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次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
助産師Aさんは、母校の女子高校の依頼を受けて1年生130人を対象に、女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせることを目的として健康教育を行うことになった。健康教育の実施にあたり事前に高校と打ち合わせを行った。1年生の入学時の身体計測値の平均は全国平均と同等であった。
41 この集団の身体的特徴で正しいのはどれか。
1.骨量のピークを迎えている。
2.月経の持続日数は成人より短い。
3.身長の年間増加量のピークを迎えている。
4.性成熟期と比べて無排卵性周期の頻度が高い。
5.血中の卵胞刺激ホルモン<FSH>値は一生を通じて最大となる。
解答4
解説
・健康教育を行う。
・対象:女子高校1年生130人
・目的:女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせること。
・健康教育の実施にあたり事前に高校と打ち合わせを行った。
・1年生の入学時の身体計測値の平均:全国平均と同等。
→女子高校1年生(15~16歳)の一般的な成長の知識をおさえておこう。
1.× 骨量のピークを迎えるのは、「20歳後半から30歳前半」である。したがって、女子高校1年生(15~16歳)の場合、まだ骨量のピークは迎えていない。
2.× 月経の持続日数は成人より「短い」とはいえない。なぜなら、個人差が強く影響するため。また、月経が開始して間もない時期は、月経周期が不規則であったり、持続日数が変動することがあるが、短いという特徴は特にない。
3.× 身長の年間増加量のピークを迎えているのは、「中学1年生(11歳ごろ)」である。なぜなら、第二次性徴(エストロゲンの作用)の影響が強いため。
4.〇 正しい。性成熟期と比べて無排卵性周期の頻度が高い。なぜなら、思春期の初期から中期にかけては、月経周期がまだ安定していないため。ちなみに、無排卵性月経とは、月経時に出血がみられるものの排卵は伴っていない状態をいう。多くの場合、無排卵を自覚することなく、通常症状は起こらない。病気でなくても初経から数年の卵巣機能が未熟な思春期や、卵巣機能が低下しつつある更年期の場合に起こる。ただし、病気が原因で起こることもあり、主に視床下部機能異常や多嚢胞性卵巣症候群などがあげられる。また、女性性成熟期とは、10代の終わりから40代前半ごろまでの時期で、女性ホルモンの分泌が安定して生殖に適した時期である。月経周期が整い、妊娠・出産を経験する人が増える時期でもある。
5.× 血中の卵胞刺激ホルモン<FSH>値は一生を通じて最大「とはならない」。なぜなら、血中の卵胞刺激ホルモン値が一生を通じて最大になるのは、閉経期に達する時期であるため。卵胞刺激ホルモンは、脳下垂体前葉から合成・分泌される。卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを性腺刺激ホルモンと呼ぶ。卵胞刺激ホルモンは、卵巣の卵胞の成熟を促進し、エストロゲンの分泌を刺激する。
二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。
平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。
次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
助産師Aさんは、母校の女子高校の依頼を受けて1年生130人を対象に、女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせることを目的として健康教育を行うことになった。健康教育の実施にあたり事前に高校と打ち合わせを行った。1年生の入学時の身体計測値の平均は全国平均と同等であった。
