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31 日本の平成26年(2014年)の助産師の就業状況について正しいのはどれか。
1.就業者数は保健師よりも多い。
2.助産所での就業割合は約5%である。
3.就業場所は病院よりも診療所の方が多い。
4.就業者数は過去10年間で減少傾向にある。
5.就業者数は30歳代より50歳代の方が多い。
解答2
解説
(※図引用:「平成 26 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」厚生労働省HPより)。
1.× 就業者数は保健師よりも「多い」のではなく少ない。【就業保健師等の年次推移】平成26年末現在の就業保健師は、48,452人(男936人、女47,516人)である。就業助産師は、33,956人である(※データ引用:「平成 26 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」厚生労働省HPより)。
2.〇 正しい。助産所での就業割合は約5%である。助産師の就業場所は、病院:22055人(65.0%)、診療所:7305人(21.5%)、助産所:1804人(5.3%)となっている(※データ引用:「平成 26 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」厚生労働省HPより)。
3.× 就業場所は病院よりも診療所の方が「多い」ではなく少ない。助産師の就業場所は、病院:22055人(65.0%)、診療所:7305人(21.5%)、助産所:1804人(5.3%)となっている(※データ引用:「平成 26 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」厚生労働省HPより)。
4.× 就業者数は、過去10年間で「減少」ではなく増加傾向にある(※下表参照)。
5.× 就業者数は30歳代より50歳代の方が「多い」ではなく少ない(※下表参照)。30歳代は、30~34歳:5041、35~39歳:4873(合計:9914)である。一方、50歳代は、50~54歳:3207、55~59歳:2189(合計:5396)である。
32 産科病棟で退院時の母乳栄養の割合を上げるための病棟目標を設定することになった。
目標設定について最も適切なのはどれか。
1.評価は質的な指標で行う。
2.産科外来の目標とは連動させない。
3.目標達成の期日は具体的に設定する。
4.実現性よりも理想的な目標を設定する。
5.個人目標をもとに病棟目標を設定する。
解答3
解説
① 量的データ(量的変数):枚数、身長、金額など、数値で推し測ることができ、数字の大小に意味をもつデータのこと。比例尺度と間隔尺度に分けられる。
比例尺度(比尺度):原点があり、間隔や比に意味がある。つまり、原点(0)からの等間隔盛付けができるものをいう。間隔尺度と違い、数値間の比にも意味がある。(例:年齢、身長、血圧)
間隔尺度(距離尺度):目盛が等間隔であるが、数値間の比に意味がない。つまり、数値の差のみに意味がある。等間隔の目盛り付けができるが、原点を持たず、0が絶対的な無を示さないものをいう。(例:気温、年号、知能指数)
② 質的データ(質的変数):好きなスポーツ、血液型、自動車のナンバーなど、単に分類や種類を区別するためだけのデータや、順位、学年など順序に意味があるデータのこと。順序尺度と名義尺度に分けられる。
順序尺度:順序付けができるもの。大小関係はあるものの、間隔には意味はない尺度である。(例:成績、順位、MMT)
名義尺度:数値や名前を割り振ったものである。数値の順序、大きさに意味はない、(例:性別、血液型、学籍番号)
1.× 評価は、「質的」ではなく量的な指標も用いる。むしろ、量的評価は、評価者が変化しても具体的かつ客観的に評価できるため、量的評価を用いることが多い。質的・量的評価のメリット・デメリットを把握したうえで、指標を用いる。
2.× 産科外来の目標とは「連動させない」と断定しない。むしろ、病棟目標は産科外来と連動させることが重要である。なぜなら、連動させることで、病棟での取り組みを、外来での指導や支援の継続が可能となるため。
3.〇 正しい。目標達成の期日は具体的に設定する。なぜなら、目標達成の期日を具体的に設定することは、達成のための計画と進捗管理を明確にすることができるため。医療・介護過程の展開において、PDCAサイクルを用いることが多い。PDCAサイクルは、計画(P)→実施(D)→再評価(C)→アセスメント(A)というサイクルのことを指す。ケアプランと利用者のニーズとの問にミスマッチがある場合をモニタリングで発見し、利用者の状況に応じた修正をする必要がある。
4.× 「実現性」よりも「理想的」な目標を設定する必要はない。なぜなら、理想的すぎる目標は、達成が困難と分かったとき、モチベーションを下げる可能性があるため。目標は、実現性も加味しつつ、設定する必要がある。
5.× 個人目標をもとに病棟目標を設定する必要はない。なぜなら、個人目標が必ずしも病棟目標と直結するとは限らないため。個人目標を踏まえつつ、チームとして達成できる目標を設定することが望ましい。
33 母子保健法に定められているのはどれか。2つ選べ。
1.妊婦健康診査
2.養育医療の給付
3.食育等推進事業
4.新生児聴覚検査
5.乳児家庭全戸訪問事業
解答1・2
解説
妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。
【妊婦健康診査の望ましい基準】
①妊娠23週まで:4週間に1回
②24週~35週:2週間に1回
③36週~出産まで:1週間に1回
1.〇 正しい。妊婦健康診査は、母子保健法(第13条)に定められている。妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。【妊婦健康診査の望ましい基準】①妊娠23週まで:4週間に1回、②24週~35週:2週間に1回、③36週~出産まで:1週間に1回である。
2.〇 正しい。養育医療の給付は、母子保健法(第20条)に定められている。養育医療とは、入院治療を必要とする対象者に該当する乳児(出生時体重が2000g以下だった乳児、低体温、強い黄疸などの症状を示す乳児)に対して、健やかに成長できるよう、その養育に必要な医療を給付するものである。 指定医療機関において、診察・医学的処置・治療等の給付が受けられる。
