脱水)や一次脱水という。脱水症状とは、体内の水分が2%失われると、のどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめる。3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状が現れる。10%以上になると、死にいたることもある。

【脱水の3タイプ】
①高張性脱水:水欠乏性脱水や一次脱水ともいう。汗をたくさんかいて喉が渇いているときにみられる脱水で、電解質より水分の方がより多く失われ、体液が濃くなっている状態である。
②等張性脱水:下痢や嘔吐によって体液が一気に失われたときに起こり、水分と電解質が同等の割合で失われる脱水である。
③低張性脱水:たくさん汗をかいているのにお茶や水などの電解質があまり含まれない飲み物を大量に飲んだ時に起こる脱水である。水分よりも電解質が多く失われている状態である。

(※画像引用:ナース専科様HPより)

 

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