42 1年生への健康教育の内容を決めるにあたり、学年主任の教員から生徒の生活習慣に関する情報収集を行った。高学年になるにつれて、休日にアルバイトをしている生徒やボーイフレンドのいる生徒が多くなるという。
健康教育で扱う内容として優先度が高いのはどれか。
1.性感染症<STD>予防
2.女性の健康とキャリア形成
3.妊娠に向けた健康な身体づくり
4.第二次性徴がもたらす身体の変化
5.ベビー人形を用いた抱っこの演習
解答1
解説
・健康教育を行う。
・対象:女子高校1年生130人
・目的:女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせること。
・生徒の生活習慣に関する情報収集を行った。
・高学年になるにつれて、休日にアルバイトをしている生徒やボーイフレンドのいる生徒が多くなる。
→学校健康教育とは、児童生徒の心身の健康課題を深刻化させないよう、全教職員が連携・協力して行う健康教育である。健康観察や健康診断の実施、健康相談、疾病予防、感染症予防、救急処置など、児童生徒の心身の健康状態を把握し、指導や管理の課題や内容を処方し、必要な対策を施す活動である。
1.〇 正しい。性感染症<STD>予防は、健康教育で扱う内容として優先度が高い。なぜなら、高学年になるにつれて、ボーイフレンドのいる生徒が多くなるため。女子高校1年生のうちに性感染症予防の教育は、健康を守ることに非常に寄与する。
2.× 「女性の健康とキャリア形成」より優先されるものが他にある。なぜなら、女子高校1年生にとると、漠然と未来のことの話に思われるため。ちなみに、キャリア形成とは、仕事を通じて経験やスキルなどを蓄積して自己実現を図っていくプロセスのことである。
3.× 「妊娠に向けた健康な身体づくり」より優先されるものが他にある。なぜなら、必ずしも妊娠を望むものとは限らないため。妊娠を目標に、健康なからだ作りが必要と考える生徒がいれば、「妊娠する予定がないから、悪影響な生活習慣でよい」と極端に考える生徒も出かねない。
4.× 「第二次性徴がもたらす身体の変化」より優先されるものが他にある。なぜなら、第二次性徴は10歳ころから始まるため。女子高校1年生(15~16歳)に対しては、始める時期が遅い可能性が高い。
5.× 「ベビー人形を用いた抱っこの演習」より優先されるものが他にある。なぜなら、「ベビー人形を用いた抱っこの演習」と健康教育との直接的な関連は低いため。
二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。
平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。
次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
助産師Aさんは、母校の女子高校の依頼を受けて1年生130人を対象に、女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせることを目的として健康教育を行うことになった。健康教育の実施にあたり事前に高校と打ち合わせを行った。1年生の入学時の身体計測値の平均は全国平均と同等であった。
43 健康教育を実施した当日、Aさんが後片付けをしていると、1人残っていた生徒が「自分は幼稚園のころからスカートをはくのが嫌いで、男の子と遊んでいるほうが楽しかった。胸が膨らんできて、生理がある自分の体が嫌で違和感がある」と真剣な表情で話しかけてきた。
この生徒へかける言葉として適切なのはどれか。
1.「今は勉強に集中しましょう」
2.「誰にも言わないでおきましょう」
3.「自分の気持ちを否定する必要はありませんよ」
4.「ボーイフレンドができれば気持ちは変わりますよ」
5.「サポートチームを作るよう先生にお願いしてみましょう」
解答3
解説
・健康教育を実施した当日
・生徒「自分は幼稚園のころからスカートをはくのが嫌いで、男の子と遊んでいるほうが楽しかった。胸が膨らんできて、生理がある自分の体が嫌で違和感がある」と。
→生徒は、性同一性障害が疑われる。性同一性障害の支援を考えよう。