3.× 食育等推進事業とは、平成17年に食育基本法が、平成18年に食育推進基本計画が制定され、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいくことが重要となっている。ちなみに、『食育基本法』は、食育についての基本理念や食育の施策の基本、食育の実施が定められている。
4.× 新生児聴覚検査は、2000年に厚生労働省より実施することを通知された程度であり、2022年5月時点で法律による義務化はされていない。したがって、施設によっては実施していない場合や有料の場合もある。ちなみに、新生児聴覚検査とは、新生児を対象に耳の聞こえの障害を早期に発見するために実施される検査である。
5.× 乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)は、児童福祉法(第6条の3)に規定されている。児童福祉法(第6条の3)「この法律で、乳児家庭全戸訪問事業とは、一の市町村の区域内における原則として全ての乳児のいる家庭を訪問することにより、厚生労働省令で定めるところにより、子育てに関する情報の提供並びに乳児及びその保護者の心身の状況及び養育環境の把握を行うほか、養育についての相談に応じ、助言その他の援助を行う事業をいう」と記載されている(※引用:「児童福祉法」e-GOV法令検索様HPより)。
34 トリコモナス腟炎について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.原因は真菌である。
2.不妊症の原因になる。
3.プールでは感染しない。
4.泡沫状の帯下が増加する。
5.子宮頸部の点状出血が特徴である。
解答4・5
解説
腟トリコモナス症とは、トリコモナスという原虫(寄生虫)が病原体となって発症する性感染症である。トリコモナスが腟や膀胱などの粘膜にすみついて炎症を起こす。主な症状として、①黄色で泡立ったようなおりもの、②おりものに悪臭、③性器にかゆみや痛み、④排尿や性行為のとき、不快感や痛みなどである。
1.× 原因は、「真菌」ではなく原虫(寄生虫)である。トリコモナス腟炎(正式名称:膣トリコモナス症)は、腟トリコモナス原虫という寄生虫が原因で起こる性感染症である。
2.× 不妊症の原因になるのは、「クラミジア」である。膣トリコモナス症の主な症状として、①黄色で泡立ったようなおりもの、②おりものに悪臭、③性器にかゆみや痛み、④排尿や性行為のとき、不快感や痛みなどである。一方、クラミジアに感染すると、卵管の閉塞や周囲の癒着を発症してしまう場合があり、クラミジアに感染するたびに卵管性の不妊症になる確率が20%ずつ高くなりと考えられている。
3.× プールでも「感染する」。感染源が原虫ということもあり、性交渉以外でも下着、タオル、便器、浴槽での感染がある。
4.〇 正しい。泡沫状の帯下が増加する。トリコモナス膣炎の典型的な症状である。主な症状として、①黄色で泡立ったようなおりもの、②おりものに悪臭、③性器にかゆみや痛み、④排尿や性行為のとき、不快感や痛みなどである。
5.〇 正しい。子宮頸部の点状出血が特徴である。「トリコモナスに感染しても無症状であることも多く、女性の膣トリコモナス症でも、約10~20%は感染していても症状が現れない無症候性感染と言われています。発症がみられる場合は、感染から10日前後の潜伏期間を経て、膣から泡のようなおりものが出てくるのが特徴です。おりものは悪臭伴うことがあり、また黄緑色になる場合もあります。この他、腟壁の粘膜が通常より赤くなったり、腟に点状や斑状の出血がみられたり、陰部にかゆみが出たり、性交時痛や排尿時痛があったりします。排尿時痛は男性でも尿道炎や前立腺炎を起こした場合に見られることがあります」と記載されている(※引用:「トリコモナス」北村クリニック三条分院様HPより)。
35 妊娠期のプロゲステロンについて正しいのはどれか。2つ選べ。
1.子宮筋の収縮に抑制的に働く。
2.血中濃度は妊娠12週で最大となる。
3.前駆体は胎児のコレステロールである。
4.胎児の肝臓で代謝され母体尿中に排泄される。
5.産生部位は妊娠8週以降に妊娠黄体から胎盤に移行する。
解答1・5
解説
・妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)
・妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)
・妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)
1.〇 正しい。子宮筋の収縮に抑制的に働く。これにより、子宮を安静に保ち妊娠を維持する働きを持つ。ちなみに、プロゲステロンには、抗炎症作用や収縮抑制作用があり、子宮平滑筋を過分極させて静止状態に維持する。
2.× 血中濃度は、「妊娠12週(妊娠初期)」ではなく妊娠8か月(妊娠後期の序盤)で最大となる。その後、10か月でやや減少して分娩に至る。妊娠前期のプロゲステロンの基準値は、23.9〜141.4ng/mL、妊娠後期は51.2〜325.8ng/mLである。
3.× 前駆体は、「胎児だけ」ではなく母体のコレステロールも使われる(※参考:「胎盤機能とプロゲステロン」熊本大学医学部産婦人科 著:前山昌男様HPより)。胎盤は、蛋白ホルモン(hCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピンと、hPL;ヒト胎盤性ラクトゲン)とステロイドホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を産生する。つまり、胎盤がプロゲステロンを産生する際に母体のコレステロールを利用する。ただし、
4.× 胎児の「肝臓」ではなく副腎で代謝され、母体尿中に排泄される(※参考:「胎盤機能とプロゲステロン」熊本大学医学部産婦人科 著:前山昌男様HPより)。
5.〇 正しい。産生部位は、妊娠8週以降に妊娠黄体から胎盤に移行する。妊娠初期のプロゲステロンは、主に黄体によって産生されるが、妊娠8週以降は胎盤が主要な産生部位となる。なぜなら、妊娠を維持するため。
(※画像引用:日本医師会様HPより)
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。