1.× 「今は勉強に集中しましょう」と伝える必要はない。なぜなら、生徒の悩みを無視するような言葉であるため。言われた生徒は、抱えている感情や悩みを軽視されたと受け取る可能性が高い。
2.× 「誰にも言わないでおきましょう」と伝える必要はない。なぜなら、その生徒の行動を限定(縛る)ような言葉であるため。生徒も心を打ち明けられる友達がいれば、その悩みを共有することで生徒の心理的な負担を減らせる可能性も考えられる。
3.〇 正しい。「自分の気持ちを否定する必要はありませんよ」と伝える。なぜなら、生徒の気持ちを尊重し、理解を示す言葉であるため。生徒との信頼関係の構築だけでなく、自己認識や自己表現に関する悩みを抱える生徒に対して、彼らの感情を認めることは非常に重要で、これにより、生徒は自分の気持ちを肯定的に受け入れ、自分を理解するための第一歩を踏み出せる。
4.× 「ボーイフレンドができれば気持ちは変わりますよ」と伝える必要はない。なぜなら、ボーイフレンドの有無で、性同一性障害が改善するような根拠はないため。また、生徒の気持ちを軽視した言葉である。
5.× 「サポートチームを作るよう先生にお願いしてみましょう」と伝える必要はない。なぜなら、生徒からサポートチームの希望は聞かれていないため。また、サポートチームを作れば、生徒の情報が筒抜け(生徒間で噂にも)となりかねない。高校生は、繊細な時期かつ性同一性障害という繊細な問題であるため、アドバイスや行動を起こしてもらうときも慎重にアドバイスする必要がある。
性同一性障害(GID:Gender Identity Disorder)とは、 「生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態」と定義されている。
性別違和(GD:Gender Dysphoria)とは、外見上の体の性別と内面上の心の性別が一致しない状態のことをさす。 多くは中学生までに出現し、思春期で悩みを強く持つことも多い。
2013年に DSM-5では、「性同一性障害」 の病名は 「性別違和」 に変更になっている。さらに2019年 ICD-11では「性別不合:Gender Incongruence」に変更され、2022年から実行の予定である(日本語訳はまだ正式ではない)。(※参考:「きよくりnews」発行元:村口きよ女性クリニックより)
次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
A さん(38歳、1回経産婦)。妊娠28週3日。これまでの妊娠経過に異常はなかった。突然、自宅で性器出血があり、かかりつけの産婦人科診療所を受診した。診察時、腟内に約100mLの血液貯留を認め、子宮口から少量の出血が持続していた。子宮に痛みの自覚はなかった。直ちに総合周産期母子医療センターに救急搬送され入院した。
既往歴:24歳のときにクラミジア頸管炎のため抗菌薬治療を受けた。35歳のときに骨盤位のため妊娠38週で予定帝王切開術によって出産した。
生活歴:喫煙20本/日、妊娠後は5本/日まで減らしている。
家族歴:実父が糖尿病および高血圧症の治療中である。
身体所見:身長150cm、体重70kg (非妊時体重60kg)。脈拍70/分、血圧132/80mmHg。子宮口は閉鎖。腟内に凝血塊を認めるが、取り除くと出血は止まっていた。NSTでは胎児心拍数に異常はなく、15分に回程度の弱い子宮収縮を認める。
検査所見:血液検査の結果、感染徴候はなく、凝固系に異常を認めない。
44 入院後に撮影されたAさんの骨盤MRIを下図に示す。
最も疑われるのはどれか。
1.副胎盤
2.前置胎盤
3.部分胞状奇胎
4.不全子宮破裂
5.慢性胎盤剝離羊水過少症候群
解答2
解説
・A さん(38歳、1回経産婦、妊娠28週3日:妊娠経過に異常なし)。
・突然、性器出血があり、受診。
・腟内:約100mLの血液貯留、子宮口から少量の出血が持続。
・子宮に痛みの自覚なし。
・身体所見:身長150cm、体重70kg (非妊時体重60kg)。脈拍70/分、血圧132/80mmHg。子宮口は閉鎖。腟内に凝血塊を認めるが、取り除くと出血は止まっていた。
・NST:胎児心拍数に異常はなく、15分に回程度の弱い子宮収縮を認める。
・検査所見:血液検査の結果、感染徴候はなく、凝固系に異常を認めない。
→本症例の情報から、ほかの選択肢の消去理由をあげられるようにしておこう。
(※図引用:「前置胎盤・癒着胎盤」日本産婦人科医会より)
1.× 副胎盤は、考えにくい。なぜなら、本症例のMRIから胎盤がひとつであるため。ちなみに、副胎盤とは、胎盤は通常は1つであるが、主胎盤から離れて複数存在する場合、小さい方のことをいう。臍帯付着部位の異常などがあれば娩出時に胎児機能不全や胎児死亡の原因となるが、問題がなければ分娩経過中に異常はない。
2.〇 正しい。前置胎盤が最も疑われる。なぜなら、本症例のMRIから胎盤が内子宮口を覆っているため。ちなみに、前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置(腟に近い側)に付着してしまい、そのために胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部もしくは全部を覆っている状態のことをいう。頻度として、全分娩の約1%弱を占めている。一般的に前置胎盤は無症状であるが、典型的な症状として①腹痛を伴わない突然の性器出血(警告出血)や大量性器出血があげられる。これらの症状は、お腹が大きくなり張りやすくなる妊娠28週以降に増加するといわれている。
3.× 部分胞状奇胎は、考えにくい。なぜなら、本症例のMRIから子宮内に特徴的な嚢胞状の像が見られないため。部分胞状奇胎とは、妊娠成立時の精子と卵子の受精の異常によって起こる異常妊娠の1つである。症状として、正常な妊娠初期の症状と変わらないことが多いが、流産に似た性器出血や腹痛などが出ることもある。部分胞状奇胎の診断は、妊娠2~3ヶ月頃の超音波(経腟エコー)検査で子宮内に特徴的な嚢胞状の像が見られることや、血液や尿中の妊娠性ホルモン(hCG)の値が正常妊娠より高いことなどから疑われる。
4.× 不全子宮破裂は、考えにくい。なぜなら、本症例の子宮に痛みの自覚なしであり、ショック状態がみられないこと、腟内に凝血塊を認めるが、取り除くと出血は止まっていたため。ちなみに、子宮破裂とは、主として分娩時に起こる子宮体部ないしは子宮下部の裂傷である。①完全子宮破裂と②不全子宮破裂とに分類されており、①完全子宮破裂とは子宮壁が全部裂けるもので、②不全子宮破裂とは子宮の外側は裂けずに残っているものである。いずれにしても症状として、児娩出後にも母体は下腹部痛や出血多量(持続的な出血)、ショック状態になる。本症例は、パットに少量出血のため不全子宮破裂は否定できる。
5.× 慢性胎盤剝離羊水過少症候群は、考えにくい。慢性胎盤剥離羊水過少症候群とは、妊娠後期に起こりうる比較的緩徐に経過する慢性胎盤剥離が重症化した病態である。分娩7日以上前から持続する原因不明の性器出血、当初は羊水量が正常にもかかわらず破水の所見なく羊水過少に至るという3つの項目を満たすものと定義されている。
羊水過少とは、AFI5以下をいう。AFI(amniotic fluid index)とは、子宮の各4分の1について羊水深度を垂直に計測した値の合計である。羊水過多は、羊水の吸収が減るか、産生が増えることによって起きる。吸収が減少する病態として、食道閉鎖や十二指腸閉鎖などの上部消化管閉鎖(狭窄)などの先天異常、染色体異常などで機能的に嚥下ができない場合がある。 また、上部消化管周囲から羊水の通過を妨げる口腔、頸部、肺などの腫瘍も原因となる。
次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
A さん(38歳、1回経産婦)。妊娠28週3日。これまでの妊娠経過に異常はなかった。突然、自宅で性器出血があり、かかりつけの産婦人科診療所を受診した。診察時、腟内に約100mLの血液貯留を認め、子宮口から少量の出血が持続していた。子宮に痛みの自覚はなかった。直ちに総合周産期母子医療センターに救急搬送され入院した。
既往歴:24歳のときにクラミジア頸管炎のため抗菌薬治療を受けた。35歳のときに骨盤位のため妊娠38週で予定帝王切開術によって出産した。
生活歴:喫煙20本/日、妊娠後は5本/日まで減らしている。
家族歴:実父が糖尿病および高血圧症の治療中である。
身体所見:身長150cm、体重70kg (非妊時体重60kg)。脈拍70/分、血圧132/80mmHg。子宮口は閉鎖。腟内に凝血塊を認めるが、取り除くと出血は止まっていた。NSTでは胎児心拍数に異常はなく、15分に回程度の弱い子宮収縮を認める。
検査所見:血液検査の結果、感染徴候はなく、凝固系に異常を認めない。
45 入院後、リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射によって子宮の収縮は消失し、性器出血も見られなくなった。Aさんは動悸と倦怠感を訴えている。Aさんにベタメタゾンの筋肉内注射を行うことになった。
ベタメタゾンの投与にあたり医師と助産師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
1.「子宮内の感染を予防します」
2.「動悸を軽くする効果があります」
3.「赤ちゃんの肺の成熟を促します」
4.「この薬が胎盤を通過することはありません」
5.「リトドリン塩酸塩に対するアレルギー反応を防ぎます」
解答3
解説
・A さん(38歳、1回経産婦、前置胎盤)。
・入院後:リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射
・子宮の収縮は消失、性器出血もなし。
・動悸と倦怠感を訴えている。
・ベタメタゾンの筋肉内注射を行う。
→ベタメタゾンとは、糖質コルチコイドであり、ステロイド抗炎症薬・免疫抑制薬として用いられる。他のステロイドと比べて、ベタメタゾンは鉱質コルチコイド作用が少なく、ナトリウムおよび水貯留を引き起こし難い。気管支喘息、副腎不全、ネフローゼ症候群等多岐にわたる炎症の治療に用いることができる。
(※引用:「1.母体ステロイド投与」)
1.× 子宮内感染の予防にはならない。むしろ、ベタメタゾンには、免疫抑制薬として用いられることもあるため、副作用として感染症の報告がある。ただ0.1%未満の発生といわれている。
2.× 「動悸を軽くする効果があります」と説明が必要なのは、リトドリン塩酸塩である(※解説下参照)。
3.〇 正しい。「赤ちゃんの肺の成熟を促します」と説明する。ベタメタゾンの筋肉内注射は、早産の予防がもっとも効果的である。未熟児を生むことが避けられない妊婦に対しては、肺の成熟促進を目的としている。新生児呼吸窮迫症候群の予防に寄与する。
4.× ベタメタゾンは、胎盤を通過する。ベタメタゾン(リンデロンなど)は、胎盤を通過する率が高いステロイド薬で、胎盤通過率は30~50%とされている。
5.× リトドリン塩酸塩に対するアレルギー反応を防ぐものではない。ベタメタゾンの筋肉内注射は、通常、成人にはベタメタゾンとして1回2~8mgを3~6 時間ごとに筋肉内注射する。母体投与による新生児呼吸窮迫症候群の発症抑制に用いる場合、早産が予期される妊娠34週までの妊婦に対し、ベタメタゾンとして1回12mgを24時間ごとに計2回、筋肉内注射する。本剤投与から出産までの最適期間は投与開始後24 時間以上7日間以内である。
塩酸リトドリンとは、子宮収縮抑制薬(子宮鎮痙薬とも)である。臨床応用としては、切迫早産や切迫流産の際に子宮収縮(陣痛)を抑制するのに用いられる。投与中に過度の心拍数増加(頻脈)があらわれた場合には、減量するなど適切な処置を行うことが求められる。主な副作用として、動悸、振戦(手足の震え)、吐き気、発疹などが報告されている。胎児には、頻脈、不整脈があらわれる。作用機序として、β受容体刺激剤の中でも強いβ2選択性により、細胞内c-AMPを上昇させ、子宮収縮抑制効果を示す。
【禁忌】
・強度の子宮出血、子癇、前期破水例のうち子宮内感染を合併する症例、常位胎盤早期はく離、子宮内胎児死亡、その他妊娠の継続が危険と判断される者
・重篤な甲状腺機能亢進症
・重篤な高血圧症
・重篤な心疾患
・重篤な糖尿病
・重篤な肺高血圧症
・妊娠16週未満の妊婦
・本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者